エイリアン3


(原題:Alien3)
1992/アメリカ
上映時間:114分
監督:デヴィッド・フィンチャー
キャスト:シガニー・ウィーバー/チャールズ・ダンス/ブライアン・グローヴァー/ラルフ・ブラウン/チャールズ・S・ダットン/ダニー・ウェッブ/他

 




 

 

1は「名作」、2は「傑作」と名高いシリーズの評判を「駄作」にまで落としてしまったシリーズ3作目。

製作に当たっては脚本家が次々と交代する事態になり、合計で10名もの脚本家のシナリオが混ざり合うカオスな状況からスタート。

次いで監督も次々と交代する事態を招き、最終的にデヴィッド・フィンチャーがバラバラな脚本の辻褄合わせに奔走する羽目になり、大幅に完成が遅れることに。

 

公開予定日に編集すら終わっていない事態を重く見た20世紀FOXは製作の中断を決意、企画から公開まで実に6年もの月日が流れるという、数々の混乱の末に完成した映画です。

ちなみに「セブン」や「ファイトクラブ」や「ゴーンガール」で有名なデヴィッド・フィンチャーの初監督の作品でもあります。

 

 

 

さっくりあらすじ

LV-426からの脱出後、冷凍睡眠につき地球に向かっているはずの宇宙船・スラコ号で謎の火災が発生し、自動脱出艇が作動し囚人だらけの惑星”ヒューリー”へと辿り着く。

共に脱出したヒックスとニュートは死亡、アンドロイドのビショップは中破で機能を停止しており、リプリーは途方に暮れるも、惑星で唯一の女性が現れたことで囚人たちの士気も乱れ始める。

数十名の男性囚人コミュニティでは宗教的な戒律により平穏を保っており、放射性廃棄物を収める鉛製のコンテナを造る仕事に従事しており、所長のハロルドが救助隊の派遣を要請した。

そんな中、脱出艇に潜んでいたフェイスハガーが犬に寄生し、エイリアンが生まれてしまうのだが、、、

 

 

 

脱出ポッドの故障で惑星に不時着

 

そこは男性の囚人しかいない刑務所の惑星

 

そんな閉鎖的な場所でエイリアンの脅威が迫る

 

 

 

 

鉄は熱いうちに、、

ツギハギだらけの脚本に、揉めに揉めた製作現場、前2作が好評だっただけに風化する前に作品を打ち出したい会社の意向も分からなくはないです。

派手なドンパチを中心にすると前作の二番煎じになるということで、本作では1作目のようなサスペンス・スリラー風な展開を選んだようですが、それ故に脚本の粗さがよく分かります。

現在では映像技術に定評のあるフィンチャー監督を起用しても感想としては残念な出来であり、映画を作る上で”脚本”がいかに大事なものなのかが改めてよく分かりますな。

 

鉛とマグマの閉鎖的な空間、全員が丸坊主で個性の無いモブキャラ扱いの登場人物、仲間意識と団結力に欠けバンバン殺されていく囚人たち、、迫力はあれど記憶には残らない残念な仕上がりです。

前作で死力を尽くし、辛くも生き残った人物をあっさりと死亡させる構成は度胸があるなと評価しますが、それに取って代わるような印象的なキャラがいないのは寂しいものですな。

途中からはエイリアンがリプリーを殺さない展開もあり、サバイバルの緊迫感に欠けるのもホラーとしては微妙なところか。

 

 

ついでに言えばフィンチャー監督の薄暗い映像と、どこにいるのかよく分からない通路をひた走る演出も噛み合っておらず、エイリアンに対しての策が功を奏しているかどうかも分からないところもフラストレーションが溜まります。

モブな囚人の判別が難しいからなおさらね。

 

とはいえ、今までと異なったアプローチでドラマ性を掘り下げようとした狙いは決して悪くありません。

結果的にグダグダになったのは残念ですが、ベタな娯楽作品を選ばなかった姿勢だけは誉めて然るべきではないでしょうか?

 

 




 

 

まとめ

30分ほど長い完全版の方では登場人物がもう少し掘り下げられているんだとか、なので観るならそっちの方が良いと思いますよ。

 

総評として1作目、2作目のノリで臨むと肩透かしを食らうかもしれませんが、退屈で凡庸な作品とまでは思いません。

面白くはない、でもつまらなくもない、そして印象に残らないと、なかなかに形容し難い作品ではありますが、シリーズを通して観る分には決して悪い作品ではないかなと。

良いか悪いかは置いといて一応のピリオドを作った作品でもあり、唯一印象に残るエンディングもあって、ここで終わっておけば及第点な出来だったかなとも感じます。

 

オススメできる作品とは思いませんが、前2作を観た方ならば観て損は無いでしょう。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



ブログランキング参加してみました。
良ければポチっと押しちゃってください。