王妃の紋章


(原題:満城尽帯黄金甲)
2006年/中国
上映時間:114分
監督:チャン・イーモウ
キャスト:チョウ・ユンファ/コン・リー/リウ・イエ/ジェイ・チョウ/チン・ジュンジエ/他

 




 

 

「HERO」や「LOVERS」、最近だと大作「グレートウォール」などを手掛ける中国の巨匠チャン・イーモウ監督による歴史ドラマ作品。

豪華絢爛の一言に尽きるような煌びやかで贅沢なセットや衣装、その中で描かれる権謀術数と人間の闇。

ご存じ「映画天国」での視聴でしたが久しぶりにタバコもトイレも行かず、テレビの前に釘付けにされる映画でした。

「三国志」以外の中国の歴史などさっぱり分かりませんが、そんな人間でも熱中させるほどの重厚感溢れる映像。

素晴らしい役者たちによる深みのある演技。

歴史の詳細や背景などを知らなくとも楽しめる傑作かなと思います。

 

 

 

さっくりあらすじ

西暦928年の五代十国時代。

後蜀王国は戦らしい戦も無く平和な統治が続いていたが、王と王妃の間は冷めきっており、宮廷内には不穏な空気が漂っていた。

王妃は王と亡き第一夫人との間に生まれた皇太子・(シャン)との不義を続け、それを知った王は薬と偽り一日に数回毒を盛り始める。

皇太子として生まれたは自身より文武に優れた次兄・(ジエ)を次期国王として推薦し、自身は王宮お抱えの医者の娘と地方で暮らすことを望んでいる。

赴任先から帰還した次兄であり王妃の娘・は体調不良に悩まされながらも一心不乱に刺繡を続ける母に何かを感じ取る。

そんな兄に憧れ、自身も何かを成し遂げたい三男・(チョン)は誰からも寵愛を受けず不満を募らせる。

そして父の言うがままに、医者の娘は今日も薬と偽って毒を煎じるのだが、、、

 

 

 

中心人物・王妃
超美人

 

厳格な王
まさに王の王たる存在

 

王宮に使える薬師の娘
超絶エロ可愛い

 

 

 

絢爛華麗な王宮に潜む愛憎

この映画は本当にすごいです。

金や銀をはじめ、極めて豪華に彩られた王宮や衣装はそれだけで一見の価値があり、その金色の生活に潜む愛や憎しみ、重なる陰謀や駆け引きは観る者を引き込む魅力に溢れています。

まさに歴史スペクトラム大作とも言えるその壮大さは、アジア映画の中では比類なきものだと言えるでしょう。

北京オリンピックの総合演出も手掛けたチャン・イーモウという監督はとにかく”魅せる”映像や演出作りに長けていますね。

 

物語としては”菊の節句”に向けジワジワと王妃の謀殺を企む唯我独尊な王と、王の息子である皇太子(王妃とは血の繋がりは無い)との不貞を続けていた王妃が逆に王の謀殺を企むというもの。

皇太子は皇太子で王妃との不貞を避け、恋に落ちた医者の娘との生活を望み、統治する能力や実績に欠ける自分の代わりに次兄を次の王に推挙するように訴えます。

 

また赴任先から帰還した次兄は母の体を案じ、”王の部下”という立場と”王妃の息子”という立場の間で揺れ動き、唯一無邪気に振舞っていた三男もまた胸に秘めたる思いを抱えています。

そして王宮医は王の望みに忠実で毎日トリカブトを煎じ、娘は何も分からないままに”薬”と称した”毒”を王妃の元へと運び、皇太子との密通を重ねています。

 

 

端的に言えば王妃は女性として愛されることを望み、皇太子は自由を求め、王妃の息子たちはひとかけらの愛情を求め、王は自身が定めた厳格な掟を強いる。

王宮の医者は立身出世を夢見て、娘は皇太子と結ばれることを夢見る。

このそれぞれが抱える渇望と策謀が交錯する物語は非常に重厚なものであり、色鮮やかな王宮の中で渦巻く人間の欲は何とも言えない悲しさに包まれているわけで。

その怒りや憎しみ、そして愛情という相反する感情が複雑に混ざりあいながら迎える”菊の節句”にて、王宮全体を揺るがすような大惨事が巻き起こるわけですが、この一連の流れは本当に濃厚で見応え十分です。

 

 

アクションシーンは懐かしさを覚えるようなワイヤー・アクションが中心であり、迫力はあるけれどもCG技術が台頭した今日ではちょいと古臭いかな。

異常な数の煌びやかな甲冑を揃えたり、壮大な戦闘につれての大掛かりなセットはなかなかのものですが、本作に於いてのアクションはあくまでオマケ要素だと思います。

 

壮大な物語の中で登場人物は少ない本作ですが、どの役者も強いインパクトを誇り、素晴らしい演技で魅せてくれます。

王を演じる大御所チョウ・ユンファはさすがというか、厳格な掟を強いる権力者として、思わず媚びへつらってしまうような迫力と威厳に溢れています。

世の中の全てを支配しているかのような傲岸不遜な態度、自分に忠実であれば与え、自分に背けば奪う。

自身が正しいことに何の疑いも持たず、問答無用に他者を緊張させるその姿はまさに”王”そのものであり、よくも悪くも極めて印象的なキャラクターです。

余談ですが、だんだんと武藤敬司に見えてきたのは筆者だけでしょうか?

 

 

対して王妃を演じるコン・リーは非常に印象的で美しく、圧倒的な存在感を発揮しています。

王の謀略で毒を盛られていることを知っていながら、即ちもうじき殺されることを知りつつも一矢報いるために策を練る精神力。

毒の発作で意識が朦朧としながらも一心不乱に刺繍を縫う姿はちょっとした狂気を感じさせますが、その上で息子たち、特に自分よりも若い娘を選んだ皇太子にすら安全を願う優しさも持ち合わせ、これ以上ない女性の強さを感じさせます。

画策したクーデターが失敗するであろうと気付きながらも止まるわけにもいかず、恐らくは最悪に近い結末になってしまった後味の悪さが本作最大の魅力と言えるかもしれません。




 

 

まとめ

言ってしまえば王宮内のドロドロ人間関係を豪華なセットと衣装と人海戦術で彩った作品です。

同じくチャン・イーモウ監督の「グレートウォール」には劣りそうですが、アジア映画でも最高峰の一つに入りそうな程の豪華な演出と、それに彩られた俳優の演技は観て損は無いでしょう。

基本的に救いが無い系の映画なので万人受けは難しそうですし、ぶっちゃけエンディングは個人的に意味不明だったのが引っ掛かりますが、それを差し引いても素晴らしい映画だと思います。

 

オススメです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

おまけ

しかし本作に登場する女性は皆とっても魅力的で、「これでどや!!」と言わんばかりに強調されたバストにメンズなら誰でも目が釘付けにされることでしょう。

美しさとエロスを兼ね添えた完璧な妖艶さであり、極めて高レベルなアジアンビューティーっぷりはやはり中国独自のものかもしれません。

人造人間を量産する韓国や、おバカハーフタレントを量産する日本では決して生まれないであろう魅力がありますね。

特に医者の娘はマジで超可愛い。

こんな可愛い子が寄り添ってくれるのなら皇太子の位を捨てても良いかなぁ、、、さすがにそりゃないか。



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