ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

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(原題:Fantastic Beasts and Where to Find Them)
2016年/アメリカ
上映時間:133分
監督:デビッド・イェーツ
製作/脚本:J・K・ローリング
キャスト:エディ・レッドメイン/キャサリン・ウォーターストン/ダン・フォグラー/アリソン・スドル/エズラ・ミラー/コリン・ファレル/ジョニー・デップ/他

 




 

原作者のJ・K・ローリングが製作に仲間入りしたことで、話題を呼んだ「ハリー・ポッター」シリーズの最新作。

どちらかと言えばスピン・オフな内容ですが、「リリーのすべて」でアカデミー賞にノミネートされたエディ・レッドメインを主役に据え、更なるファンタジーの世界を構築。

 

「悪の帝王」が暗躍していた前シリーズから大幅に遡り、動物大好きな青年魔法使いを中心に、当時のニューヨーク社会が抱えるノンマジ(=マグル=魔法が使えない人間)と、魔法使いの間にそびえる深い溝に焦点を合わせてあります。

今作は魔法使い同士が覇権を賭けて争うような、壮大な物語ではありません。

”羨望と嫉妬”や”多数派と少数派”など、人間社会に生まれる心の傷や心の闇について描いてあり、やや社会派になった印象を受けます。

 

 

 

さっくりあらすじ

1926年、ニューヨーク。

街では正体不明の黒い影が縦横無尽に建物や道路を破壊し、未知の恐怖に人々は苛立っていた。

さらに身分を隠しながら生活を送る魔法使い達と、その魔法使いを疎ましく考えている人間達の関係は著しく悪化しており、闇の魔法使いであるグリンデルバルドの存在が更なる脅威として迫っていた。

魔法動物学者のニュートはとある目的を胸にニューヨークへと渡航、また彼の革製のトランクには多くの魔法動物たちが飼育されている。

しかし銀行の前でその内の一匹が脱走し、銀行内へと追いかける内にノー・マジであるジェイコブのトランクと取り違え、何匹かの動物が町に放たれてしまうのだが、、、

 

 

 

 

ニュート・スキャマンダー
どこか抜けてる

 

ティナ・ゴールドスタイン
元闇祓い、でも左遷された

 

ジェイコブ・コワルスキー
ノー・マジ、いわゆるマグル
第二の主人公

 

 

 

完成された世界観

セイレム魔女裁判をモチーフにしたであろう時代背景と、それを元に構築されたハリポタの世界観は、なかなかの出来だと思います。

 

およそ100年前のアメリカを舞台に、笑いあり、涙あり。

現実社会に魔法の概念を落とし込んだ表現はもはや”お約束”であり、違和感を感じさせない映像表現は「ハリポタ」としての世界が観客に認知されていることを意味します。

少なからず否定的な意見もあるようですが、個人的には気にならないレベルであり、そもそもこの世界観を受け入れるかどうかで映画の楽しさが大きく変わることでしょう。

 

 

総じて俳優陣のレベルが高く、役者の実力に支えられた映画と言っても良いかもしれません。

エディ・レッドメイン演じる動物学者のニュートは非常に印象的でありながらも、実際にいたら絡みづらい変人だと思われます。

人並み以上の優しさや正義感を持ちながらも、内向的でコミュニケーション能力にやや欠ける主人公、というのは斬新で魅力的でした。

特別な才能に恵まれたハリー・ポッターとは異なり、魔法が使える動物オタクといった感じで、英国訛りの強い英語も相まって独特の人柄を感じさせます。

 

キャサリン・ウォーターストンが演じるティナは魔法省の職員、ちょいとくたびれ気味。

ニュートを監視し、左遷されてしまった失敗を取り返すために奮闘するんですが、これがまた可愛い。

 

パン屋の開業を目指すノー・マジ(魔法を使えない人)のジェイコブはお笑い担当。

演じたダン・フォグラーがまぁカッコいいのなんの、誠実なポッチャリおじさんで、恐らく本作きってのイケメンだと思います。

 

 

そして概ね評判が良い魔法動物たち。

どことなく人間界の動物を彷彿とさせますが、魔法界の動物だけあってどれもクセがあり、可愛く見えなくもないですが個人的にはあまり近寄ってほしくない気もします(汗)

 

ニュートは魔法の他にも動物を使ったアクションを披露してくれますが、それがまんま3×3EYES(サザンアイズ)の獣魔術そのもの。

分かる人には分かる、ちょっとした感動です。

むしろこういった映像表現が可能であれば、サザンアイズを実写化してほしいっす。

 

 

ストーリー的には紆余曲折しますが、本作での焦点は”魔法界と人間界の軋轢”だと思います。

偶発的にではありますが、3人の魔法使いと行動を共にし、仲間として絆を深めるジェイコブの視点はまんま僕たちの視点だと言っても差し支えはありません。

 

現実にはありえない奇跡のような力、現実には存在し得ない大きな動物たち、それを理解した上で友情や愛情が生まれ、やがて記憶を消されてしまう。。

魔法使いと人間の間に深く根付いた溝、それを覆すかのように、記憶を消された上で感じ取る愛情を表現したシーンはなかなか感動モノ。

「魔法はすごいんだけど、万能ではないぞ」と暗に言っているのかもしれません。

 




 

まとめ

「ハリポタ」シリーズを観た人もそうでない人も、どちらも楽しめる作品です。

まぁそもそもシリーズに興味ない人が選ぶ映画ではないですが、食わず嫌いするにはちょっともったいない作品かなと。

 

エディ・レッドメインの好演と、幻想的な彼の飼育施設だけでも観る価値はあるかなと思います。

ついでにコリン・ファレルが相変わらずカッコ良かったので、彼のファンも観て損は無いでしょう。

ファレル→デップの入れ替わりは個人的に衝撃でしたよ。

 

ちなみに続編は2018年11月公開予定(アメリカ)だとか。

1分しか出番のなかったジョニデが本格参戦し、若き日のダンブルドアも登場するそうです。

 

新たなシリーズとして及第点の仕上がりです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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