ジオストーム


(原題:Geostorm)
2017年/アメリカ
上映時間:109分
監督:ジーン・デヴリン
キャスト:ジェラルド・バトラー/ジム・スタージェス/アビー・コーニッシュ/アレクサンドラ・マリア・ララ/ダニエル・ウー/他

 




 

毎度お馴染みバルト9にて鑑賞。

自然災害の脅威をSFチックに描いたパニック・サスペンスです。

 

地球温暖化に伴い様々な異常気象が日常化している現代としては、それなりにリアリティを感じますし、独特の迫力ある映像から楽しみにしていた作品でもあります。

米国ではあまり良い評価を受けなかったようですが、個人的には結構面白かったっすよ。

 

 

 

さっくりあらすじ

人類の脅威となり得る自然災害が頻発し、アメリカと中国を中心にした世界18か国の共同研究の末”ダッチボーイ”と呼ばれる気象コントロールシステムが構築された。

宇宙にて気象をコントロールする人工衛星を張り巡らせたダッチボーイの産みの親にして責任者・ジェイクは管理者としての資質に欠けていると判断され、査問会にて責任者の地位をはく奪され、後任には弟のマックスが任命されることになる。

2022年、アフガニスタンにて住人を含め村ごと凍結してしまう事件が発生、気象コントロールの不具合が疑われることに。

システムの管理権を持つアメリカは事態の発覚を恐れ事件の隠ぺいを画策するも、現責任者のマックスは過失を認め事態の収拾に当たるべきだと主張し、国務長官・デッコムはジェイクこそが検査技師として適任だと薦める。

職を失い、妻と離縁しトレーラーハウスで怠惰な日々を送るジェイクにマックスは復職を要請し、ジェイクは国際気象宇宙ステーションへと向かうのだが、、、

 

 

 

 

国際気象宇宙ステーション(ISS)
様々な異常気象を未然に防ぐ

 

しかし不具合が発生し
元責任者のジェイクが調査することに

 

世界は未曽有の大災害の危機に

 

 

 

 

 

ちょっと巻き気味

映画批評家の判断は置いといて、普通に面白かったです。

ただ、批評家の言わんとしていることも理解できるというか、科学的な考証も脚本的な展開も、どちらにもアラが多めだなとは感じます。

 

良くできたB級映画というか、せっかく味のあるキャスティングを十二分には活かせていないのがもったいないかなと。

でもね、いわゆるディザスター・ムービーなわけですし、目くじらを立てなければ「終末系の大作」としての存在感はきっちりと楽しめるはずですよ。

 

 

監督・脚本を務めたディーン・デヴリン氏は主にプロデューサーとして活躍しており、今回が初監督作品なんだとか。

懐かしの「ユニバーサル・ソルジャー」や「GODZILLA」や「インディペンデンス・デイ」シリーズなど、立派なキャリアを誇りますが、やはり大作映画の監督は勝手が違うんすかね。

 

全体的に109分とタイトな仕上がりでテンポが良いとも言えますが、むしろちょっと急ぎすぎな印象の方が強めです。

主人公のジェイクが責任者の任を解かれたのも、弟のマックスがその尻拭いをするのも、そして再びジェイクが宇宙へと向かうのも、全て掘り下げ方が甘めでイマイチ感情移入に踏み込めません。

物語の人物像を深く知ることなく矢継ぎ早に物語が展開していくわけで、観ている側としては迫力ある災害映像ばかりが記憶に残り、映画としての記憶が薄れてしまうわけですな。

 

 

とはいえ、そんな薄味な脚本を支える俳優陣は健在です。

まずは主演のジェラルド・バトラーは「300」のガチムチな王様のイメージが強めではありますが、元弁護士なだけあってむさ苦しい顔立ちとは裏腹に、インテリジェンスを感じさせる雰囲気がありますね。

粗野でガサツな兄貴を演じていますが、経験に裏打ちされた現場の人間として、いち早く事件の陰謀に気づいた鋭い感性の持ち主として、文字通り物語の中心に鎮座します。

 

そんな兄貴の尻拭いに四苦八苦する弟・マックスを演じるジム・スタージェスもまた素敵。

ナヨナヨで長いものに巻かれるような頼りなさを感じる青年ですが、一番緊張感を感じる立場であり、一般的な感性の持ち主としての存在感を感じます。

ちなみにどこかで観た顔だなと思ってたら「クラウド・アトラス」に出演してたんですね、本格的な大作映画の出演は今回が初となりますが、これからが楽しみな俳優の一人だと思います。

 

さらにマックスの恋人であり、大統領のSPを務めるサラを演じるサラ・コーニッシュ。

アカデミー賞で多数ノミネートされている話題作「スリー・ビルボード」にも出演するなど、順調にキャリアを積み重ねている女優で、こちらも今後の楽しみな女優の一人と言えます。

非常に可愛らしく、マックスのことを大事にしながらも任務との葛藤で悩み、最終的に利き手じゃない方の手で運転しながら全弾命中の射撃を披露するなど、極めてインパクトの強い役どころでした。

 

またアンディ・ガルシアやエド・ハリスなど、往年の名俳優が脇役として作品をしっかりと支えており、非常にバランスよく組み立てられたキャスティングでした。

 

 

物語としては良くも悪くも予想がつくものであり、人によっては早々に展開が読めてしまうので退屈に感じるかもしれません。

というか、この手の映画は「AIの反乱」か「黒幕による仕組まれた罠」のどちらかになってしまうもので、それを覆すほどのアイデアが出づらいんでしょうね。

終末系映画のこれからの課題と言えるかもしれません。

 




 

まとめ

冒頭で述べられる「異常気象なのに、誰も気にしなかった」という点は、現代を生きる我々にとって非常に印象深い一言です。

 

SF映画なんで派手に人類の建造物を破壊するのが醍醐味とも言えますが、これらの作られた映像にリアリティを感じない僕らもかなりズレているのかもしれませんね。

ちょっとやり過ぎなきらいは感じるものの、本作で描かれた災害が実際に起きたら人類は確実に終焉を迎えますよ。

そういう気持ちで観ればとても楽しめる作品だと思います。

 

自然災害が迫る緊迫感、事故なのか?事件なのかを探っていくサスペンス性、どちらも及第点です。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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