マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋


(原題:Mr.Magorium’s Wonder Empolium)
2007年/アメリカ
上映時間:94分
監督:ザック・ヘルム
キャスト:ダスティン・ホフマン/ナタリー・ポートマン/ジェイソン・ベイトマン/ザック・ミルズ/テッド・ルジック/他

 




 

ダスティン・ホフマン&ナタリー・ポートマンが送る、摩訶不思議なファンタジー映画。

面白おかしい不思議な玩具店を舞台に、謎のオーナーと従業員の女性が織りなす物語です。

 

気合の入った色彩豊かな演出には目を見張るものがあり、子供向けな脚本を大いに彩ります。

細かい不満が多く数えられる映画ではありますが、親子で観る分にはまぁまぁかなと思います。

 

 

 

さっくりあらすじ

嘗て天才ピアニストと評されたモリーは、自身の才能に行き詰まっていた。

彼女が支配人を務める「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」は常に子供達で溢れかえっている。

ピアニストとして生きていきたいモリーは転職したい旨をマゴリアムおじさんに告げると、「冒険には道具が必要だ」と木製のキューブを受け取った。

創業113年のおもちゃ屋では利益を調べたことがなく、マゴリアムおじさんは会計士を雇うことにする。

そうして雇われた会計士のヘンリーは、納税記録や営業許可証などが無いおもちゃ屋が、何故に急に資産整理しようと思ったのかを疑問に思う。

問われたマゴリアムおじさんは「これから”消える”」予定だと告げ、モリーに店を譲渡しようとするのだが、、、

 

 

 

 

 

オーナーのマゴリアムおじさん
支配人のモリー

 

会計士のヘンリー
よく分からん面接で雇われた

 

お店のお手伝いのエリック
この子超可愛いんだ

 

 

 

 

 

調整不足

現実社会に溶け込む不思議なおもちゃ屋さんとして、ユーモアとアイデアが詰まっている店舗の演出は素直に面白いものです。

所狭しと置いてある玩具の数々に、アトラクションの様な遊戯部屋、子供目線で考えたら最高のエンターテイメントになることでしょう。

ただし、あくまで映画として考えれば、脚本的に綻びがあり過ぎて、正直あまり楽しめません。

 

まずはおもちゃ屋さんの描写がね、大人目線で見るには少々堪えます。

「不思議」というよりかは「不自然」といった感覚の方が近く、何とも言えない違和感が拭えません。

実際にお店に入ったならば、ワクワクするような高揚感ではなく、早く退出したいような焦燥感を感じそうです。

ゴチャゴチャとした店内に、ファンタジックに動き出す玩具の数々に、まともに話の通じないオーナーにと、常識的な大人なら確実に不快感の方が勝ると思います。

 

 

主な登場人物は店主のマゴリアムおじさん、支配人のモリー、お手伝いのエリック、そして会計士のヘンリーの4人。

各々がそれぞれの想いや悩みを持ち、様々な苦難を乗り越える風な脚本ではありますが、ここが最大の問題点ですな。

キャラクターに対しての明らかな練りこみ不足が顕著であり、それぞれの心理描写や成長が極めて分かりづらい。

ファンタジー要素が強めな作品だけに、それを支える脚本が力不足で、結果として中身の無い空っぽな映画になってしまったのが最も残念なところです。

 

 

240歳のマゴリアムおじさんの存在自体がそもそも意味不明ですし、彼も「消える」とは言いますが「死ぬ」とは言っておらず、ファンタジックというよりは投げっぱなしな印象。

その理由も「お気に入りの靴が(履き潰して)無くなったから」という難解なものですし、最初から最後まで問いかけた謎が解けることはありません。

 

またマゴリアムを慕う従業員のモリーも立ち位置として微妙なところ。

魔法の存在を信じてはいても、マゴリアムが”消える”という意味は理解しておらず、どこまでマジで信じているのかに疑問が残ります。

 

メインはこの2人が織りなすドラマなだけに、意味不明な2人が意味不明な言動を繰り返すと、観ている僕らには全く意味が分かりません。

総じて掴みどころのない、不思議ちゃんの与太話を聞いているような感覚ですな。

 

 

そんな微妙な作品ではありますが、唯一の見どころは空っぽな内容を埋めてくれる素晴らしいキャスティングです。

 

ダスティン・ホフマンとナタリー・ポートマンという2人の実力派俳優はやはり素晴らしく、特に見所の無い本作を限界まで盛り上げています。

考えが読めず、言動もよく分からないマゴリアムおじさんの魅力はそのままダスティン・ホフマンの魅力と言っても差し支えないでしょう。

柔らかい笑顔、暖かみを感じる喋り方、無邪気さを隠さずに人と接する姿は微笑ましく、これはもう素晴らしい演技ですよ。

 

対するナタリー・ポートマンは相変わらずお美しいお方。

あれだけの攻めたショートヘアでも、その美貌には寸分の狂いもありませんな。

友情や愛情を超えた絆で繋がっているマゴリアムおじさんとのやり取りも、やはり微笑ましく美しいものです。

 

さらに脇役として存在感を発揮するジェイソン・ベイトマンも良い仕事をしてます。

この人も結構なカメレオン俳優としての素質があり、何を演じさせてもしっくりくる説得力に長けていますね。

 

あと特筆すべきはお手伝いの少年・エリックを演じるザック・ミルズ。

詳細は知りませんが、恐らくはメキシカン系アメリカ人であろうザック君ですが、もうとにかく可愛い。

年相応に無邪気さを残す少年ですが、同世代と仲良くできない立場からか、少しだけ背伸びをしているような描写がとにかく可愛らしい。

クリクリな目にオシャレな帽子も相まって、本作で一番魅力的なキャラクターだと思います。

 




 

まとめ

「面白いのか?」と問われれば、ハッキリ答えます「そうでもない」と。

 

映画としての抑揚に欠け、あまり盛り上がりどころも無く、やはり中身の無い作品だという印象に尽きます。

あんまりオススメするような映画ではありませんが、先述したように俳優の演技力や、色彩豊かな美術は観て損は無いと思います。

 

オススメはしません。

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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