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SOIL

      2018/08/17

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SOIL
2003年~2010年
作者:カネコアツシ
月刊コミックビーム(エンターブレイン)
全11巻

 




 

ポップでカラフルでクレイジーな奇作「BANBi」で有名な作家・カネコアツシ氏によるミステリー漫画。

もはやミステリーの一言で片付くのかすら不明ですが、あらゆる登場人物の視点を通し、謎が謎を呼ぶ不可思議で魅力的な作品です。

 

基本的にややマニアックなコミックビーム作品な上に、独特のタッチで描かれる作風は人を選ぶモノではありますが、この独自の感性はハマればとことんクセになる中毒性があります。

とはいえ脳内補完が必要なストーリーなので、気楽に読めるようなモノではありませんがね。

 

 

さっくりあらすじ

神奈川県某所にある新興住宅地「そいるニュータウン」に町全体規模の停電が発生し、鈴白一家と警官1名の失踪事件が起きる。

傲慢でセクハラを繰り返す横井巡査部長と人見知りの激しい小野田巡査、2人の刑事は失踪した4名の捜査のためにはるばる「そいる」までやって来ることになる。

 

5年前に引っ越してきた鈴白家の夫はピアノの調律師としてピアノ教室を開き、妻はフラワーアレンジ教室を手掛け、娘の水紀は容姿に恵まれ成績も良く人気者。

”理想的な家族”であった鈴白家は食卓に食事を残し、夕食の団欒の最中に姿を消してしまった。

小野田は水紀の部屋で不気味な塩の塊が見つけるが、同時に水紀が通っていた学校の校庭にも大きな塩の山が見つかる。

 

「皆が幸せである街」であるそいるニュータウン、捜査の過程でその闇と”異物”の存在が浮かんでくるのだが、、、

 

 

小野田巡査と横井巡査部長
独特の絵柄ですが、すぐ慣れますよ

 

 

 

 

 

比類無き”闇”

先述したように独自の画風がとっつきづらい本作ですが、物語も負けじと難解なものになっております。

登場人物は決して多くはないものの、それぞれの視点や時間軸が交錯し、さらに次々と発生する”謎”が読者を翻弄していきます。

 

特に本作を象徴するようなテーマとして、「解けたらそれは謎ではない」という初見殺しな物語は非常に難解なもの。

先を読み進め、理解し、解決したところで結局は謎という仕様は、明らかに現代の漫画には無いエッセンスと言えるでしょう。

 

ぶっちゃけて言えば「結局意味が分からんよ」とも言えますが、各々が解釈できる余白が残されているあたりが中毒性の原点とも言えると思います。

難解な物語は集中を生み、続きが気になる頃にはもう独特の画風も全く気にならず、むしろ圧倒的な画力が織りなす迫力を感じ取れるはずです。

 

 

物語序盤は何てことの無い日常に潜む闇、そしてそれに伴う社会の闇を中心に進みます。

何となしに感じる不気味な空気感を漂わせながらも、どこかコミカルところが多く意外と読みやすいのではと思います。

 

しかし中盤に差し掛かると一転、異常が異常を呼び、超常現象も含めた斜め上な展開に。

このあたりで賛否が大きく分かれるところだと思いますが、個人的には非常に興味深く、夢中になる内容だと思います。

 

ただぶっ飛びすぎな傾向はあるので、やはり万人に勧められるものではないのかなぁ。。

 




 

まとめ

しつこいようですが、読む人を選ぶ作品です。

カネコアツシ氏は紛れもなく天才だと思いますが、それについていける人は多くはないのでしょう。

でもハマる人はとことんハマるのは間違いありません。

 

物語としての内容はともかく、作風が苦手だからと敬遠するのは非常にもったいない。

前作「BANBi」の方がいくらか初心者向けではあるので、カネコ氏の世界の入門編としてはそちらの方がオススメです。

「あれはどういうことなんだ?」と思わせる深い内容、探求心を煽るテーマ性、聞いたこともない数学基礎論や不完全性定理という学問。

 

面白いのには訳があります。

ぜひ一度ご拝読くださいませ。

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