ザ・フライ

the(原題:The Fly)
1986年/アメリカ
上映時間:95分
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
キャスト:ジェフ・ゴールドブラム/ジーナ・デイヴィス/ジョン・ゲッツ/ジョイ・ブーシェル/ジョージ・チュバロ/レスリー・カールソン/他

 




 

子供の頃の究極トラウマ映画です。

昔は(今もか?)地方にある大型図書館でビデオの貸し出しをやっていて、2~3人が入れる小さなブースでVHSを見れたものです。

田舎で野球しか娯楽の無い少年たちには、無料でエンターテイメントが観れる夢のような空間でした。

 

そして忘れもしない小学3年生の夏休み。

いつものように友人と図書館に出かけ、美人の受付お姉さんに「ザ・フライ」の貸し出しを頼む僕たち。

夏のちょっとした肝試し的なノリで挑戦した映画ですが、ガチで後悔するレベルのトラウマになってしまい、ハエを見るたびにフラッシュバックする後遺症までついて回ることになりました。

 

あれから約25年。

ぶっちゃけあれから一度くらいしか観てないと思いますが、思い出補正もあるのか今でも正直ちょと怖い&グロい。

さすがに映像は古臭いものがありますが、逆に感じる何とも言えない生々しさはなかなかのものです。

ちなみに原作になった作品が公開されたのは1958年、そんな昔に遺伝子の恐怖を描くとは天才ですな。

 

 

 

 

さっくりあらすじ

科学者・セスは物質転送機「テレポッド」で物体を細胞レベルで分解し、異なる場所で再構築し、物体を転送するという研究をしていた。

転送実験では無機物での転送にはすでに成功していたものの、有機物での転送は失敗が続いていた。

ある日、自分を取材しに来た記者のヴェロニカと恋仲になり、彼女の助言をもとにテレポッドの改良を重ね、遂には生物の転送に成功する。

喜びも束の間、ヴェロニカと彼女の元恋人・ステイシスとの関係に嫉妬し、酒を煽った泥酔状態のセスは自らの肉体を実験台に、テレポッドでの転送を行ってしまう。

しかし、セスが入ったポッドの中にハエが紛れ込んでしまい、、、

 

 

 

いわゆるテレポーテーション
物体を分解、再構築するのだが、、

 

teh記者のヴェロニカ
セスと恋仲になるのだが、、、

 

the-fly-1986-jeff-goldblum1転送実験後、超人的な身体能力を得たセス
しかし身体に異常が出始める

 

 

 

 

マッド・サイエンティストの悲哀

重ねて言いますが、大昔の映画のリメイク作品ではありますが、SF的な設定・説明・説得力は非常に秀逸です。

実際に科学的なのか現実的なのかは全く分かりませんが、物体を細かく分解し、転送先で再構築するというのはある意味でステレオタイプな”瞬間移動”じゃないかと思います。

よく分からんけど何となく分かる、そんな説得力が素敵です。

 

ジュラシック・パーク」シリーズや、最近だと「インディペンデンス・デイ:リサージェンス」などに出演している、主演のジェフ・ゴールドブラムですが、本作でのマッド・サイエンティストぶりはかなり迫真の演技です。

天才だけれども独占欲が強く子供っぽい、そんな社会性の欠如を感じさせ、酒の勢いにまかせて危険な実験に挑んでしまう男。

天才ゆえに、研究以外を知らないがゆえに、傷つきやすくもろい心の持ち主として、緊張感のある素晴らしい演技を見せてくれます。

 

 

ストーリー的には説明するまでもなく、人間がハエと化していくお話。

しかしクリーチャー化して見境なく人を襲うわけではなく、一人の人間が人間性を無くしていく過程の描き方がマジで怖い。

 

自暴自棄&一縷の望みに賭ける執念という、おっかない二面性は狂気そのもの。

セスという男の人間としての思考、そして人間でもハエでもない”何か”としての思考が交錯し、何とも言えない不気味さ・恐ろしさに溢れています。

 

 

「遺伝子レベルでのハエとの結合」、こうして文字にするだけでも気持ち悪い事故ですが、後半のセスがハエ化していくヴィジュアル&アクションは人によっては見るに堪えないレベル(褒め言葉)

昆虫って拡大すると大体は気持ち悪く、生理的に受けつけ難いものではありますが、それが人間サイズになればなおさらのこと。

このグロさ、怖さはぜひ観ていただきたいところですが、そういうのが苦手な方は絶対にやめておきましょう。

 

とはいえ、不快で不気味で気持ち悪い映画ですが、終盤にセスが起こすヴェロニカへの行動は結構泣けます。

哀愁漂うハエ人間が最後にヴェロニカにお願いをするシーンは気持ち悪くも美しい、そんな不思議な感覚に包まれます。

一見の価値ありです、直視できればな!

 




 

まとめ

長らく筆者の心に救ってきたトラウマ映画ですが、良くできた映画だとも思います。

この時代に、臭いすら漂ってきそうな生々しいクリーチャーを作れる美術の素晴らしさ、CGではない独特の質感、昔の映画の良いところがギュッと詰まっているのは確かです。

主演のジェフ・ゴールドブラムの快演、ホラー映画なのに”人間性”や”感情”に焦点を絞ったドラマ性も含め、非常に完成度の高い映画と言えるでしょう。

 

ハエ化していく過程のグロささえなければ、ぜひともオススメしたい作品ではあります。

万人に勧められる映画ではないですが、ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

おまけ

量子的な”もつれ”を利用したテレポーテーションには実用化の可能性はあるんだそうで、今でも研究は進んでいるんだそうな。

ただし量子論の話なんてキ〇ガイじゃないと分からないし、最低でも「シュレーディンガーの猫(量子的重ね合わせ)」が理解できないと本当に意味不明な世界の話です。

興味がある人はググってみると良いですよ。

 

 

 



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