ジャングル・ブック

the-jungle-book-2016-poster-header-165110
(The Jungle Book)
2016年/アメリカ
上映時間:105分
監督:ジョン・ファブロー
キャスト:ニール・セディ/ベン・キングスレー/ビル・マーレイ/クリストファー・ウォーケン/イドリス・エルバ/スカーレット・ヨハンソン/他

 




 

なんだかんだで今年一番期待していた映画、個人的に最も好きなジョン・ファブロー監督によるディズニーのファンタジー作品です。

何度も出版や映画化を重ねている同作ですが、元々は1894年に出版された、英国作家ラドヤード・キップリングの短編小説が原作なんだそうな。

 

主人公・モーグリを演じる少年ニール・セディを除く全てがCG、豪華な声優陣、そしてジョン・ファブロー監督と、これほど期待した映画は久しく無かったと思えるほどに楽しみにしておりました。

ハリウッド最高峰の映像制作チームが集結したとされていますが、その名に違わぬ最先端の映像技術は圧巻の一言。

実写でもアニメーションでも表現できない、全く新しい形のエンターテイメントとなっております。

 

 

さっくりあらすじ

ジャングルに取り残された赤ん坊は黒ヒョウのバギーラに拾われ、オオカミの群れの中で生活することになる。

”モーグリ”と名付けられた少年は母オオカミのラクシャに惜しみない愛を注がれ、バギーラに自然の掟と厳しさを教えられ、オオカミの子としてジャングルでたくましく成長していた。

一方で人間であるが故に、オオカミのように振る舞えない自分に悩むモーグリ。

そして乾季がやってきて、水が少なくなるとジャングルの動物たちは休戦協定を結び、互いに争わない誓いを立てて水を分け合っていた。

しかし人間への復讐心に燃えるシア・カーンはオオカミの群れにいるモーグリの存在を認めず、人間であるモーグリを”ジャングルの敵”として付け狙うようになる。

モーグリの存在で群れに危険が迫る中、オオカミ達はモーグリについて話し合うことに。

それを見ていたモーグリはこれ以上迷惑をかけるわけにはいかないと告げ、群れから離れることを決意するのだが、、、

 

 

 

 

狼に育てられた少年・モーグリ
熊との出会いでアイデンティティーを確立

 

(多分)ギガントピテクス
一応、人間の親戚らしい

 

最強の虎、シア・カーン
とある理由で人間を憎む

 

 

 

 

導くのは大人、決めるのは子供

まず、重ねて言いますが、モーグリ以外全てがCGという極めて挑戦的な映画でありながら、予想を遥かに上回る完成度に称賛の声を挙げたいと思います。

スクリーンに映るたった一人の少年、その演技を補完するCGをまるまるエンターテイメントにする想像力。

そしてそれを実現する技術力、全く違和感を感じさせない完成度は群を抜いて素晴らしいものです。

 

CGで描かれる動物たちは文字通り”生きている”ような躍動感に溢れています。

柔らかそうな毛並み、しなやかな筋肉などの造型、さらに水を飲む仕草、微かに感情を表すかのような表情、咆哮で震える口元など、本来動物たちが持つ細かい動きまでが完璧に再現されているんですね。

極端な話、ドキュメントなんかで見る動物の映像と何ら変わらないということです。

 

 

また注目されていた豪華な声優陣も総じて非常に素晴らしく、時にコミカルに、時に頼もしく、そして時に恐ろしく表現されるセリフはどれも秀逸で、まるで動物たちに魂が吹き込まれたかのよう。

その中でも熊のバルーを演じたビル・マーレイと、キング・ルーイを演じたクリストファー・ウォーケンはですな。

ついでに野生の動物たちに合わせ、やや強めに設定されたSE(音響効果)も非常に良く出来ていて、本物の動物たちが動いているかのような説得力が耳を通して伝わってきます。

 

 

ストーリーとしてはディズニー映画だけあってやや子供向けで、特に捻りはありません、良い意味で単純な構成だと言っていいでしょう。

大好きな人(オオカミ)たちに囲まれ、”人間”として手足と道具を器用に仕えるスキルを持ちながら、オオカミとして「掟」を守ることに何の疑問も抱いていない少年・モーグリ。

そんな彼が群れから離れ、未開の地で「狡猾さ」と「危険」を経験し、学んでいきます。

そしていい加減で自由人、その日暮らしを続ける熊のバルーと出会ったことでモーグリの価値観は一変。

「使えるものは使って良い」というバルーの価値観に触発され、喜々としてジャングルでの生活を送るわけです。

 

群れに守られていた少年が初めて自分の意思で決めた”選択”は非常に大きな意味を持ちます。

オオカミとして生きるわけでなく、人間として生きるわけではなく、”ジャングルに住むモーグリ”として、ようやく自身のアイデンティティーを確立できたという意味になるからです。

そんなモーグリを守ろうとするオオカミの群れ、支えてあげようとする熊や黒ヒョウ、利用しようとする猿たち、敵として命を狙う虎。

自分が決めた道を生きようと、数々の難問を乗り越えて成長する彼の姿が本作の一番の見どころとなるでしょう。

 




 

まとめ

精密に描かれた大自然と動物を舞台に、可愛らしさとユーモアを加え、しっかりしたメッセージを添えた秀作です。

絵本の中に飛び込んだような迫力と臨場感、豪華な声優陣たちに息を吹き込まれたキャラクターたち、モーグリを演じるにあたり大抜擢されたニール・セディ君の熱演、どれをとっても非常に素晴らしい出来だと思います。

 

ただシア・カーンをはじめ、本気で襲い掛かって来る動物たちは、リアルなだけにやや怖いっす。

小学生くらいのお子さんだったら、ぜひとも親御さんと一緒に、明るく楽しく鑑賞し、その上でモーグリと動物たちがが教えてくれることを子供に伝えてほしいなと思います。

 

オススメです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



ブログランキング参加してみました。
良ければポチっと押しちゃってください。