(原題:Hancock)
2008年/アメリカ
上映時間:92分
監督:ピーター・バーグ
キャスト:ウィル・スミス/シャーリーズ・セロン/ジェイソン・ベイトマン/ジェイ・ヘッド/エディ・マーサン/他
ドル箱スターであるウィル・スミス主演のSFアクション・コメディ。
ちなみに監督は「バトルシップ」や「バーニング・オーシャン」などを手掛けたピーター・バーグ。
弱きを助け、悪を討つヒーローものではあるものの、嫌われ者という変わり種な作品ですな。
荒唐無稽なアクション性、嫌われ者が好かれるように努力を重ねるドラマ性、どちらも喜劇的ながらバランス良く完成されています。
何よりトップスターであるウィル・スミスの多彩な演技力を堪能できる映画として、面白い作品だなと。
ちなみに原作に沿って作られた映画ではなく、何と完全オリジナルの作品です。
昨今のヒーロー映画とは違うベクトルの作風ではありますが、いかにもアメリカ的なヒーロー像はそれなりに訴えてくるものもあると思います。
さっくりあらすじ
飛行能力に怪力、そして不死身の肉体を持つジョン・ハンコックは、事件が起きるたびに人々を助けようと活動している。
しかし解決方法に問題があり、介入した事件が解決すると同時に多大な被害が発生し、別の意味での問題が山積していた。
そんな折、慈善活動のプレゼンに失敗し落胆していたレイは、列車に轢かれるところをハンコックに助けられる。
レイはハンコックをヒーローにするため、イメージ戦略を思いつくのだが、、、
人を助ける超人ながら
人に嫌われるハンコック
レイの提案に乗り
イメージ戦略に乗っかることに
被害を抑え、救助を優先
ヒーローとして生まれ変わる
意外とハートフル
程よいアクション、程よいコメディ、そして程よいドラマと、全体的に”程よい”心地よさを感じます。
どんな武器も通用せず、空を飛び回り、悪党をやっつけるハンコックですが、やさぐれたホームレス風なビジュアルもあり、ヒーロー感は皆無です。
犯人を捕まえるにあたり手段を択ばないために被害も増大、結果として色々な方面から叩かれ、人々に忌み嫌われる存在に。
そんな彼を真摯に向き合って考えるレイと出会い、徐々にヒーローたるべく思いやりを学んでいく展開が物語の軸となります。
また何故に超人的な力を得たのか、どういった点が弱点になるのかなど、スーパーパワーの秘密にも触れており、無茶苦茶ながらも一応の整合性が取れているのもポイントですかね。
演じるウィル・スミスの卓越した演技力もあり、災害並みのトラブルメーカーでありながらも憎めない魅力に溢れるジョン・ハンコック。
当たり前のように能力を授かり、何となく悪党胎児をしていた彼が真の正義に目覚め、使命を背負って戦う姿が本当にハートフル。
不器用な人間性が磨かれ、暖かみのある心を育む姿をユーモアたっぷりに演じています。
ついでにガッツリとバルクアップした肉体もお見事、、ふぅ。
そんなハンコックを理解し、真っ直ぐに向き合い、自分の力を以てヒーロー像を作り上げようとするレイを演じるジェイソン・ベイトマンも中々の存在感。
というか、巻き込まれ型の役を演じさせたら本当に一級品の俳優ですな。
今回は無垢で純粋な男性を演じていますが、この全く曇りの無い表情作りは凄いですよね。
そして物語のキーパーソンとなるシャーリーズ・セロンの美貌は言うに及ばす。
その類稀なる美しさを振りまきながらも、どこかコミカルな雰囲気を纏う姿は本当に魅力的。
彼女の正体を活かす演出が極めて少ないのがちょっとだけ残念ではありますが。
ついでにミートボールスパゲティが超旨そうっす。
彼女とハンコックの秘密にも捻りが効いてますし、良い意味で斜め上の展開を行くエッセンスになってます。
マイナス面としては、92分という短めな尺が災いし物語の展開が性急な印象。
ヒーローならではの苦悩や葛藤も描かれてはいるものの、そもそもの設定がぶっ飛んでいるために薄味になっちゃっているんですよね。
矢継ぎ早にエピソードが重なり、次々とテンポ良く真相が明らかになるのは良いんですが、結果的に映画の焦点が散漫になってしまってます。
総じて前半は非常に面白く、後半に失速していると評して良いでしょう。
ただし、良くも悪くもサプライズが満載な作品ではあるので、終わってみれば及第点な面白さではありますが。
まとめ
「普遍の幸せ」や「愛」というテーマに則ればそれなりに面白い映画だと思います。
スタンダードな映画のセオリーからは外れた作品だと思いますし、また敢えて意図的に外したであろう魂胆も見え隠れしますし、ハマる人には結構ハマる内容じゃないかなと。
先述したように前半と後半でかなり毛色が変わる作風ではありますが、ユニークでコミカルで、油断してるとほろりと泣けるところもあり、個人的には割と好きな映画でした。
先の読めない作品としては、観て損は無いでしょう。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。