(原題:Burlesque)
2010年/アメリカ
上映時間:119分
監督/脚本:スティーブ・アンティン
キャスト:クリスティーナ・アギレラ/シェール/クリスティン・ベル/キャム・ギガンテッド/スタンリー・トゥッチ/エリック・デイン/アラン・カミング/ジュリアン・ハフ/他
「歴史上最も偉大なシンガー100人」にも選ばれるクリスティーナ・アギレラ主演のミュージカル映画。
ベッタベタで既視感の強い脚本に、これまたベッタベタな歌と踊りのミュージカル作品ではあります。
しかし圧倒的な歌唱力を武器に、余計なものを加えず、正攻法のみで完成したエンターテイメント性は他のミュージカル映画に勝るとも劣らない素晴らしい完成度を誇ります。
ミュージカル映画を好まない筆者でも感嘆してしまうほどの、強烈な”声”というインパクト。
世界的な歌姫の地力はこれほど凄いものなのかと、改めて教えられた気がします。
さっくりあらすじ
歌手になるためアイオワから仕事を求め、ロサンゼルスへとやって来たアリ。
女性オーナー・テスが経営する「バーレスク」のショーパフォーマンスに感激し、ウェイターのジャックの計らいでウェイトレスとして働くことになる。
そしてある日、妊娠したバックダンサーの代役としてステージに上がることになり、アリを嫌うニッキの嫌がらせで音源が切られる中、機転を利かせたアリは自分の声で歌い始める。
マイクを使わず、地声だけでホールに響き渡る彼女の声は観客を魅了し、公演は大成功となった。
そのパフォーマンスにテスも評価し、メインダンサーに抜釘されたアリ。
彼女の歌声を求め、店は連日大賑わい。
メディアにも取り上げられ、ジャックとも恋仲になり、順調に歌手として歩むアリだったが、、、
脇を固める俳優陣も隙が無い
常連客のマーカス
ザ・お金持ち
魅了する「声」
地響きのように、まるで体感するかのように感じるほどのパワフルな歌声はとにかく凄い。
主に歌うのはクリスティーナ・アギレラとシェールの2人ですが、どちらの歌声も心の奥底にまで響き渡ります。
でも映画としては非常に無難な内容。
田舎から上京した娘のサクセスストーリーで、脚本は本当にありきたりなもの。
荒みまくってるしょーもないヤツもいなければ、悪徳な地上げ屋とかもいない、非常にライトで爽やかな仕上がりになっております。
良く言えば夢も情熱も、そして仲間との絆も大事にするという王道的なものであり、それこそこの手の映画は掃いて捨てるほどあるものでしょう。
そんなありきたりな内容でここまで人を感動させる演出というのは予想外、というか素直にビックリ。
それほど本作での「声」は圧倒的な存在感を誇ります。
そんな2人の周りを固める脇役たちも良い味を出しています。
特にスタンリー・トゥッチはさすがの絶妙な脇役加減、もう脇役職人といっても差し支えないでしょう。
オーナー・テスのメンタル的な支えとして献身的に仕事をする姿、アリに対する助言も良いこと言ってるし、そしてゲイ枠だし。。
極めて光る演技力を持ちながら、前に出ることなく存在感を発揮する。
何を演じさせても素晴らしい。
まさに一家に一台欲しくなる、いぶし銀な俳優です。
マーカス役のエリック・デインもいいですね。
「マーリー/世界一おバカな犬教えてくれたこと」や「バレンタインデー」にも出演していますが、なんとも品のあるナイスミドル。
本作ではバーレスクを買収したい不動産屋を演じていますが、余裕のある金持ちなキャラクターがよく似合っていて、全く嫌味な感じがしませんね。
むしろこんな富豪だったら、お近づきになりたいと思うのが普通じゃないでしょうか(笑)
まとめ
ご都合主義で単純な脚本ではありますが、映画として破綻しているでもなく、それなりに上手にまとまっている印象。
アリとジャックの痴話喧嘩はアホらしくてイライラするし、そもそもテスの経営手腕にも大いに疑問が残るなど、細かいアラを探せばキリがない映画ではあります。
しかしそれを補って余りある超絶パワフルな歌唱力を楽しめれば、かなりの良作じゃないかと。
ぶっちゃけて言えば「エロティックでゴージャスなパフォーマンスを楽しんで、クリスティーナ・アギレラとシェールの歌を聴け」という作品です。
なので、それ以外のものが欲しい人は大人しく「ムーランルージュ」とか「NINE」とか観ときましょう。
あと「シカゴ」とか、「ドリームガールズ」とか。。
できれば本物の舞台で観たくなる作品ですが、これほど真っ向勝負なミュージカル映画は珍しい気がします。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。
サントラも素敵。