21グラム


(原題:21 Grams)
2003年/アメリカ
上映時間:124分
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
キャスト:ショーン・ペン/シャルロット・ゲンズブール/ナオミ・ワッツ/ダニー・ヒューストン/クレア・デュバル/ベニチオ・デル・トロ/他

 




 

1つの心臓をめぐり、3人の男女を通して描かれるヒューマン・ドラマ。

「バードマン あるいは~」や「レヴェナント 蘇りし者」で様々なタイトルを受賞しまくっているアレハンドロ監督作品です。

 

時系列や登場人物の関係性などがバラバラに繋ぎ合わせた作品で、ぶっちゃけ最初はかなり難解です。

しかし徐々に紐解かれていく関係性、そして収束していく展開は非常に興味深いものであり、2度3度と楽しめるスルメ系映画とも言えます。

非常に手が込んだ作品であり、大人向けというか、玄人向けな作品だと思います。

 

 

さっくりあらすじ

大学教授のポールは思い心臓疾患で余命一ヵ月と診断されドナーを待ち続けていたが、妻のメアリーはポールが死ぬ前に彼の子供を望んでいた。

過去にポールに内緒で中絶手術を受けていたメアリーは人工授精に向けての不妊治療が必要な状態であり、強引にポールを納得させて治療を受けることになる。

 

クリスティーナと建築家の夫・マイケルは可愛い2人の娘と幸せに暮らしており、ある日マイケルと娘達の3人でレストランにいた。

 

前科があるジャックは神の存在を信じて教会に通いつめながら不良青年の更生プログラムを担当し、妻・マリアンヌと2人の子供と暮らし、くじで当たったトラックを神様のプレゼントだと愛用していた。

しかしタトゥーが原因でゴルフ場の仕事を解雇され、上司が探してくれた仕事に就くことになり安堵したジャックは車での帰り道にマイケルと2人の娘をはねてしまう。

 

連絡を受けた妻・クリスティーナが病院へ到着すると2人の娘は死亡、手術の甲斐も無くマイケルも死亡が確認され、医師からマイケルの心臓をドナーとして提供するかを提案されるのだが、、、

 

 

 

重い心臓疾患のポール
余命一ヵ月

 

前科持ちのジャック
敬虔なキリスト教徒

 

元ジャンキーのクリスティーナ
娘と夫を亡くし再びドラッグに、、

 

 

 

魂の重さ

以前にも書いたかもしれませんが、1800年代のアメリカ人医師ダンカン・マクドゥーガルが計測した「人が死ぬ際の重量の変化」の記録により”魂の重さ”とはおよそ21グラムくらいだろうと仮定されたそうな。

残念ながら現代医学では思いっきり否定されているんだそうで、科学的な信憑性は乏しいそうです。

科学はロマンを壊しますな。

 

で、先に触れておきますとこの映画、とにかくキャスティングが素晴らしいです。

まずオスカー俳優であり、カンヌ国際映画祭の審査委員長も務めた経験のあるショーン・ペン。

「アイ・アム・サム」や「ミスティック・リバー」や「ミルク」など、数々の映画での幅広い演技が評価されている文句無しの名俳優ですな。

 

次いでハリウッド版「リング」や「ヴィンセントが教えてくれたこと」での怪演が光るナオミ・ワッツ。

潔い脱ぎっぷりの時点で文句無しに素晴らしいですが、不安定なメンタルで悲しみと薬物依存の間で揺れ動く演技は圧巻です。

 

さらに「チェ 28歳の革命/39歳 別れの手紙」が印象的なプエルトリコ出身の演技派俳優、ベニチオ・デル・トロ。

「マイティ・ソー」や「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」などのSF作品にも出演する柔軟性があり、「スターウォーズ/最後のジェダイ」や「アヴェンジャーズ/インフィニティ・ウォー」にも出演しております。

 

その他にもカンヌで女優賞を受賞いた脱ぎっぷりの良いフランス人歌手&女優のシャルロット・ゲンズブール。

「タイタンの戦い」や最新作「ワンダーウーマン」でも地味ながらも存在感を放つダニー・ヒューストンなどなど。

基本的には群像劇ですが、主役級から脇役までそれぞれが個性を持ち実力のある俳優ばかり、極めてレベルの高いキャスティングです。

 

 

で、作品ですが、これが極めて重たい内容でして、、ぶっちゃけ人によっては非常にテンションの下がる映画です。

人が育む愛情、各々が持つ命の価値、そして時に理不尽になる運命、、と生きていく上で背負う様々なモノを多角的に掘り下げるわけで、どこか空気が張り詰めるような息苦しさが付きまといます。

 

時間軸をバラバラに構成する手法や「命」や「運命」や「信仰心」をテーマにするという、ある意味での哲学性すら感じさせるような内容ではありますが、ハッキリ言って娯楽性は皆無であるため、好き嫌いは強く分かれると思います。

考えさせられるところも多々ありますし、決してつまらなくはないんだけどね、、淡々と進む物語なのに脈絡なくシーンが切り替わるし、疲れるんだよね。

何回も観返すことで真価を発揮する系の作品なんでしょうが、話が重たいし正直何度も観たい内容とは言えません。

 




 

まとめ

一応注意しておきますが、あまり救いの無い陰鬱な結末になるのでダウナーなテンションでの鑑賞はオススメしません。

「理由」と「結果」がジグザグに進む序盤の引きは非常に強く興味をそそられますが、いざ観終わってみるとドラマとしてはややボヤけた印象であり、作品としての粗さが印象に残ります。

 

テクニカルな話をすれば間接的に用意された伏線があり、良いタイミングで紐づいていく物語の構成は非常に良く練られているなと。

恐らくはアレハンドロ監督のそういった面が強く評価されているのだと解釈していますが、そういう意味ではやはり評論家向け、玄人向けなのだと思いますね。

 

ただ深い考察や余韻に浸れる、深みのある映画だと思います。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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