（原題:Hellboy）
2019年/アメリカ
上映時間:120分
監督:ニール・マーシャル
キャスト:デヴィッド・ハーバー/ミラ・ジョヴォヴィッチ/イアン・マクシェーン/サッシャ・レイン/ダニエル・デイ・キム/トーマス・ヘイデン・チャーチ/他
2004年に公開されたギレルモ・デル・トロ監督のヒット作「ヘルボーイ」のリブートとなるSFアクション。
今回は原作者のマイク・ミニョーラ氏が監修したそうですが、撮影中は監督とキャストとプロデューサー間に喧嘩が起きるなど、製作中から不穏な空気が漂っていたんだとか。
そのせいとは言いませんが興行的には伸びず、最終的に赤字となったようです。
映画とは不思議なもので、低予算で爆発的大ヒットが生まれたかと思えば、潤沢な予算で臨んだ大作がコケるなんてのは往々にしてよくあることです。
近年のMCUの大ヒットを受けて、改めてアメコミの魅力に踏み込もうとした判断は間違いではないでしょうが、あまりにも単純な考えなのは否定しようもないでしょう。
さっくりあらすじ
かつて地上を支配した魔女・ニムエを止めるため、アーサー王はエクスカリバーでニムエの体をバラバラに切断し、世界の各地に封印した。
超常現象調査防衛局のエージェントであるヘルボーイは友人のエステバンと再会するが、すでにバンパイアへと変貌してしまった友人と戦う羽目になり、死に際に「終わりが来る」と告げられる。
失意の中、ヘルボーイは育ての親・ブルーム教授からイギリスの巨人退治の要請を受けることになるのだが、、、
ご存じヘルボーイ
ちょっと痩せた?
最強の魔女・ニムエ
地上に暗黒をもたらす
元特殊部隊員のダイミョウ
とにかく悪魔が超嫌い
わりと強烈なグロ
デル・トロ版「ヘルボーイ」が殺伐としつつもコミカルな雰囲気だったのに対し、本作は結構グロめな演出が多く、苦手な人はちょっと引いちゃうかもしれません。
とにかく飛び散る血肉や欠損描写などが強烈で、過去作のノリで観ようとすると残酷な演出に面食らうことでしょう。
また、ふっくらとしたビジュアルで愛嬌があった過去のヘルボーイに対し、若干痩せたフォルムも相まって今回は少々荒んでいる感じ。
頼れる人も甘える人もいない展開もあり、人間臭さが減ったと共に悪魔感が強くなったのも特徴的か。
総じて今回のヘルボーイはあんまり強さが描写されず常に満身創痍で、どこか哀愁漂う寂しいキャラクターなのが印象的です。
物語としては、過去に猛威を振るった魔女の復活を止めるため、様々な妨害に遭いながらもヘルボーイが奔走する流れ。
スプラッタでゴアな表現は迫力があり思いのほか楽しめますが、後半に行くに従って無理のある尻すぼみな物語が展開されます。
特に中盤を過ぎてからは無茶苦茶な後出し設定に首を傾げざるを得ませんし、最後はとにかく大きいクリーチャーを出せば的な安易な発想も正直なところ退屈なものです。
前半が結構面白いだけに勿体なさが否めませんな。
圧倒的に強い魔女を相手にどう闘うのかが映画のエッセンスのひとつとなるはずですが、そこも華麗にスルー。
どう考えても勝てなさそうな相手を倒すアイデアを諦め、1番盛り上がるところが除外されたのが最も残念なところです。
魔女・ニムエを演じたミラ・ジョヴォヴィッチは自画自賛でお気に入りのキャラクターだったそうですが、パックリ開いた胸元以外に印象に残るものも無いですし（最低）コレはリップサービスと解釈した方が正解か。
とにかく、全体的に盛り上がりに欠ける仕上がりであり、物語に抑揚が無いんですな。
過去作との差別化を図ろうとゴア表現に特化させたのは良いですが、それも魅力的な脚本があって初めて活きるものであり、要は目の付け所がズレているんですよ。
ただ淡々とヘルボーイが奮闘する姿を垂れ流しているだけの映画になっちゃってますし、それ故に続編作る気満々なエンディングもスベってる印象だし。
映像ありきで組み立てた作品によくある、ありがちな凡作といったところでしょうか。
昨今の国産ゲームで似たような感想を良く聞きますが、まさにそんな感じ。
まとめ
ちょっと期待してた映画だけにガッカリ感が強くなってしまいましたが、退屈な作品ではないです。
それでも観て損は無いかと言われると微妙なところでもあり、正直に言えばデル・トロ作品の方が間違いなく面白いと断言できます。
もっと面白くできた余白が見えるだけに勿体ないなぁと。
続編ができるようであれば、今回の反省を活かしてより魅力的なコンテンツにしてほしいものです。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。
