カーズ


(原題:Cars)
2006年/アメリカ
上映時間:116分
監督:ジョン・ラセター
キャスト:オーウェン・ウィルソン/ラリー・ザ・ケーブル・ガイ/ボニー・ハント/ポール・ニューマン/トニー・シャルーブ/他

 




 

ピクサーが送る、擬人化した車が織りなす愛と友情と努力を描いた長編アニメーション・ドラマ。

 

これまた毎度お馴染みのパターンでね。

どうせ子供向けだから興味無い→超面白いの方程式になっておりまして、アニメを選ぶ際の自分の節穴EYEにただただ愕然とするばかりですな。

興行的にはいまいち伸び悩んだようですが、非常に内容のある良い作品だと思います。

 

大人も子供も楽しめる、まさに親子で観るべき映画のひとつでしょう。

 

 

 

さっくりあらすじ

「ピストンカップ」の最終レースで引退する”キング”ことウェザースと、彼の後に続き万年2位のヒックス、そして彼らに並ぼうとする新人のライトニング・マックイーンは壮絶なレース展開を繰り広げていた。

仲間を信用せずタイヤを交換しなかったせいでタイヤが破裂したマックイーンだが、トップ3台が同着となり、1週間後に優勝決定レースが執り行われることに。

マックイーンは新たなスポンサー「ダイナコ石油」への移籍を画策しており、立場を有利にするために専用トレーラーのマックに無理強いして夜通しの移動でカリフォルニアを目指す。

しかし居眠り運転をしたマックに置いて行かれ、必死で後を追うも完全に迷子になってしまう。

そうして辿り着いた、ルート66沿いの町「ラジエーター・スプリングス」に迷い込んでしまうのだが、、、

 

 

 

 

 

ライトニング・マックイーン
自信過剰でワガママ

 

田舎町で出会ったメーター
アホで陽気

 

ドック・ハドソン
町を治める医者(整備士)

 

 

 

 

 

ピクサーの描く世界観

本作に限らず、ピクサーが製作する全ての作品に言えることですが、きめ細やかな世界観の作りこみが秀逸です。

開始20分くらいまでは本作の雰囲気に馴染めず、人間が存在しない世界で擬人化された車の世界に違和感が拭えませんでした。

 

が、それ以降は何事も無かったかのように極めて自然に払しょくされ、この車の世界にどっぷりと浸かれます。

これは本当に凄いことで、世界に登場するあらゆる生物が”車”にも関わらず、違和感を拭えてしまうほどに描かれる各車の個性が素晴らしいです。

微かな表情の変化に行動の機微、それに加わるエンターテイメント性溢れるレースの演出は誰もが素直に楽しめるものでしょう。

 

 

とはいえ、物語としては非常にオーソドックスで王道的なもの。

傲慢で唯我独尊な主人公が他者との絆に触れ、心の成長と共に本当の強さを手に入れるという流れですな。

こういった既視感の強い、もはや定番とも言える脚本には賛否はありそうですが、個人的には子供たちに伝える”道徳”的な物語として、やはり不変な価値観であってほしいとも感じます。

 

主人公となるライトニング・マックイーンは天才肌ながらも他人を信用せず、また他人に頼らないというテンプレ的に傲慢な存在です。

まぁ自覚の無いワガママな小僧という感じで、人への感謝も尊敬も無いイヤな奴ですな。

特に田舎町ラジエーター・スプリングスに迷い込んでからは相当にウザい存在であり、イライラさせられます。

 

しかし観ている側からすればこの”イライラ”こそが彼の成長の糧であり、終盤に向けての感動に繋がるわけで、悔しいけどピクサーの術中に感心するばかりです。

またマックイーン自身も生意気とはいえレースに懸ける想いは純粋で真摯なものであり、レース開始前に呟く独り言も彼の心を強く支えるおまじないのようにも見えます。

決して努力を抜きに成り上がった天才ではなく、あくまで等身大の努力家としての側面も見逃してはいけないポイントじゃないでしょうか。

 

余談ですが、筆者大好きなオーウェン・ウィルソンが声優を務めているのもポイント高め。

非常にキャラクターにマッチした、良いキャスティングだと思います。

 

 

そして終盤の手に汗握るレース展開。

胸が熱くなる友情と絆。

勝利よりも価値のあるものを見出せた感動。

もう誰でも先が読めるような単純な演出ながら、それでもウルっと来てしまう圧倒的な内容は本当に素晴らしいですな。

 

ピクサーの作るエンターテイメントは今さら語るまでもないですが、この超王道的感動作で素直に受け入れられる物語を作れる手腕に脱帽です。

いかにも商業的(おもちゃとかね)で子供向けなキャラクターの造詣に微妙に嫌悪感を感じていましたが、これは本当に傑作だと思います。

 

 




 

まとめ

言うてもね、子供向けな作品なのは間違いないでしょう。

大の大人が本気で笑ったり泣いたりするほどのものではありません。

しかし自分が子供に見せてあげたい映画はこういう作品だと、強く思えるほどに良い映画なのは断言できます。

 

ぜひとも親子で観てほしい傑作だと思います。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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