(原題:The Equalizer)
2014年/アメリカ
上映時間:132分
監督:アントワーン・フークア
キャスト:デンゼル・ワシントン/マートン・ソーカス/クロエ・グレース・モレッツ/デヴィッド・ハーヴァー/ヘイリー・ベネット/他
どこにでもいるようなおじさんが悪を討つ系のサスペンス・アクション。
アメリカ版の「必殺仕事人」と言ったところでしょうか。
監督は「ザ・シューター/極大射程」や「キング・アーサー」のアントワーン・フークア氏。
「トレーニング・デイ」や「マグニフィセント・セブン」でもデンゼル・ワシントンとタッグを組んでおり、相性が良さそうですな。
よくあるパターンな映画の範疇は出ない作品ではありますが、冴えないおじさんが無双する姿はいつ観ても面白いものです。
さっくりあらすじ
ホームセンターで働く中年男性・マッコールは人当たりが良く、誰からも好かれる人物だった。
夜遅くに行きつけのダイナーで読書に励むのが日課のマッコールだが、そこで出会った歌手を目指す娼婦・アリーナと妙な友情を育んでいく。
ある日、暴力的な客に逆らったアリーナはロシアンマフィアから見せしめとして暴行を受け、意識不明の重体になってしまう。
その姿を見たマッコールはロシアンマフィアの事務所を訪れ、大金を支払うことでアリーナの自由を訴えるのだが、、、
ホームセンター職員のマッコール
人当たりが良く、親切
そんな彼と仲良くなった娼婦のアリーナ
正直、全然似合ってない
マフィアのレンセン
この人マジで怖い
キャラが立っとる
この手の映画は割と量産型な気がしないでもないですが、その中でも群を抜いた魅力を感じるのは主人公・マッコールの存在感でしょうか。
人当たりが良く、面倒見が良く、親切なおじさんという感じで、バチバチの武闘派というには歳を取り過ぎているような印象です。
しかし”元CIAエージェント”というステータスは強者の証ですし、いざ荒事になれば極めて淡々と敵を無効化する姿には説得力があるわけで。
日常的に無駄を嫌う几帳面な性格が強調され、良くも悪くも容赦の無い戦闘力は素直にカッコイイなと感心するばかりです。
敵となるロシアン・マフィアも実に印象的で、まぁ怖い。
ビジュアルからしてキレたら何をするか分からない雰囲気を身に纏い、平気で拷問や殺人を辞さないであろう姿勢は本当に戦慄を覚えます。
この分かりやすい善と悪が徐々に距離を詰め、最後にぶつかり合う単純な構成はワクワクドキドキが止まらない、王道的な面白さがありますね。
物語としては暴行を受けた少女の報復のため、親切なおじさんがマフィアを壊滅させようと暗躍するという流れ。
マッコールは元CIAなだけあり、戦闘力もさることながら諜報力も優れ、あらゆるIT機器を使いこなす姿もまた素敵。
何事も計画立てて冷静に、また決して動じず臆せず、淡々と目的のために動き回る姿は頼もしいやら怖いやら。
ついでにマッコールとホームセンター職員との日常的なやり取りもほのぼのと優しく、彼の人となりや職員との友情も適度に挟まれ、全体的に心地よいバランス感覚があります。
地域に根差した生き方と言うか、真摯なマッコールのアドバイスの数々には考えさせられるものも少なくありません。
単なるアクションに留まらず、さりげなくも奥深いドラマ性も楽しめると思いますよ。
マイナス面と言うほどではないですが、単純なアクション自体は特筆すべきものはありません。
どこかで観たことありそうなスタントの構成ですし、とにかくマッコール無双が過ぎてアクション面でのハラハラ感は少な目でしょう。
最終的にはロシアのマフィア本部まで壊滅させたような描写もあり、このおじさん1人でできちゃうならCIA全員で各国政府も壊滅できそうですよね(笑)
ちょっと演出が過ぎたかなと。
ついでにクロエ・モレッツのムチムチっぷり&娼婦風メイクがあまり似合っておらず、微妙に魅力に欠けるのも残念なところか。
アイドル女優からの脱却が難航しているクロエたんですが、まだまだ先は長そうですねぇ。
個人的にはアリーナの友達(最大の被害者)の方がよっぽど美人だなと。
まぁ、どうでもいいですな。
まとめ
割と単純で真っ直ぐなプロットであるにも関わらず、ここまで奥深い作品に仕上げたデンゼル・ワシントン&アントワーン・フークアの手腕を素直に褒めるべきなのかなと思います。
ポップコーン・ムービーの域は出ないにしろ、その枠で考えれば上質なアクション映画なんじゃないすかね。
とにかく強く、賢く、健全なマッコールおじさんの姿には勉強になる事も多いですし、30代~の男性は観るべき映画かもしれません。
世の中がどれだけ歪もうと真っ直ぐでいられる心の清さ。
悪の所業に見て見ぬふりをせず、正義を実行できる肉体的な強さ。
誰もが憧れるであろう中年男性の魅力は、なかなかのものですよ。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。