ARMS

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ARMS
1997年~2002年
作者:皆川亮二
週刊少年サンデー(小学館)
単行本・全22巻
ワイド版・全12巻

 




 

「スプリガン」や「ADAMAS」で有名な作家・皆川亮二の代表作。

「不思議の国のアリス」をモチーフに、先進的な科学と超常的な兵器を組み合わせるという変態的な発想が面白い傑作でございます。

 

ストーリー性に齟齬が無く、初めから終わりまでしっかりと描き切ってあるところが素晴らしく、長編漫画にありがちな中だるみや脱線はほとんどありません。

濃密で壮大な物語は魅力に溢れ、迫力ある戦闘シーン、心を揺さぶる繊細なシーン、どれも緻密に構成されており、作者の実力とこだわりが感じ取れます。

 

「作者が描くのに飽きてんじゃね?」と思わせるような手抜きは皆無であり、この熱量はぜひ手に取っていただきたいところです。

 

 

さっくりあらすじ

高校生の高槻涼は幼馴染の赤木カツミと共に、いたって平凡な生活を送っていた。

しかし突如としてやって来た転校生・神宮隼人の左手には人知を超えた異形の兵器「ARMS」が組み込まれていることを知り、また涼の右手にも同様に「ARMS」が組み込まれていることが発覚する。

さらに両足に「ARMS」が組み込まれている巴武士と出会い、「ARMS」と彼ら自身の出生に関わる手がかりを探すため、隼人の故郷である鐙沢村へと向かうのだが、、、

 

 

 

 

異形の機械生命体を身に宿し
運命に立ち向かう物語

 

 

 

金属生命体と”心”

まず敵も味方もデザインがカッコいいっす。

 

「ARMS」を組み込まれた人間たち、もしくはそれに対抗するための兵器を体内に宿すサイボーグ達は総じて人間離れした能力を持ち、また本気を出すとバンバン変身して戦います。

とある理由から「ARMS」を組み込まれた人間は「不思議の国のアリス」に関連する兵器を体内に宿すわけです。

その兵器が具現化した”ジャバウォック”や”ナイト”や”ホワイトラビット”など、どれもどこか切なさを感じさせつつも非常にカッコ良い、味のあるデザインとなっております。

 

ちなみに筆者のお気に入りはマッド・ハッター、あとコウ・カルナギ(笑)

 

 

また単なるバトル漫画に留まらず、複雑な科学構想・進化論・優生学・選民思想など、常に強者が持ちたがるイデオロギーを分かりやすく描いてあるところにも好感が持てます。

それでいて自身に振りかかる苦難を乗り越え、仲間たちとの絆を深め、巨悪を討つという王道少年漫画に沿った道を外さない。

正に大人も子供も楽しめる完成度の高い作品と言えるでしょう(でもややグロめなんで、相応の年齢になってから読ませましょう。個人的にはCERO15くらいかな)

 

遺伝子操作で生まれた天才児、宇宙から飛来し、言葉を持たずも人間に興味を持った金属生命体、そして両者を繋ぐ学習プログラム。

人知を超えた生命体を元に、それに近づこうとする者、遠ざけようとする者、軍事利用しようとする者、そして一連の事件に巻き込まれてしまった者。

 

それぞれの思惑の思惑が交錯する複雑な内容ではありますが、一貫して描かれるのは人間の「心」について。

「心」の声に耳を傾け、ある者は進化を求め、ある者は自由を求め、またある者は大事な人を守るため、各々が自身の信念を持ち、勧善懲悪では割り切れない深い内容も魅力的です。

 

唯一の難点としては中だるみが無く、サクサク進む物語なので休憩しにくいところ。

ノンストップで読み切ると満足感と共にかなりの疲れを感じますよ。

 




まとめ

やや古い作品ですが、画力は非常に高く現在の漫画と比べても全く見劣りはしないでしょう。

いわゆるSF漫画ではありますが、迫力ある戦いに深い人間ドラマは夢中になる魅力に溢れています。

ちなみに筆者は観ていませんが、アニメにもなってます。

 

濃厚で切れ味鋭い長編大作、ぜひ一度ご拝読くださいませ。



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