貞子vs伽椰子


2016年/日本
上映時間:99分
監督:白石晃士
キャスト:山本美月/玉木ティナ/佐津川愛美/安藤政信/菊池麻衣/甲本雅裕/他

 




 

日本が誇る、怨霊の代表格である貞子さんと伽椰子さんによるタイトルマッチを描いたホラー映画。

初めて聞いた時は何の冗談かと思いましたが、ハリウッドではお馴染みの”vs”シリーズにまさかジャパニーズ・ホラーが参戦するとは。

 

シリーズ化される毎に後付け設定が乱発され、純粋な恐怖感が濁っていった過去作たち。

そういったホラー・ブームの衰退が感じられ始めた現代において、ここまで博打的な作品を公開する度胸には頭が下がる思いではあります。

誰もが思いつきもしなかった、夢の頂上決戦はいかなるものでしょうか?

 

 

 

さっくりあらすじ

大学生の倉橋有里は、親友の夏美から両親の結婚式を記録したビデオのダビングを頼まれた。

ビデオデッキを持っていない有里は近所のリサイクルショップで見つけた古いデッキを購入、早速ダビングの準備をすると中から汚れたビデオテープが出てくる。

夏美の制止も聞かず、興味本位でテープを再生すると有里の携帯電話に着信が入るが、それは友人からだった。

携帯電話に集中している間に映像は終わってしまい、もう一度観ようとするも夏美は怯えて嫌がり、そして今度は夏美の携帯電話に着信が入る。

有里は「呪いのビデオを観ると電話が鳴り、そして2日後に死ぬ」と、大学の講義で聞いたことを思い出すのだが、、、

 

転勤により、急な引っ越しを終えた高校生の鈴花の家の向かいには、立入禁止と書かれた古い家がある。

かつてその家に住む家族が皆死んでしまい、その後もその家に住む人たちは様々な理由で亡くなったという話を聞き、鈴花はクラスメイトに近づかないように忠告を受ける。

ある日、鈴花はその家の前で見かけた小学生4人組が行方不明だという噂を聞き、不安が胸をよぎる。

夜になると窓越しに少年の姿を見かけたような気がして、気になった鈴花はその家に入ってしまうのだが、、、

 

 

 

 

赤コーナー・山村貞子
必殺技は”呪いの目”

 

青コーナー・佐伯伽椰子
物理攻撃が強力

 

 

 

 

歴史的終焉

どこまで真面目に作ったのかは分かりませんが、良くも悪くもジャパニーズ・ホラーの歴史に終止符を打った記念的な映画だと思います。

「ナルトとルフィはどっちが強いか?」というような不毛な問いかけを映像化し、明かなイロモノ企画を実現した決断力こそ褒めて然るべきかなと。

 

思えば「リング」が公開され、貞子が初めて登場したのが1998年。

「呪怨」が公開され、伽椰子が初めて登場したのが2000年。

いずれにせよ、20年近くも第一線でありつづけた2人の怨霊には「お疲れ様」という声の一つでもかけてあげるべきじゃないでしょうか?

 

 

物語としてはビデオを観て呪われた女子大生と、家に入っちゃって呪われた女子高生のエピソードを交互に挟み、収束していくという構成。

互いにシリーズ作品とは微妙な設定の差異はありますが、まぁそこまで気になるものでもないでしょう。

不気味で物々しい雰囲気は良く出てますし、キャラの立った霊能者も出ますし、それなりの盛り上がりはあると思います。

 

強いて言えば呪われた女子たちに個性が無く、呪われた経緯のうっかり度合いと、ひたすらにキャーキャー騒ぐ演出によりちょいと不快感が漂いますかね。

理不尽に呪われたわけではなく、なるべくしてなった事態に見えるので、どうにも感情移入しづらいのが難点か。

目玉が大物怨霊2人のタイトルマッチなのは分かりますが、むしろそこに持っていくまでの途中経過に少々雑さを感じます。

 

 

むしろ2人を助けるべく頼った、アウトローな霊能者の方がよっぽど印象的。

ぶっきらぼうな若い霊能者と、不愛想な幼い助手と、どこかで見たようなコンビは何とも魅力的です。

挨拶代わりに唱えた呪文と印で、あっさりと夏美の呪いを緩和するサマは超クール。

修羅場を潜り抜けた感のある霊能者ということで、八方塞がりな空気感を打開できそうな頼もしい姿は素直にカッコイイものですな。

 

で、色々とあって呪われた2人の女性を救うため、呪いに呪いをぶつけるという解決策を見出すわけで。

まさに”毒を以て毒を制す”というわけで、死刑囚を捕まえるためにオリバを解き放つが如し展開にはなかなか熱いものがあります。

 

そして目玉となる貞子vs伽椰子の戦いも、尺は短めですがそれなりに面白いっす。

怨霊と怨霊が戦う姿など、観たことあるようで無いジャンルの演出は興味深いもので、「おぉ、こうなるのか」と思わず唸るような迫力がありますね。

 

 

結末はやや否定的な意見が多いように感じますが、個人的にはコレはコレで何の不満もありません。

むしろどういった結末だったらしっくりくるのかの見当もつきませんし、賛否はあれどこういう選択を選んだのは決して悪くはないんじゃないすかね?

一連のシリーズの結末としては、それなりに納得できる判断だったような気もするんだけどねぇ。。

 




 

まとめ

結果的にネタっぽくなってるだけで、決してネタありきのふざけた作品ではありません。

恐らく続編は無いでしょうし、これで見納めだと思うと怖さよりも感慨深さの方が勝ってしまうのは仕方がないところでしょう。

内容は薄くとも2つのエピソードはテンポ良く進みますし、映画としては及第点な完成度だと思います。

 

個人的には期待以上の満足度です。

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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