パーフェクト・ストーム


(原題:The Perfect Storm)
2000年/アメリカ
上映時間:130分
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
キャスト:ジョージ・クルーニー/マーク・ウォールバーグ/ジョン・C・ライリー/ウィリアム・フォクナー/ダイアン・レイン/ジョン・ホークス/他

 




 

2つの驚異的な自然災害が合体し、未曽有の嵐(パーフェクト・ストーム)の脅威を描いたネイチャー・パニック系作品。

遠洋漁業に出かけた漁師たちの物語であり、実話に基づいた話なんだそうです。

 

この手の作品は基本的にどう絶望的な脅威に晒され、どう立ち向かい、どう終わるかの3点だけが重要になります。

製作者が何を訴えたいのか?

どういったものを演出したいのか?

シンプル故に深い思考が必要であり、作り手の技量が分かりやすいジャンルだとも言えますね。

 

 

 

さっくりあらすじ

1991年、メカジキ漁が不漁に終わったアンドレア・ゲイル号の船長・ビリーは船主から少ない漁獲量に対して嫌味を言われ、また船員からも不満の声が漏れていた。

思い立ったビリーは2日後に再び漁に出ることを宣言し出港、セーブル島東550キロへと航行し、意気揚々と漁を開始し仕掛け始める。

気象庁がハリケーンの発生に警戒を強める中、荒れ始めた海で漁を続けるも成果は出ず、船内に苛立ちが募る中でとうとう船員に怪我人まで出てしまう。

天候は悪化の一途を辿り、転覆の危険もあり船員は不安を訴えるがビリーは聞く耳を持たず、進路をさらに東へ進ませる。

”魚の宝庫”とも称されるエリアでようやく大漁を掴み、船室がメカジキで埋まっていくが、製氷機が故障してしまったことによりゲイル号は港に帰ろうとするのだが、、、

 

 

 

 

アンドレア・ゲイル号船長のビリー
不漁にお悩み中

 

そんな船長に忠実な船員たち
やや不満が溜まり気味

 

漁に出たゲイル号
未知の嵐に遭遇するが、、

 

 

 

 

で、なんなんだ?

という感じで、イマイチ作り手の意図が伝わらない不思議な作品です。

不漁に悩み、一攫千金のラストチャンスを狙って不安定な気候の中で漁をする。

結果的に大漁をゲットするも時すでに遅く、危険な荒波に抗いながらも自然の驚異に翻弄され続け、、、と、傍から見ればリスクを取って失敗した人達にしか見えないんですな。

 

ちなみに筆者は港町の出身ですが、そもそも漁業という仕事は見た目以上に危険な仕事ですし、長く経験していれば誰でもヒヤッとするような場面に出くわす経験はあるそうです。

それ故にベテランは安全管理を徹底してますし、何せ海に出る以上は最悪死ぬことも想定されています。

その上で考えれば本作は「過ぎた欲は身を亡ぼす」という意味かなと受け取れますが、恐らく製作陣の意図はそういうことではないでしょう。

 

実際にあった事故をモデルにしているとはいえ、生存者がいないのであれば事故の詳細も分かるわけもなく、結局はフィクションな物語に該当します。

ということは物語の大半が脚色されていると予想できますし、つまりはより内容の濃い脚本にもできたということにもなります。

そういった前提で考えれば、あくまで災害パニック映画の枠からは出ることもありませんし、もう少しエンタメ性を重視しても良かったかなぁと。

逆にノンフィクション・ドキュメンタリーに寄せるのであれば、亡くなった方々に対する追悼と感謝のメッセージくらい流れても良かったんじゃないかなぁと。

 

映像的には非常に良く作りこまれていて、海と波の怖さは嫌って程によく伝わります。

もう何とも言えない怖さ、やるせなさ、絶望感と、実際に自分が船にいるかのような恐ろしさが体感できますよ。

ただね、やっぱり実際にあった事故なだけに、「わおー!波やべー!」という気持ちにもなれず、何とも言えない切なさと哀愁が漂うわけで。

 




 

まとめ

海難事故で多くの人が亡くなっている現実もありますし、良くも悪くもリアルな映画なのでしょう。

結末も含めて極めて現実的で地味な印象ではありますが、逆に言えばご都合主義な作品に飽き飽きしている人にはうってつけですかね。

とはいえ、正直なるべくしてなったような事故ですし、大迫力で恐ろしい波の映像も抑揚の無い脚本を帳消しにするほどには魅力を感じませんでした。

 

エンタメ作品としてはイマイチだし、ドキュメンタリー風にしてもちょいと微妙、そんな印象ですかね。

それでも決して駄作ということもなく、一度は観ても損の無い作品だとは思います。

 

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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