フローズン


(原題:Frozen)
2010年/アメリカ
上映時間:94分
監督:アダム・グリーン
キャスト:エマ・ベル/ショーン・アシュモア/ケヴィン・セガーズ/エド・アッカーマン/ライリア・ヴァンダービルト/他

 




 

雪山を舞台に、3人の若者の脱出劇を描いたシチュエーション・スリラー。

ウィンタースポーツもピークを迎えるであろう今日この頃、スキーにスノボーにと、豪雪地帯へと遊びに行く人も多いでしょう。

そんな雪山遊びで、いざ不慮の事態に巻き込まれたらどうするのか?という作品ですな。

 

いざ観てみると、日本とアメリカのスキー場の管理の違いがあり、あまりしっくりこない点も少なくないかなと。

この手の脱出劇は、いかに「自分ならこうする」という想像力を掻き立てるかがキモになります。

自分が同じ状況に遭ったとしたら、どういった行動が命を救うのか?

作品としての粗削りさは拭えませんが、そんなイメージを重ね合わせれば悪くはない映画です。

 

 

 

さっくりあらすじ

週末だけ営業するスキー場へとやって来たパーカー、ダン、ジョーの3人は、日曜の最終運転のリフトへと乗り込む。

リフトの係員は、3人のスキーヤーが昇って行ったと他の職員に伝え、用を足すためにその場を離れた。

職員は滑り降りてきた他の3人組を見て全員下山したと勘違いし、また山頂のリフト係員とも営業終了の確認をしてリフトを停止させた。

地上15メートル、山の中腹でリフトを止められ、さらに照明も消されてしまった3人は困惑。

必ず救助が来ると励まし合いながら、寒さに身を寄せ合うのだが、、、

 

 

 

 

リフトを止められ、困惑する3人

 

消灯され、さらに困惑する3人

 

狼の群れが現れ、さらにry

 

 

 

 

 

知恵が足りない

救助の見込みが無く、じっと耐えるには過酷過ぎる状況で、どうやって生き延びようかとアレコレ知恵を寄せるのが主な流れになります。

悲観しては光明を見出し、挫けては気合を入れ直すと、相手が自然だけに人の無力さが良く分かる描写ではあるのかな。

ただし、あまりにも短絡的というか、微妙に頭が悪い主人公3人のアクションに素直に頷けないのが最大の問題点だとも思います。

 

何せこの手の作品は映像的な変化が少なく、いかに知恵を振り絞り共感を得られるかがポイントとなるので、そういう意味では捻りが足りないかなと。

そもそも脱出劇を描く前の時点で3人が微妙にアホだという雰囲気がありまして、真面目でしっかりした人が運悪く事件に巻き込まれた感は皆無です。

 

つまりは危険だよという認識を持たず、なるべくしてなった事故にも見えてしまうあたりが、観ている側にとって「助かってほしい」という感情に繋がらないということ。

たまにね、入っちゃいけないコースに侵入して遭難するバカがいるでしょ?

そういう人達を見てる感じよ。

 

 

物語としては、地上15メートルの高さで足止めされ、真っ暗闇の中で若者3人が脱出しようとする流れ。

何せリフトは3人乗りだけに狭く、15メートルの高さだと風もあり寒く、何より照明も無い暗闇の中という絶望的な状況です。

これはなかなかにリアルな演出であり、実際にこういう状況に置かれたと思えば相当に怖い話だと思います。

 

高い所で宙ぶらりんて怖いしね、身が縮む程の寒さに置かれるのも実際は怖いものでしょう。

音の無い雪山の中で、暗闇の中で放置される孤独感は上手く表現されているのかな。

ここまでは雰囲気もあって良い感じ。

 

 

で、問題はここからで、いざ脱出に臨もうとする3人の知恵が浅め。

「もう少し何とかできんじゃない?」と思わせるアイデアの連続で、ドキドキ感よりもふがいない3人に対する鬱憤の方が先に来ます。

命に関わるような寒さがあるにも関わらず、それ以外の描写の方がインパクトが強めであり、怖さを感じるポイントがボヤけてしまっているんですな。

 

もっと端的に言えば遭難の怖さよりも、狼の方がよっぽど怖いってことです。

ヤバイ状況から命からがらに頑張る姿にエンタメ性があるわけで、予想以上なダメっぷりを見せられても盛り上がりに欠けるわけで。

狭く苦しい環境においてできることが少なく、なし崩し的に失敗を繰り返す様にはただただストレスが溜まります。

 




 

 

まとめ

雰囲気的には期待できる面白さがあるとは思うものの、最低限のハードルを越えたくらいの完成度であり、面白い作品とまでは言えないかな。

雪山に取り残される怖さは良く伝わりますが、それを活かせるような脚本や演出に欠けているため、シチュエーション・スリラーとしてはギリギリ及第点といったところでしょうか。

 

とりあえず、雪山のスリラーを描いたものでなく、狼がいかに怖い動物かを描いた映画といって差し支えないでしょう。

そこを踏まえた上で臨まないと、肩透かしを食う作品です。

 

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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