マイ・ブルーベリー・ナイツ


(原題:My Blueberry Nights)
2007年/香港・フランス・中国
上映時間:95分
監督・ウォン・カーウァイ
キャスト:ノラ・ジョーンズ/ジュード・ロウ/ナタリー・ポートマン/レイチェル・ワイズ/デヴィッド・ストラザーン/他

 




 

世界的なジャズ・シンガーであるノラ・ジョーンズと、セクシー俳優の代表格であるジュード・ロウが送る、心に傷を抱えた男女の恋と再生を描いたロマンス・ドラマ。

「恋する惑星」や「天使の涙」で有名なウォン・カーウァイ監督初の英語作品でもあり、ウォン監督ならではの独特な洒落っ気とBGMが優しく染み込む癒し系ですな。

 

ゆっくりとしたテンポ、舞台はアメリカだけれども随所に感じるアジアンなセンス、色調の低い落ち着いた色合い、そしてジャズ調なミュージック。

お酒とつまみを用意して、暗めの照明でゆっくりと観て欲しい大人な作品です。

 

 

 

さっくりあらすじ

突然フラれたエリザベスは元彼の家の向かいにあるカフェにて別れの原因を探ろうとするも、カフェオーナーのジェレミーに元彼は他の女性と一緒にいたことを告げられる。

なかなか立ち直れずにいたエリザベスだが、ジェレミーとの会話や彼が作るブルーベリー・パイに癒され、カフェに通い始めるようになる。

またジェレミーもエリザベスが来店することが楽しみになり、彼女のためにパイを残しておくようになった。

徐々に距離を縮めていく二人だったが、元彼が新しい彼女と一緒にいる姿を目にし、深く傷ついたエリザベスはジェレミーから離れ旅に出るのだが、、、

 

 

 

 

絵になる二人

 

とっぽいナタリー・ポートマン
超かわいい

 

ブルーベリー・パイ
いつも売れ残る

 

 

 

甘いだけじゃない

”辛酸を舐める”なんて言葉がありますが、どちらかと言えば酸味の強いブルーベリーのように”甘い”だけではまかり通らないのが人生というものです。

人格が凝り固まった大人になれば諍いやすれ違い、そして悲しい別れと、修復しづらい傷というものが往々にしてあるもので、また怪我や病気と一緒で治るのにも時間がかかるのだと思います。

謝って「ハイ仲直り」とはいかないことも多いですし、一方的にフラれるというのは万人共通で置き場の無い哀しさに包まれるものです。

 

 

そんな酸っぱめな味付けではあるものの、物語としては傷心→自分を見つめ直す→素敵な人と人生をやり直すという王道なもの。

序盤と終盤はロマンスが香る定番なものですが、中盤はどちらかと言えばドラマ寄りな内容であり、いわゆるロードムービーといった感じ。

 

極めて自然な流れではあるものの、必須な内容だったかと言えば微妙なところですが、ありきたりなロマンスに終始しなかったのは個人的に評価したいところかな。

ただ映画としての焦点がボヤケ気味なのは確かで、それ故に感じる間延びした雰囲気は好き嫌いが分かれそうなところです。

 

 

主人公・エリザベスを演じるノラ・ジョーンズが、なかなかどうして素晴らしい演技力を発揮しています。

「歌も演技も出来るマルチタレント」くらいの感覚で捉えていましたが、予想以上に気持ちのこもった演技は堂々たるものです。

 

対してジュード・ロウの存在感も圧巻の一言。

今回では溢れ出るスター性を極力抑え、どこか素朴な雰囲気を醸し出す演技力はさすがですな。

エリザベスを優しく見守る懐の深さ、それでいて時に必死に接しようとする姿は微笑ましくも素敵な男性の姿ではないでしょうか。

本当にカッコええなぁ。。

 

 

後は余談ですが、アメリカ映画によく登場するダイナーって良いよね。

パンにベーコンに卵料理、あとは各種パイがあったりと、個人的にこういう店が大好きです。

日本じゃなかなかお目にかかれないのが悔やまれますなぁ、、いっそ自分でやろうかな。。

 




 

まとめ

人が原因で心を痛めた時に、心を癒してくれるのはやはり人なようです。

ウォン・カーウァイ監督の作品は良くも悪くも起伏の少ない単調な作風であり、人によっては退屈に感じることも少なくないでしょう。

 

しかし日常に潜む些細な苦難、そして日常に転がっている些細な幸せを噛みしめる味のある映画だとも言えます。

メッセージ性があるような無いような、薄いカルピスを温めて飲んでいるような不思議な心地よさがあるんですよね。

 

耳心地の良い音楽と共に、寒い冬の夜のお供にどうぞ。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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