(原題:Incredibles 2)
2018年/アメリカ
上映時間:118分
監督:ブラッド・バード
キャスト:ホリー・ハンター/クレイグ・T・ネルソン/サラ・ヴォーウェル/ハック・ミルナー/イーライ・フシール/サミュエル・L・ジャクソン/他
2004年公開「Mr.インクレディブル」の続編となるピクサーの長編アニメーション。
北米では爆発的なオープニング記録に始まり、累計興行収入でもアニメ史上最大のヒットを記録しております。
アカデミー賞アニメ部門や、アニー賞を総ナメにした前作から、気が付けば14年が経過。
やたらと赤ちゃん押しなCMもありましたし、取ってつけたようなラブリーなキャラクター映画になってしまったのではないかと多少の危惧はありました。
前作が文句無しの名作だっただけに、自然と期待値とハードルが上がってしまうのも仕方がないことでしょう。
しかし、いざ観終わってみれば今回も文句無し。
これはオススメしたい素晴らしい映画ですし、ぜひとも劇場で観るべき作品ですよ。
さっくりあらすじ
人々を守り、悪を討つ。
そんなヒーロー達の力や振る舞いは時としてネガティブな結果を生み、彼らはヒーローとしての活動を禁じられている。
巨大なドリルを用いて銀行を襲う”アンダーマイナー”を止めようと、”Mr.インクレディブル”ことボブと”イラスティ・ガール”こと妻のヘレン、そしてその子供達が立ち向かう。
しかし、結果的にアンダーマイナーを逃がしてしまった上、街には大きな損害が出てしまうことに。
一家は警察に逮捕され、取り調べでは「何もしない方が良かった」と言われ、ボブもヘレンも司法に縛られたヒーロー活動の限界を感じていた。
モーテルに住み、ボブが普通の仕事に戻らざるを得ないと意気消沈していると、親友の”フロゾン”ことルシアスが現れ、大富豪ウィンストン・ディヴァーにスカウトされたと告げる。
さらにウィンストンはMr.インクレディブルとイラスティ・ガールもスカウトしたいと言っており、一縷の望みをかけて2人はウィンストンの元へと向かうのだが、、、
物語は前作エンディングの直後から
戦う妻と
家を守る夫が描かれます
とにかくオススメ
笑いあり、涙あり、親子の愛があれば社会的な問いかけもあり、もちろんパワフルなアクションもあり。
1から10まで、最初から最後まで全く飽きることなく、アレコレと楽しませてくれる傑作だと思います。
むしろダメなところが見つからない素晴らしい完成度であり、ひとつの映画作品として、とても良くまとまっている印象です。
多少のアラも無くはないですが、ここを突っつくような人間は良いモノが受け入れられない反社会性な人なので無視して然るべき。
ちょっと褒め過ぎな気もしないでもないですが、個人的には最高に面白い映画でしたよ。
全体的なプロットを通したヒーロー側の苦労や社会的な立場、対するヴィラン側の主張や思想。
最近は実写・アニメ問わずヒーローものが多く公開されているので、脚本的にはオーソドックスなのもであり、そこまで注目すべき点は無いかなと。
逆に言えば、オーソドックスな内容でありながら、これほどに盛り上がれるのはやはり作品としての構成や演出が上手いからだとも言えるわけで。
映画を面白くするのは奇抜なアイデアや、華麗な映像表現ではなく、”丁寧さ”こそが最も重要だと改めて思います。
今回は世相を反映してか、登場する女性サイドに焦点が当たっているようです。
イラスティ・ガールが事実上の主人公ポジションを務め、コミカルな演出は娘・ヴァイオレットが主に担当。
ボブや息子のダッシュ、散々CMで取り上げられる赤ん坊はあくまで脇役ポジションなのであしからず。
パワーがあり余っているにも関わらず世間には認められず、”ヒーロー”としてではなく”親”としての身の振り方を考えるところから物語は始まります。
で、色々と考慮したうえで妻・ヘレン(イラスティ・ガール)が前線に立ち、夫・ボブ(Mr.インクレディブル)が家庭を守るという構図になるわけですな。
”主夫”という言葉も珍しくはない現代ですが、正義の味方として暴れまわりたいボブが自分を抑え、子供たちの為に馴れない家事に翻弄される姿はなかなかに笑えます。
見るからに不器用であり、気が利く方でもなく、およそ家事をこなすに不向きなボブの姿に、子持ちの主婦の方は結構笑えるんじゃないですかね。
そんなボブが主夫を務めるわけですが、彼なりに頑張ってはいるけども、残念ながら足りていない。
ママと比べて劣る自分や、ヒーローとして(社会的評価として)イラスティ・ガールに劣る自分との葛藤は続き、ゲッソリと疲れ果てる姿には少し考えさせられるものもありますね。
もどかしい葛藤の連続や、手に余る子供たちの苦難の連続、そういった数々がボブをヒーローから父親へと覚醒させるわけで。
最終的に父としての愛情や自覚を取り戻すわけですが、子供達も含め、つい顔が緩むような微笑ましい展開はかなり感動しますね。
いつか父になった時に、子供たちに言って欲しいような、愛情の塊のような言葉が胸を打ちます。
見所としては、イラスティ・ガールの活躍とヴァイオレットの恋路がメインストリーム。
あとは事件の黒幕が訴える社会的メッセージに加え、ヒーロー達の迫力溢れる大乱闘といったところでしょうか。
その中でも特筆すべきはヴァイオレットの存在で、思春期に揺れ動く少女の想いが大爆発。
前作から成長し、明るくコミカルなキャラクターになった彼女の持つ、魅力的な面白さや可愛らしさが最も印象的でした。
まとめ
イラスティ・ガールがアクションとサスペンスを主体に活躍すれば、Mr.インクレディブルはユーモラスに家族と過ごす、ほのぼのとした時間が描かれます。
この緊張感と笑いの対比が作品を盛り上げていくわけで、各エピソードのボリュームや映像美も盛り沢山で、非常に濃度の濃い内容となっております。
14年という歳月で時代は変わり、価値観も変わり、あらゆるものが次々と変化する現代において、普遍的に面白いと思える映画を作れるということは本当に凄いことです。
ガチでここ数年で観た映画で、1番面白かったかも。
できれば前作を予習して、存分に楽しんで来てください。
オススメです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。
おまけ
日本での公開にあたり対策は施したようですが、劇中でストロボがチカチカと光るシーンが頻繁に、割と長めにあります。
かつてのポケモンショックと同じような症状を出した子供もいたそうですので、鑑賞の際はお気をつけください。