リメンバー・ミー


(原題:Coco)
2017年/アメリカ
上映時間:105分
監督:リー・アンクリッチ
キャスト:アンソニー・ゴンザレス/ガエル・ガルシア・ベルナル/ベンジャミン・ブラット/アラナ・ユーバック/他

 




 

ご存知ディズニー&ピクサーの最強タッグが贈る、死者の国に紛れ込んだ少年の冒険譚を描いた長編アニメーション。

作品のテーマとなる「死者の日」ですが、ラテンアメリカにおける祝日なんだそうで、日本でいう「お盆」に近いっぽいですね。

街に露店と蝋燭が立ち並び、故人を祭る祭壇が賑やかに装飾されていく様はなかなか面白そうにも見えます。

 

そんなイベントを背景にテーマパークのような世界を作り、少年と死者の冒険譚にするという発想は極めてユニークなもの。

面白おかしく、ハラハラドキドキ、そして涙溢れる物語へと昇華させるディズニー&ピクサーの手腕には感嘆とするばかりです。

 

 

 

さっくりあらすじ

2人の夫婦は固い絆で結ばれ、娘を授かり幸せに暮らしていたが、夫は自分の夢を追いかけギターを片手にどこかへと去ってしまった。

妻はいかに音楽を憎んだかを子供や孫に伝え続け、いつしか一族は音楽に対して否定的な感情を抱くようになる。

時は過ぎ、老齢となった2人の娘・ココは音楽好きの曾孫・ミゲルのことも忘れかけていた。

ミゲルは今は亡き人気歌手のエルネスト・デラクルスに憧れを抱き、家族に隠れて自作のギターで彼の曲を弾いていた。

死者の日を迎えると、ひょんなことからミゲルはデラクルスこそが自分の曽祖父であると確信し、街の音楽コンテストへの出場を決意するのだが、、、

 

 

 

 

100歳近いココ
認知症を患い、孫のことも分からない

 

孫のミゲル
密かにギターを練習している

 

エルネスト・デラクルス
ミゲルが憧れる伝説のミュージシャン

 

 

 

 

賑やかな死後の世界

まずは鮮やかに彩られた映像構成、とりわけ死後の世界観がとにかく印象的。

賑やかにお墓を装飾し、街に活気が溢れ、数々の写真や飾りと共に故人を偲ぶ「死者の日」自体が楽しそうなんですよね。

メキシコの独特の風土や文化、日本人からすれば少し物珍しい舞台や背景も、ついでに言えば言語(字幕ね)までもが馴染みやすくなるように気を使った製作陣の心意気が最も素晴らしいところ。

そんな中で胸に秘めた想いにモヤモヤしている少年・ミゲルの冒険譚が描かれるわけですが、死者の世界もまた鮮やかに彩られ、その映像技術そのものが素晴らしいと言えます。

 

序盤こそガチャガチャしていて微妙に空回る空気感が漂いますが、それさえ過ぎれば夢中になれるほどに濃いドラマ性もまた秀逸。

予定調和やご都合主義な展開はディズニーなのでスルーしますが、それを補って余りある良いお話であり、文句無しに泣ける物語ですよ。

そういう意味では非常に先の読みやすい、いかにもディズニーなオーソドックスなつくりだと言えます。

 

死後の世界があるか無いかは人それぞれの考え方があると思いますが、明るく楽しい祭日の影にある悲しい事実が個人的にはツボ。

肉体を失っても死者の国で楽しそうに過ごしている故人達ですが、正者に忘れ去られると消えてしまう=本当の死が待っているという演出には考えさせられるものがありますね。

 

ぶっちゃけここ10年くらいはお盆に顔を出すこともありませんし、さらに言えば霊園の場所は分かっても、どれがご先祖の墓か覚えておりません。
(罰当たり)

基本的にスーパー無神論者を自覚してますし、何なら墓の必要性も全く感じておりませんが、こういった映画の描写を観ると「大事な事なんだな」と思わせられるんですな。

まぁ大事なことなのは百も承知ですし、非常識な自覚もあるにはありますが、そんな筆者でも感じ得る何かがあるくらいですから、祖父母が好きだった方からすればもう涙の嵐でしょうね。

思わず昔のアルバムを引っ張り出したくなるような、悲しくも優しい物語ですな。

 

 




 

 

まとめ

親戚はもちろん、家族の間でさえ昔に比べ距離を感じる現代。

すれ違いや軋轢があっても家族は家族、そんな絆の意味を思い出す映画かなと思います。

 

人を覚えること、人に覚えられること、他人の人生に関わるという事がどういう意味を持つのかという意味で印象に残りました。

丁寧に計算され、構築されたストーリーは魅力的で暖かく、大きな感動を呼び起こす結末に導く手腕は流石の一言。

ほとんどの人が肯定的に受け取れる良作だと思います。

 

オススメです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

おまけ

せっかくの良い映画に水を差すようですが、残念ながらメキシコは「マラカスとギターを持って歌い踊る国」ではありません。

コロンビアと双璧を成す世界的な麻薬生産国であり、特に北部では麻薬戦争で年間15000人以上の方が亡くなった(2017年)こともあります。

 

そもそも警察や軍や政府(公人)が麻薬組織とグルになってたりしますし、麻薬組織なのに武装ヘリを持ってたりするそうですからね。

この手の話はググればいくらでも出てきますし、実際にメキシコ人(パブロ君)に聞いた話なので嘘ではないのでしょう。

信じられなければ、とりあえずこの映画とかこの映画を観てみると良いですよ。

 

特に女性は(メンズも)絶対に1人で行っちゃダメ。

観光地(カンクンとか)以外は行っちゃダメ。

お巡りさんを信じちゃダメ(悪徳警官はカツアゲしてくるよ)

約束だぞ。

 

ちなみに筆者はパブロ君の家に1週間ほど滞在したことがありますが、とにかく空が高く、ご飯の美味しいところでしたけどね。



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