(原題:Cliffhanger)
1993年/アメリカ/フランス/イタリア
上映時間:113分
監督:レニー・ハーリン
キャスト:シルヴェスター・スタローン/ジョン・リスゴー/マイケル・ルーカー/ジャニーン・ターナー/レックス・リン/キャロライン・グッドール/他
「ロッキー」「ランボー」シリーズが大ヒットし、ガチムチな肉体派アクションスターとして、スターダムを駆け上がったシルヴェスター・スタローン。
しかしランボー3(1988)、ロッキー5(1990)とシリーズが長続きするにつれ、人気は右肩下がりになり、コメディやドラマ性の高い作品をはじめ、アクション以外の方向性を模索している時期に突入します。
そんなスタローン氏が原点回帰し、ガチムチな肉体を再び前面に押し出し成功を収めたのが1993年公開の本作。
アカデミー賞3部門でノミネートされた反面、ラズベリー賞(最低映画賞)では4部門でノミネートされるなど、大味で雑な演出や脚本が目につきますが、何故かそれなりに面白い不思議な映画でもあります。
ちなみに監督は「ダイ・ハード2」や「ドリヴン」でも監督を務めたレニー・ハーリン。
良くも悪くも粗削りで、ある意味でハリウッド映画っぽい演出を好む監督さんです。
さっくりあらすじ
同僚のハルと共にロッキー山脈で救助隊として働くゲイブ。
ある日のハルと恋人・サラの山岳デート中、ハルが怪我を負いゲイブが救助に向かうがサラの救出に失敗し、ハルの目の前でサラは命を落とす。
それからハルはゲイブを憎むようになり、ゲイブも仕事を辞め、山から去ることになってしまった。
8ヵ月後、1億ドルを積んだ財務省の輸送機が、クエイルン率いるテロリストにハイジャックされ、輸送機と現金を積んだアタッシュケースは山に墜落してしまう。
クエイルンの出した救難信号を受けハルが救助に向かうことになるが、恋人であるジェシーに頼まれゲイブもハルの後を追うことに。
信号を辿り救助に向かったハルとゲイブは墜落した飛行機を発見するもテロリストたちが現れ、消えたアタッシュケースを探すように脅されるのだが、、、
ハリウッドっぽいシーン・その1
ハリウッドっぽいシーン・その2
古き良き筋肉自慢
良くも悪くも往年のスタローン映画なので、ただただ筋肉アクションを眺めるのみとなります。
雪山に挑戦したことの無いド素人な筆者でも防寒具の大事さくらいは分かりますが、そんなセオリーを完全に無視し、Tシャツ一枚で山を右往左往する演出は様式美そのもの。
普通に考えたら、汗ばんだTシャツなんてすぐに凍死してしまいますもんね。
山好きな人が観たら「山をなめんな!」と言いたくなること請け合いですな。
しかし色々とおかしいのは分かっていながらも、ついつい見入ってしまうハリウッドの力技には妙な迫力があるものです。
非常に作りの粗い作品ながらも、同時に一級品のエンターテイメントでもあるという矛盾は、娯楽映画とは何ぞやを教えてくれているようにも感じます。
特にスタローンが絶壁を登るシーンは圧巻、バキに出てきそうな逆三角形の背筋は一見の価値ありです。
残念ながら本作以降では「デモリションマン」「ジャッジ・ドレッド」「暗殺者」がちょいと目を引いたくらいで、再び注目を集めた「ロッキー・ザ・ファイナル」ではさすがに肉体的な衰えは隠せない状態になってしまいました。
その代わり2015年公開の「クリード/チャンプを継ぐ男」ではアクションではなく高い演技力を評価され、ゴールデングローブ賞・助演男優賞を獲得するなど、俳優としての新境地も開拓しています。
そういった意味では当時40代ながら、バッキバキの肉体美を見せてくれた最後の作品に当たるのかもしれません。
まとめ
犯罪組織に単身挑む怪力超人・スタローンの雄姿を楽しむ作品です。
派手な爆発、迫力あるアクション、友情、恋愛と一通りのエッセンスも完備してあり、ツッコミどころは多いものの最後まで飽きることなく観れる完成度があります。
「ダイ・ハード」と「ランボー」を足して2で割ると言えば分かりやすいかな。
さすがに今観ると全体的に古くセットまるわかりな映像も多いですが、そこさえ気にならなければ、いかにもハリウッドなエンターテイメントが楽しめる映画だと思います。
スタイリッシュなアクションに飽きた方、男臭さを求める方にはオススメできます。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。