ジャンヌ・ダルク


(原題:The Messenger/The Story of Joan of Ark)
1999年/アメリカ・フランス
上映時間:158分
監督:リュック・ベッソン
キャスト:ミラ・ジョヴォヴィッチ/ジョン・マルコヴィッチ/フェイ・ダナウェイ/ダスティン・ホフマン/ヴァンサン・カッセル/他

 




 

タイトル通り、”オルレアンの乙女”ことジャンヌ・ダルクの生涯を描いた伝記的ドラマ作品

フランスの英雄であり、カトリックの聖人であるジャンヌ・ダルクを、宗教的ではなく現実的に表現したのが特徴的です。

 

主演は「フィフス・エレメント」で、ガッチリとリュック・ベッソンのハートを掴んだミラ・ジョヴォヴィッチ。

セクシーで可愛らしい前作からベリーショートで中性的な少女へと変貌を遂げ、当時は話題になったように記憶しています。

さらにジョン・マルコヴィッチやダスティン・ホフマン、ヴァンサン・カッセルなどなど、実力派俳優が脇を固め、長丁場の映画を支えています。

 

 

さっくりあらすじ

農家の娘に生まれ、信仰心溢れる少女・ジャンヌは、神のような魅力を放つ少年に会うために教会へと通い、懺悔する日々を送っている。

ある日、ジャンヌが草原で寝ていると村がイングランド軍に襲撃され、姉のカトリーヌがジャンヌの目の前で虐殺されてしまう。

怒りと悲しみの感情を抑えきれないジャンヌを見て、神父は「神がお前を必要とする日がやって来る」と伝え、諭すのだった。

そして数年が経ち、激しさを増す百年戦争の下、”オルレアンの乙女”を名乗る人物からシャルル王大子へと手紙が届くのだが、、、

 

 

 

 

”オルレアンの乙女”ことジャンヌ・ダルク

 

”勝利王”ことシャルル7世

 

”救国の英雄”ことジル・ド・レ
しかしその後は、、、

 

 

 

 

 

女神か魔女か

まず物語の背景となっている百年戦争ですが、歴史の教科書以外でまず目にしないジャンルの話であり、正直あまりピンとこない人も少なくないでしょう。

参考までに超ざっくり書いておくと、、

 

フランス王が亡くなる

血縁関係があるイングランド王が、次期フランス王は自分だと言い出す

フランス貴族が猛反対

周辺諸国や貴族の制止を振り切り、戦争開始

様々な利害関係を受け、周辺諸国も参戦

泥沼に

 

と、いったところでしょうか。

いつの時代も内輪揉めがエスカレートするとロクなことになりませんし、損得で戦争に参加すると収拾がつかなくなりますし。

歴史を勉強するわりには人間て成長しないよね。

 

 

そんな歴史の中で、主に映画で描かれるのは”オルレアンの戦い”と”魔女裁判”の2つ。

前者は正確には”オルレアン包囲戦”(1428年~1429年)と呼ばれていますが、ジャンヌ・ダルクが参加した戦争での最初の勝利であり、百年戦争での重要なターニング・ポイントとなっているんだそうです。

 

フランスにとってもイングランドにとっても、戦略的に重要な拠点であったオルレアン。

半年間にも渡り優勢に駒を進めていたイングランド軍でしたが、ジャンヌ・ダルクの参戦後はわずか9日間で包囲を解き撤退することになります。

そしてその後も連戦連勝、ついには戴冠式を経てシャルル7世が王へ即位するに至ります。

 

 

そんなフランス軍が士気を保てる要因となっていたジャンヌ・ダルクですが、長く続く戦争に国力は疲弊し、王も側近も国民も厭戦気分に包まれます。

しかし首都・パリは依然としてイングランド軍の手中にあり、ジャンヌ・ダルクが主張するパリ奪還作戦と、側近たちが主張する和平交渉で意見が割れてしまうわけです。

 

そんなこんなで揉めている最中にブルゴーニュ公国がイングランドの援軍として参戦し、その戦いの中でジャンヌ自身が捕虜となってしまいます。

その後はイングランドへと移送され、本格的に敵国の裁判を受けさせられることに。

 

女性なのに戦場へ出た罪・男装していた罪・神の声と聞いたと嘘をついた罪・むしろ悪魔の声を聞いてた罪などなど、数々の難癖をつけられ魔女と断定されてしまったと。

この一連の流れがジャンヌ・ダルクの生涯であり、本作で描かれる彼女の姿です。




まとめ

何か歴史の紹介みたいな記事になってしまいましたね(汗)

 

まぁ歴史的な解釈は置いといて、本作で描かれるジャンヌ・ダルクは妄信的に神の声を信じる変わり者の少女です。

極めて感受性が高く、ちょっと理解しがたい喜怒哀楽もリアルと言えばリアルに感じますし、後付けで考えられた彼女の”奇跡”の数々も、納得し得る演出だと思います。

 

ただ尺が長いのと、予備知識が無いとあまり理解に及ばない内容は初心者にはきついかもしれません。

ついでに暴力的な描写が少々過激と言うか、キツめな演出になっているので、そういう系が苦手な方はご注意を。

 

退屈な映画ではありませんが、面白いかはちょっと微妙なところですね。

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。

おまけ

劇中で描かれるジャンヌ・ダルクの盟友ジル・ド・レですが、その後の逸話は相当に鳥肌モノ。

ジャンヌ亡き後は心を病み、少年を誘拐しては凌辱・殺害を繰り返していたんだとか。

興味がある人はググってみてください。

 

 

 



ブログランキング参加してみました。
良ければポチっと押しちゃってください。