イット・フォローズ


(原題:It Follows)
2014年/アメリカ
上映時間:100分
監督:デヴィッド・ロバート・ミッチェル
キャスト:マイカ・モンロー/キーア・ギルクリスト/ダニエル・ソヴァット/ジェイク・ウィアリー/他

 




 

青臭い恋心を背景に、ゆっくりじわじわと、「何か」に追いかけまわされる青春・ホラー映画。

特異なアイデアが噂を呼んだ本作は映画批評サイトも絶賛し、極めつけにタラちゃん(タランティーノ監督)までもが称賛し、注目を浴びました。

 

多感な10代の男女が織りなす青春ドラマと、理不尽なテイストで描かれる”それ”が生む恐怖感と、相反する二面性が上手く融合したユニークな作品です。

ちなみに監督&脚本を務めたデヴィッド・ロバート・ミッチェル氏は、2014年に「将来有望な映画監督」として選ばれています。

 

 

 

さっくりあらすじ

何かに怯え、取り乱した少女は泣きながら両親に電話をかける。

深い後悔を伝える少女だったが、夜が明けると凄惨な遺体として発見された。

 

女子大生のジェイは映画館のチケット販売の行列に並び、暇つぶしにデート相手のヒューと「周りにいる人の中で、誰になり替わりたいか」を推理するゲームをしていた。

ヒューが入り口にいる黄色の服を着た女性を指すも、ジェイにはその人物が見当たらない。

それを知った途端にヒューは顔色を変え、映画館を出てしまい、ジェイは意味がよく分からずに困惑する。

そして夜になり、車の中で2人は抱き合うが、コトが済むとヒューは強引にジェイを気絶させた。

目が覚めたジェイは下着姿で椅子に拘束され、現れたヒューはジェイに感染させた”あるモノ”についての説明を始めるのだが、、、

 

 

 

 

 

冒頭、何かに怯えていた少女
凄惨な遺体で発見される

 

ヒューと肉体関係を持ったジェイ
ちょっと頭の中がお花畑

 

その直後にヒューが豹変
とんでもない事に巻き込まれる

 

 

 

 

 

目が離せない緊張感

ある種の流れと言いますか、緊張と弛緩を繰り返すことがホラー映画の基本だと思いますが、それを根底から覆すアイデアがとにかく素晴らしい。

 

要はセックスを通じて”何か”に感染させられた女の子が、正体不明・意味不明な”それ”に追いかけ回されるというのが物語の軸となります。

捕捉しておくとこの”何か”とは病気の類のものではなく、一種の呪いのようなもの。

”感染”させると元の宿主は自由になり、新たな宿主は誰かに感染(性交渉)させなければ命は無いということですな。

「リング」のビデオテープをセックスに置き換えれば、分かりやすいでしょうか。

 

で、宿主を追いかける”それ”ですが、その存在の具体性は一切語られることはなく、詳細は最後まで分かりません。

分かっていることは概ね以下の通り。

  • 性交渉で他者に移る。
  • 色々な姿に化けることができる
  • ゆっくりと歩き、感染していない者には見ることができない。
  • 宿主を殺すと、その前に感染していた者を追いかける

といった感じで、極論を言えば逃げ切ることは不可能だとも言えますし、感染者は常に”それ”に怯えて過ごすことにもなります。

 

この”ゆっくり追いかける”というのが曲者でして、確かに視覚的に確認もできるし、容易に逃げることもできるのですが、とにかく休憩がしづらいんですね。

誰にでも化けることができる以上、画面に映っている全ての人物が容疑者になるわけで、観ているこっち側も注視せざるを得ないわけで。

この独特な緊張感は他に類を見ないものですし、初めて体験する感覚だと思います。

 

 

そんな慢性的な緊張感を緩めてくれるのが、若者ならではのほろ苦い青春ドラマです。

無理強いされる緊張感の癒しに青春を挟むのもアイデア賞ですが、これはこれで良く出来ています。

ティーンならではの空気感や、若さに任せた行動力は何ともね、大人になると微笑ましいものですな。

 

最後に、意中の女性に対し奥手な少年が、最後は命を賭して結ばれるのは不思議な安堵の気持ちを生みます。

が、最後の最後に移る人影の姿が気になりますね。

事件は解決したのか?していないのか?

見方によっては気にし過ぎだとも言えますし、思わず唸るような余韻が残る憎い演出ですな。

 

 

最終的に”それ”の正体を巡り、アメリカでは様々な憶測が飛び交ったそうです。

性交渉で感染し、ゆっくりと確実に宿主を殺しにやって来るという点で性感染症のメタファーだとか。

自分以外のものには見えず、生活感を180°変えてしまうことから”死”そのもの(余命宣告的な)のメタファーだとか。

 

ちなみに性病については、監督がキッパリと否定しているようですが。

どの説も言われてみれば納得できるようにも見えますし、自分なりに感じとる考察が見つかれば、より深く楽しめるかもしれません。

 

 




 

まとめ

結構怖く、それなりに深い内容のある映画です。

 

評論家向けなテイストが節々に感じられ、絶賛されるのも理解できますが、すごく面白いのかと言われれば個人的には答えづらいところ。

比喩的な演出が汲み取れるかどうかがキモであり、注意力や緊張感が問われるために、万人受けはしないかも。

 

本作よりも怖いホラーはいっぱいあるでしょうし、ちょっとミステリー寄りなのかな。

ただロケ地の絶妙な静寂と、映画を盛り立てる音楽性も素晴らしく、完成度の高い映画ではあります。

まさにニュータイプなホラー映画だと言えるでしょう。

 

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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