ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女


(原題:Millennium/Män som hatar kvinnor)
2009年/スウェーデン/デンマーク/ドイツ
上映時間/153分
監督:ニールス・アルデン・オプレヴ
キャスト:ミカエル・ニクヴィスト/ノオミ・ラパス/レナ・エンドレ/ミカリス・コウトソグイアナキス/ピーター・アンダーソン/他

 




 

スウェーデンの作家、スティーグ・ラーソンの小説シリーズを映画化したサスペンス。

2002年頃から執筆を始め2004年に出版社と契約するも、心臓発作で亡くなり、翌2005年に出版された遺作でもあります。

 

ジャーナリストであり反ファシズム的な雑誌の編集を務めるなど、かなり社会的・政治的な思想を持つ作家だったようで、その思想は形を変え映画にも色濃く反映しているようにも思えます。

初作「ミレニアム1/ドラゴン・タトゥーの女」は世界で800万部を超えるベストセラーとなり、スウェーデンでの映画化では世界で1億ドルを超える大ヒットを記録しました。

ちなみにハリウッドでもリメイクされたので、聞いたことのある人も多いのではないでしょうか?

 

 

 

さっくりあらすじ

実業家のハンス・ヴェンネルストレムの不正を暴き、報道した雑誌「ミレニアム」の責任者・ミカエルだが、逆に名誉棄損の有罪判決を受け、一度「ミレニアム」から距離を置くことになる。

時を同じくして、大企業グループの前会長であるヘンリックが弁護士を通じ、ミカエルの身辺調査を依頼していた。

その調査を担当したのは背中にドラゴンのタトゥーを背負う、小柄な少年のような女性・リスベット。

彼女の調査結果によりミカエルが信用に足る人間だと判断したヘンリックは、36年前に突如失踪した少女・ハリエットの調査を依頼してくるのだが、、、

 

 

 

 

雑誌「ミレニアム」の責任者・ミカエル
悪事を暴く優秀な記者

 

天才ハッカー&凄腕調査員・リスベット
基本的にコミュ障

 

何故か噛み合う二人

 

 

 

 

ツンデレ・バディムービー

ハリウッド版の方は観ていないので無責任な発言になりますが、個人的にはキャスティングの面でこちらのスウェーデン版の方をオススメしたい。

そりゃミカエルを演じるミカエル・ニクヴィストよりもダニエル・クレイグの方がカッコいいし、ノオミ・ラパスよりもルーニー・マーラーの方が可愛いでしょう。

しかぁし!本作に限っては地味な方を選ぶのが正解かな、と。

 

エンターテイメント性よりも社会的なメッセージ性の方が強めな作品なので、ヴィジュアル的な洗練さや、映像的な派手さは蛇足とも取れてしまうんですよね。

特に第二の主人公・リスベットは重要で、社会に対する反骨心や男性に対する憎悪はメチャクチャ強くとも、結局は女性であり肉体的に弱いところに意味があるわけで。

やたら”強い女性”を描くことに躍起になっているハリウッドには無い価値観でしょうし、作者が名付けた”リスベット”とは実際に性的被害に遭った方の名前だそうで、やはりこっちの方が演出に意味がある気がします。

 

 

そんな内面の脆さをパンクファッションの鎧で隠す女性・リスベット、そしてそれを演じるノオミ・ラパスの演技は圧巻で、女性的な肉体のか弱さと、メンズをとことん痛めつける凶暴性は必見です。

基本的に感情表現に乏しくコミュニケーション能力に欠ける女性ですが、これがまたね、ツンデレっぷりが個人的にツボでもう超可愛い。

 

対して紆余曲折してリスベットと調査をすることになったミカエルですが、演じるミカエル・ニクヴィストの雰囲気も映画に合っていると思います。

不正を許さず、圧力にも屈しない芯の強さがありますが、知的で冷静であり、何よりもどこか優しさと包容力を感じる眼差しが素敵です。

端的に言えばリスベットが惚れるポイントはこの”誠実な優しさ”であり、あえてヴィジュアルに頼らないキャスティングはここに意味があります。

 

 

物語としては過去に失踪した女性の後を追うようなストーリーであり、やや閉鎖的な島で暮らす富豪とその一族の影を掘り下げていくものになります。

しかし3部作の背景として、一貫して描かれるのは不正とパワハラと女性に対する暴力や虐待であり、いつの時代も、どこの国でも普遍的に起きる社会問題が提起されています。

この社会的な影を、被害者的な視点でくっきりと浮かび上がらせる根底があるからこそ、よくあるサスペンスとは一線を画す仕上がりになっているのだと思います。

 

 




 

まとめ

性的な暴行を含めた、ややえげつないシーンもあるので女性は嫌がりそうな内容ですが、見ごたえは十分でありオススメしたいところ。

2時間半を超える作品の上、北欧独特の名前が多数登場するので疲れる映画ではありますが、骨太な長編サスペンスとして悪くない内容かなと思います

 

ちなみに長編3部作ということですが、1作目は謎解きがメインで、2作目と3作目はリスベットの過去の清算という側面が強いです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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