リトル・バード 164マイルの恋


(原題:Little Birds)
2012年/アメリカ
上映時間:92分
監督:エルジン・ジェームス
キャスト:ジュノー・テンプル/ケイ・バナベイカー/クリス・コイ/ニール・マクドノー/JR・ボーン/他

 




 

2人の少女の旅を通して、苦悩や葛藤を描くヒューマン・ドラマ。

こう書くといかにもな青春ロード・ムービー風な印象ですが、斜め上な展開とエンディングにより、どうにも首を傾げざるをえない奇妙な作品でした。

 

幼馴染という存在は大抵の人にあるものだと思いますが、利口な子は利口に、アホな子はアホに育つのが人間というものでございます。

人間が持つ”情”という美徳ですが、その用法・容量が分からないのが若さというものでもあり、それ故に自分に不利益なことが起きるのもまた人生。

 

アホな子に足並みを揃える愚かさ、また情にかまけてリスクを考えない愚かさ。

若気の至りと言えば聞こえは良いですが、「踊る阿呆に見る阿呆」を地でいくような映画ですな。

 

 

 

さっくりあらすじ

ソルトン湖に臨む片田舎に住むリリーとアリーは親友同士、”アニメみたいな双子”のようだとも言われている。

ある日スケボーをして遊ぶ少年達に出会い、その中の1人・ジェシーと仲良くなったリリーはLAに来た際の連絡先をもらい、キスをされた。

舞い上がった様子に呆れ気味のアリーを横目に、車を盗んでLAに行こうと言い出すリリー。

町を嫌い、つまらない毎日に鬱憤を貯めたリリーの危うさを気にかけたアリーは、車を出し町を出るのだが、、、

 

 

 

 

リリー(金髪)とアリー(茶髪)
2人はいつも一緒

 

退屈な町に苛立ちを覚え
町を出る決意をする

 

そうして辿り着いたLA
少年達に連絡するが、、

 

 

 

 

 

脱ぎっぷりはお見事

まずは主人公の一人、リリーを演じたジュノー・テンプルの迫真の演技が実に印象深い。

余談ですがフルネームがジュノー・ヴァイオレット・テンプル、もう響きがカッコいいよね。
(意味不明)

 

 

退屈で鬱屈した自分の人生に嫌気が差し、LAの都会っ子にあっさりと惚れる世間知らずな少女として、かなりの説得力を持たせた演技は素晴らしいの一言。

リリーは文字通り、若気の至りを体現するような少女です。

後先を考えない若さ、それがもたらす軋轢や問題、誰が見ても文句無しのトラブルメーカーですな。

このまま成長すればもっと面倒な女性になるであろう可能性が垣間見えますし、よほどのことが無ければ反省や更生をすることもないでしょう。

残酷な言い方になりますが人に迷惑をまき散らし、なおかつそれを省みることもない態度には、ネガティブな将来性を予想させる何とも言えないやるせなさを感じます。

 

そんなリリーに振り回されつつも、受動的に問題をまき散らすアリーもまた存在感を発揮します。

リリーに比べ地味で(劇中での扱いは)ブサイクで、常識的な考え方はできるものの「心配だから」を合言葉に、なし崩し的にトラブルメーカーとなっていきます。

コレもね、あくまでリリーのアホさ加減が際立っているだけで、この子もそれなりにアホなあたりが映画のキモですな。

LAボーイズにハマっていくリリーに憤り、愛想を尽かしたかと思えばとんでもない事件を巻き起こす。

地味な存在がブチ切れた時の瞬発力は常識を凌駕し、開いた口が塞がらないインパクトを与えます。

 

 

多感で複雑なメンタルになる少女達のロードムービーとして、悪くはない内容だと思います。

ただし、淡い恋心と閉鎖的な町からの脱出を描いた作品にしては、描いた物語が生々しいというか何というか。

刹那的で向こう見ずな少女達の物語として、儚さと悲哀を感じはするけれど、この映画を肯定的に捉えられる人がどれだけいるのかな?と思うわけですよ。

 

極めて自己中心的で、親友であるはずのアリーの事など微塵も考えないリリー。

そんなリリーに憤慨しながらも、やはり「心配だから」を合言葉に危うく望まぬロストバージンまでするとこだったアリー。

そして不良少年たちの影響をモロに受け、なし崩し的に犯罪行為に手を染めていく2人。

自分が15~16歳の時にこの映画を観たら何と思うのだろうと反芻もしますがね、やはり大人として思うのは「アホな子と関わっちゃダメ」の一点に尽きます。

 

 

夢に理想を重ね、地に足がついてないことすら気づかないリリー。

「他にいなかったから親友になった」と告げられても、相変わらず友を見捨てないアリー。

何だかねぇ、、美しい友情物語のはずなのにねぇ、、あまりのアホさ加減におじさん溜息でちゃうのよ。

 

全体的な映像美と音楽性はどちらも素晴らしく、印象的なシーンの数々に印象的なBGMの数々が映画を彩ります。

脚本的にも穴があるわけでもなく、つまりは良くできた映画なはずなのに、何でか手放しで褒められない。

どうにも複雑な気持ちにさせられる作品です。

 

 




 

 

まとめ

個人的にはそれなりに面白く、興味深い内容ではありました。

シニカルでイノセントな情緒と女同士の友情の建前や綻びを描く作品として、価値の感じる映画だと思います。

しかし、彼女らが迷い込む不良な世界と、結果的に引き起こす犯罪の数々は殆どの人が否定的に捉えるであろうことも十分に理解できます。

 

若さ故の勢いを間違った方面に描いた内容は、到底万人受けするものではないでしょう。

青春の1ページを生々しく、ダークサイドに寄せた作風は玄人向けな印象です。

 

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。



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