(原題:CUBE)
1997年/カナダ
上映時間:90分
監督/脚本:ヴィンチェンゾ・ナタリ
キャスト:モーリス・ディーン・ウィント/ニッキー・グァダーニ/ニコール・デ・ボア/ウェイン・ロブソン/デヴィット・ヒューレット/アンドリュー・ミラー/他
5000万円という低予算。
たった7人の俳優。
限られた材料で作られた極上の映画として、未だカルト的な人気を誇るサスペンス・スリラーです。
ちなみに本作の人気に便乗して粗悪な類似品が出回っておりますので、ご注意くださいませ。
シリーズとして3作が公開されていますがやはり元祖は面白く、2作目以降は監督も代わり内容も微妙な感じになっていますので、やはりヴィンチェンゾ監督の本作を強くオススメします。
機械的で不気味なキューブ(立体)上の部屋、理不尽な仕掛けで無残に死んでいく人間、音が無く緊迫感に包まれた環境など、地味ながら一時も目を離せないインパクトの連続です。
苦難の果てにあるちょっとした希望、そして絶望。
後味の良い作品ではないのでやや人は選びますが、謎が謎を呼び、それに翻弄される人間ドラマは一見の価値ありです。
さっくりあらすじ
男が目を覚ますと箱形の立方体の中にいた。
立方体の床、天井、各壁にはハッチ式のドアがあり、開くと隣も同じような立方体が隣接している。
隣の部屋へと移動する男、しかし網状のワイヤーにより、バラバラの肉片となり部屋に崩れ落ちた。
そして同じように、男女数人がキューブの中に閉じ込められるのだが、、、
意味も分からず閉じ込められた男女
各部屋の番号に法則を見つけるが、、
選択を間違えると、こうなる
魅力的な”理不尽さ”
不謹慎な感覚ではありますが、とにかく注目せざるを得ない独自の魅力に溢れた映画です。
何故に男女は閉じ込められたのか?
何故に凶悪なトラップが仕掛けられているのか?
そもそも立方体は何のための施設なのか?
そんな謎だらけの中に放り込まれ、意味も分からず命がけのなぞなぞに挑まなければならない男女たち。
これはもう非常に興味深い、面白い内容だと思います。
じっとしていれば理不尽に死ぬことはなく、また部屋の選択を間違えなければ、ある程度の安全があるということがミソですな。
しかし「安全を確認しながら先への道を模索する」という行動は現実的でありながらも、画的には地味なものであり中だるみの原因にもなり得ます。
そこで閉鎖的な空間、死ぬかもしれないというストレス、そして綻びを見せる協調性、という人間が持つ弱点を明確に描き、どこか漂う安堵感を根こそぎぶっ壊していくわけです。
徐々に凶暴性を増す人間、トラップだけでなく仲間からも逃げなくてはならない人間、そして生き残る人間、、最後まで目が離せない緊張感は本当に素晴らしい。
最近だと同じ閉鎖空間ミステリーとして「メイズランナー」とかに近いかもしれませんが、謎の深さ、緊張感、不気味さと、どれを取ってもコチラが上回っていますね。
強いて言えば素数の計算、因数分解、デカルト座標の意味が分からないと???な感じにはなると思います。
分からなくても問題無いのですが、頭痛くなるというか、モヤモヤするというか、、数学の大事さが身に染みてよく分かりますね。
もし筆者が閉じ込められたとしたら、最終的には根拠の無い勘に頼ってミンチになることでしょう(汗)
ついでに言えばキューブ自体の設計もどうなってんだか、、簡単な説明はあるものの、図解にしてくれないと凡人にはまず分かりません。
まとめ
最後の最後まで謎は残りますし、スッキリサッパリする映画ではありません。
良く言えば考察のしがいがあるとも言えますが、やはりここは賛否別れるところでしょうか。
ここまでの極限状況はそうは無いでしょうが、閉鎖的な空間において「我慢」と「理性」が何よりも大切なのはよく分かります。
結局怖いのは人間ですよねー。
古い作品ですが傑作です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。