神様の思し召し

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(原題:Se Dio Vuole )
2015年/イタリア
上映時間:88分
監督:エドアルド・ファルコーネ
キャスト:マルコ・ジャッリーニ/アレッサンドロ・ガスマン/ラウラ・モランテ/イラリア・スパーダ/エドアルド・ペーシェ/エンリコ・オティケル/他

 




 

傲慢で偏屈な天才外科医と、ムショ帰りのカリスマ神父が織りなすコメディ・ドラマ。

2015年の東京国際映画祭で最も観客の心を打ち、観客賞を受賞したイタリアの映画です。

昨年は都合がつかずに映画祭に行けなかったんですが、そんな時に限ってこういう良作が公開されたりするんだよなぁ、、、

 

監督を務めたエドワルド・ファルコーネは、元々は脚本家として活躍していたそうな。

それだけに映画の土台となる脚本は秀逸で、日常にある些細なユーモアと、人が本来持ち合わせる優しさを描いた素晴らしい内容でした。

イタリアの映画もなかなかどうして、侮れませんなぁ。

 

 

 

さっくりあらすじ

完璧な手術で、患者の命を救い続けている心臓外科医のトンマーゾは、その傲慢な性格や物言いが部下に煙たがられている。

妻や長女とはすれ違い気味であり、唯一の楽しみは頭脳明晰な長男が医学の道へと進んでくれたことだった。

しかし、医者を志したはずの息子が突然「神父になりたい」と言いはじめ、状況は一変。

トンマーゾは息子の意思を尊重するフリをしつつも、何故に急に神学に目覚めたのかを訝しむ。

そして、面白おかしいパフォーマンスで人気のピエトロ神父に”洗脳”されていると判断したトンマーゾは、早速調査を開始。

どうやらピエトロ神父には前科があるらしいことを突き止め、尻尾を掴むために近づこうとするのだが、、、

 

 

 

 

 

イマイチ家族に馴染めないトンマーゾ
医者志望の息子が神父になると言い出し、、

 

トンマーゾは息子が宗教に洗脳されたと判断
人気のピエトロ神父を調べ始める

 

そうして神父の人柄に触れ、
考えを改め始めるのだが、、

 

 

 

 

明るく残酷な宗教観

神様や仏様を信じる人、信じない人。

宗教観というものは本当に人それぞれなものであり、また様々な宗教の思想や文化が入り乱れる日本で、深い信仰心を持つ人はそこまで多くはないでしょう。

そもそも聖書や経典に触れる機会が無いからかもしれませんが、完全無宗教を自負する筆者ですら、素敵な話だなと思うほどに魅力的な映画です。

 

物語としては、手術を施すことにより物理的に患者を救い続ける医者と、人間以上の見えない力を説く神父のコミカルなやり取りが中心となります。

言い方を変えれば、”命を救う”という神の如き奇跡を起こすトンマーゾと、人の力の及ばない運命を信じるピエトロの、相容れない価値観の話だとも言えるでしょう。

 

 

トンマーゾは外科医として極めて優秀ではありますが、人の気持ちを考えることのない傲慢な人物。

部下の若手医師や看護師に対しては毒を吐き、簡単に言えばパワハラ&モラハラが過ぎる嫌な性格をしています。

 

しかし現実問題として、患者の命を救っていることに変わりはなく、聖人ではなくとも恩人ではあるわけですな。

良く言えば地に足がついている人だと言えますし、ただ単に性格が悪いだけで、他人に憎まれるようなタイプではありません。

それ故に、理解が及ばなかった妻や子供たちのことに対して独力では対処できず、自分が二の次にしてきたことに気づかされることも。

賢いけれどもお馬鹿さん、まさにそんな印象ですな。

 

 

対するピエトロですが、ユーモア溢れる言葉で信者から好かれる面白い神父さん。

聖書の言葉をユニークに解釈し、興味を持たない人達ですら笑える内容に脚色し、人々の信仰心の入り口を広げています。

 

元犯罪者が神に目覚め、神父に相成ったわけですが、彼が語る神の存在は抽象的ながらも納得できるような説得力がありますね。

ただし好人物ではありますが、彼もまた聖人という感じでもなく、人の心に癒しをもたらす恩人なわけです。

 

 

一見して正反対な2人ですが、その実やっていることは同じようなことなんですな。

”肉体”を助けるか、”心”を助けるか。

端から見ればその程度の差異であり、傲慢なトンマーゾですら理解を示すピエトロの言葉の数々は実に素敵なものでした。

 

そして色々なトラブルが解決の兆しを見せ始めた矢先に、重大な事件が発生します。

かつてピエトロ神父に丘に連れ出され、”重力ではなく、神の御業により梨は落ちる”と説かれたトンマーゾ。

最後のシーンでは梨が落ち、何かを悟ったかのように含み笑う彼の姿が描かれます。

 

神様が存在するかどうかは無益な議論であり、頑なに宗教を否定したトンマーゾが”神”の存在を感じた一瞬の出来事なんでしょう。

考察を残すエンディングになっていますので、結局どう物語が終結したのかは分かりませんが、優しく心地よい余韻を残す良い終わり方だと思います。

 

 

そして余談ですが、劇中で出てくる食べ物がどれも美味しそうなんすよね。

基本はピザとパスタとパニーニっぽい何かしか出てこないんですけどね。

特にピエトロ神父が食べてるサンドイッチっぽいピザがマジで美味そう、一度食べてみたいものですな。

 




 

まとめ

映画として非常にテンポ良く、若干クセが強めですが笑いもあり、さらりと観れるお手軽さが何よりも秀逸だと思います。

現実的で偏屈な医者と、愉快で誠実な神父と、対照的な2人のおじさんが織りなす傑作ドラマですな。

 

また、宗教がもたらす薬も毒も平等に描き、断定的に神の存在を示唆することもなく、あくまで客観的な視点での物語として非常に好感が持てます。

久しぶりに満足いく良作でしたね、DVDも買うつもりです。

 

オススメです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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