第9地区

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(原題:District9)

2009年/アメリカ・南アフリカ共和国・ニュージーランド
上映時間:111分
監督/脚本:ニール・ブロムカンプ
キャスト:シャールト・コプリー/デヴィッド・ジェームズ/ジェイソン・コープ/ヴァネッサ・ハイウッド/ジョン・ヴァン・スクール/マリアン・フーマン/ルイス・ミナー他

 




 

 

エリジウム」や「チャッピー」など、SFを通して人間の本質を描く、ニール・ブロムカンプ監督の長編映画デビュー作です。

エイリアン5の脚本を執筆してるらしいニール監督ですが、「人間」と「人間以外」の境界線は何か?をテーマの一つとして描く作品が多いですね。

 

「SF」というフィルターでボカしてはいるものの、実際に人類社会で起きている問題が提起されます。

現実に起こり得る問題や懸念を背景に、なおかつ迫力あるVFXを使用したエンターテイメント作品として素晴らしい完成度を誇りますね。

派手なアクションシーンが生む娯楽性。

社会というコミュニティで生まれる必要悪の演出。

さらに人間の無意識に潜む闇を描いた本作は、SFの枠を超え、人間の本質を考えさせられる作品だとも言えます。

また、登場する役者さんたちはほとんどが無名な俳優さんたちで、このドキュメンタリー風なタッチにがっつりフィットしています。

 

誰もが知ってるような俳優さんを起用したならば、決して名作とは呼ばれなかったでしょう。

時として、「知らない人しか出演していない」というのは大事なことだと思います。

有名俳優が持つイメージや期待感に頼ることなく、純粋に面白い脚本と映像・演技がある映画って面白いですよね。

ごり押しタレントの発表会ばっかりやってる日本映画界にも見習ってほしいもんです。

 

 

さっくりあらすじ

1982年、南アフリカ共和国、ヨハネスブルグ上空に宇宙船が出現。

しかし上空に停滞したまま、何もアクションを起こさない宇宙船に対し、人類初の地球外生命体との接触を期待して人類は宇宙船内へと乗り込む。

結果として、調査隊が発見したのは宇宙船の故障により、身動きのとれなくなったエイリアンの大群だった。

超国家機関MNUはエイリアンたちを地上へ降ろし、隔離エリアである「第9地区」に移動させ「難民」として管理することになる。

しかし文化や外見の醜さを理由に、国民のエイリアンに対する差別や反発が強まり、その内に社会問題へと発展してしまう。

そして宇宙船が現れてから28年、ようやく完成したエイリアン専用の居住区域「第10地区」へと、エイリアンを移動させることになる。

現住所からの立ち退きの同意を得るため、MNUの職員ヴィカスは第9地区へと訪れるが、、、

 

 

 

 

district9_4_convert_20151225131540主人公のMNU職員・ヴィカス
けっこうイヤなやつ

 

隔離されてるエイリアン
人間に虐げられ不満爆発

 

district9_convert_20151225131601エイリアン専用
ロマン溢れる宇宙兵器

 

 

 

 

人間の振る舞いは”正義”なのか

エイリアンと接触する物語ではなく、エイリアンが来ちゃった後の物語という斬新さがまず目を引きます。

 

このね、主人公のヴィカスが嫌なやつなんですよね。

悪い意味で野心的というか、自分のことしか考えてないというか、腹黒さが顔に出ちゃってる感じ。

あぁこーゆーやついるよねって妙なリアリティがあります。

唯一まともなのは奥さんに対する誠実な愛情だけですが、それを踏まえても決して善人というわけではありません。

 

ついでに主人公を取り巻く連中も決して良い人達ではないですね。

一見すると仲良しな雰囲気ですが、実のところ関係が希薄というか、現実にありそうな表面的な仲だけで成り立ってる人間関係を感じ取れます。
(ヴィカスの奥さんも例外ではなく、あまり良妻賢母な人ではないっぽいですね)

 

 

で、この映画の背景はずばり、アパルトヘイト(人種隔離政策)です。

人種差別という理不尽な考え方を根底に、支配層(人間)がいて、差別される人(エイリアン)がいて。

劇中で描かれる人間サイドの差別や虐待は、ほぼ当たり前のような形として描写されています。

何せ相手は大きな人型エビなので、実際目の前にいたらかなり怖そうですけどね(汗)

それでもエイリアンに対し、やたらと威圧的&攻撃的に接するのは、計り知れない不安や恐怖が根っこにあるからなんでしょうか?

 

ヴィカスが第9地区に立ち退きの要請に行くところから、本格的に物語が始まります。

エイリアンが抵抗すれば容赦なく撃ち殺したり、エイリアンが生んだ卵を発見すれば笑いながら燃やしたり。

やけにリラックスしながら行われる横暴の数々は、よくそんなことできるなお前って感じでドン引きしますよ、マジで。

まぁヴィカスは超国家機関の職員、法的な権限は無限にあるのでしょう。

でも人道的って言葉の意味が分からなくなりますね(゚д゚)

 

 

で、色々とあって後半はヴィカスがエイリアンの仲間入りに(汗)

一転して自分が人間に狙われる存在になり、人間に戻りたいヴィカスと、自分の故郷に帰りたいエイリアン父子の葛藤が描かれます。

自分本位で利己的なヴィカスと、互いの利益になるようにと誠実なエイリアンの対照的な描写は印象深いもの。

エイリアンは知らんけど人間てこーゆー生き物だよね、と腹がたつと同時に少し悲しくもなります。

 

終盤は迫力あるアクションシーンの連続で、軍人相手にロマン溢れる宇宙兵器で奮闘するヴィカス。

長い銃撃戦の末、満身創痍になった彼はエイリアン父子を逃がすことになるわけですが、その決断は深く、考察の余地が溢れています。

人間に戻ることを諦めたのか?

贖罪のためにエイリアン父子を逃がすことに決めたのか?

その辺の具体的な描写は無く、捉え方は人それぞれでしょう。

 

 




 

 

まとめ

色々な背景やテーマ、メッセージ性などは多すぎて書ききれませんが、間違いなくSF映画の名作です。

グロめなシーンが多いので、食事中の鑑賞は控えましょう。

 

オススメです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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