(原題:Alien Resurrection)
1997年/アメリカ
上映時間:109分
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
キャスト:シガニー・ウィーバー/ウィノナ・ライダー/ロン・パールマン/ドミニク・ピノン/マイケル・ウィンコット/ゲイリー・ドゥーダン/他
一応は完結したはずの3部作を無理やり新たな定義と設定で復活させた4作目。
リプリーが好戦的、フルCGのエイリアンが遂に登場、あと泳ぐようになる、以前よりも激しさを増した残酷な描写、、、違いはそんなところでしょうか。
評価は分かれそうですが、従来とは異なる設定と世界観で描かれたものであり、こじつけ気味な印象は拭えませんが、個人的にはコレはコレでまぁ納得できる仕上がり。
でも賛否分かれる作品となったようですな。
さっくりあらすじ
3度に渡るエイリアンとの戦いの末、エイリアン・クイーンを体内に宿しながら溶鉱炉へと身を投げたエレン・リプリー。
それから200年が経ち、囚人惑星・ヒューリーに残された血液を使い、42名の軍人と7名の研究員で組織された宇宙実験施設「オーリガ」の科学者により、クローンとしてリプリーは再生させられた。
軍の目的はリプリーの体内に宿るエイリアン・クイーンであり、軍事利用するための再生だったが、クローン化の過程でリプリーとエイリアンの遺伝子は融合しており、科学者たちの興味を引くことに。
しかし復活したエイリアンは仲間のエイリアンの血液を利用して脱走、次々と人間を殺していく。
リプリーは宇宙貨物船「ベティ」の乗組員と共に、脱出を目指すのだが、、、
クローンとして”再生”したリプリー
強酸性の血液と怪力を誇る
エイリアンの子宮から産まれた新たなエイリアン
恐怖の対象
200年の時を経たという点と、過去作のオリジナル・リプリーとクローン・リプリーの差を鑑みると、今までの流れを汲んだ別の作品という雰囲気を感じます。
今までの圧倒的な恐怖の対象であり、脅威であったエイリアンを軍事利用しようと(ずーっと)企んできた政府軍も念願が叶い、とうとうエイリアンの兵器運用も現実味を帯びてきた様子ですな。
他にやることないのか?とかは言わないお約束。
エイリアンと遺伝子レベルで結びつき、超人的な運動神経と強酸性の血液を手に入れたクローン・リプリーは実は8代目。
前7代に渡るクローンたちは”失敗作”であり、代が遡る度に見るのもおぞましい奇形へと姿を変え、軍の科学者がいかに非人道的な実験を繰り返したかに嫌悪感を抱きます。
つまりトラブルさえ無ければ表面的にエイリアンの管理が出来ているということであり、エイリアンそのものの恐怖よりも、エイリアンを通じて描かれる人間の狂気にスポットが当たっているわけです。
200年の時を超え、とうとうエイリアンの恐怖を超えた人間の狂気、本作最大の見所はそういった背景にあると言えますね。
また宇宙海賊に加え、クローン化したことで粗暴な面が現れたリプリーもダークヒーロー的な雰囲気を醸し出し、既存のものと明確な差があります。
そういった主人公の人格の変化、泳げるようになったエイリアン、恐怖を感じる対象となるヒトの狂気、愉快で頼もしい海賊仲間など、バラエティに富んだ内容に娯楽性は急上昇。
賛否は大きく分かれそうですし、実際にところどころに稚拙さは感じるものの、長く続いたリプリーとエイリアンの因縁の最終章としては良く出来ていると思います。
ただね、それを踏まえた上でもやはり既視感は否めませんし、最終的にエイリアンに対しての愛情を描くのも個人的には否定的に捉えてますし、何よりSF映画としての科学考証に納得いかん要素が多いのも個人的にはマイナス要素。
マンネリ感からの脱却に重きを置きすぎたせいか、どことなく漂うB級感も気になりました。
まとめ
最終章ということもあり、何だかんだと寛容な意見が多い本作。
個人的には無理矢理な感じが否めず、終わってみれば2>1>3=4といった感じですが、だからといって駄作とは言えない完成度ではあるでしょう。
やっとこさ地球への帰還を果たしたよ!という展開もいかにもな感じで何かなかぁ。。予想通り地球も荒廃してるしね。
実験の悲惨さ、醜い人間の本質、新たな命の悲しい運命などなど、、個々で観れば魅力的な展開が続くのですが、やはり「エイリアン」に求めるものとは齟齬を感じますなぁ。
シリーズ最後の物語に相応しいかどうかは分かりませんが、単体作品としてはそれなりに面白い映画です。
よければ一度ご鑑賞くださいませ。