(原題:Jigsaw)
2017年/アメリカ
上映時間:92分
監督:マイケル・スピエリッグ&ピーター・スピエリッグ
キャスト:マット・パスモア/カラム・キース・レニー/クレ・ベネット/ハンナ・エミリー・アンダーソン/ローラ・ヴァンダーヴォート/他
7作続いたホラーシリーズ「ソウ」の、新たなシリーズ1作目となるサスペンス・ホラー。
監督はドイツ出身、主にSFホラーで評価を得たマイケル&ピーター・スピエリッグ兄弟が務めます。
ちなみに双子です。
最初は神映画、シリーズが続くにつれてエグい映像集と化した「ソウ」シリーズですが、何だかんだで観てしまう魅力がありますよね。
スプラッタ系が苦手な筆者でも、それなりに楽しめるサスペンス性は悪くはないのかなと。
さっくりあらすじ
パトカーに追われ、必死で逃げる容疑者・エドガーは「ハロラン刑事を呼ばないと17分で5人が死ぬ」と警察に訴えていた。
何かのスイッチを押そうとしたエドガーは複数の警官に撃たれ、意識不明の重体となり病院へと運ばれた。
どこか別の建物では5人の男女が監禁され、壁に鎖で繋がれている。
その中の4人が目を覚ますと「ゲームをしよう」と、死んだはずのジグソウことジョン・クレイマーの声が響き渡るのだが、、、
監禁された5人の男女
ゲームが始まる
不気味にメッセージを伝える人形
ジグソウは死んだはずだが、、
妻を亡くした検視官・ローガン
遺体から手掛かりを探す
課題
やはりね、8作目にもなると色々と既視感が強く、またある程度先の読める展開もあり至って”普通”な印象です。
決して退屈ではないけれど、特筆すべきものも無い平凡なサスペンスだとも言えます。
登場人物の誰かが黒幕だという前提があり、しかもすぐに怪しい人物が2~3人に絞れてしまいますし、単に「誰がどうやって死ぬのか」を眺める映画になってしまっているわけで。
本来はジョン・クレイマーというカリスマ的殺人鬼の思想や哲学を通した作品だっただけに、しょーもない理由としょーもない後継者が乱立される続編の価値は低いと言わざるを得ないでしょう。
むしろ、あまりにこういった作品が多くなるようであれば、素晴らしい傑作だと言える1作目の評価にも影響があるのではと思ってしまうくらいですよ。
ただし、いちサスペンス映画として観ればそれなりに面白い作品なので、強いこだわりを持たずに観れば及第点だとも思います。
残酷な処刑映像は相変わらずのクォリティですし(若干控えめな印象も)、命を落とすか助かるかの瀬戸際で光るギミックやトリックも良く出来ています。
改めて観るとツッコミどころも少なくないですが、それを補って余りある雰囲気は作り出されてますね。
物語としては、罪を抱えた5人のゲーム参加者と、残酷に殺された遺体を元にジグソウの影を追う警察の捜査を交互に挟むという流れ。
演出も脚本も良く練られており、シリーズ特融のグロ映像集からは少し距離を置いた印象。
良い意味で1作目を意識し、脚本で勝負したであろう作りが見て取れます。
どんでん返しとまでは言わなくとも「はぁー、なるほど」と唸るくらいの内容にはなっているんじゃないかと。
ただし、ジグソウの信念を受け継ぐ者をテーマにするわりには、ジグソウ本人に頼りすぎな傾向も見られます。
というか、観ているこっち側が求めていると言った方が正しいかもしれませんが、劇中でもっともテンションが上がるのはジョン・クレイマーその人が登場した時なんですよね。
あの無表情に無気力な眼差し、感情を持たぬ機械のように己の使命(理不尽ゲーム)を全うしようとする背中にこそカリスマ性があるわけで。
彼の素性を知ればこそ、彼の信念にも多少の理解が及ぶような気はしますが、彼以外の者が同じことをやると”独りよがりな犯罪者”になっちゃうんですよね。
そのくせ、いっちょまえに説教垂れるもんだから、むしろウザい気持ちの方が勝るとも思います。
どれだけ面白いゲームを思いつこうが、どれだけ残酷な処刑方法を思いつこうが、やはりジョン・クレイマーという人物像に勝る魅力は無いんですな。
恐らく続編を望んでのエンディングとなっておりますが、こういった点をクリアしない限りは間違いなく先細りなシリーズになっていくと思われます。
素材は決して悪くないだけに、何としてもジグソウを超えるジグソウを生み出してほしいものです。
まとめ
熱狂的なファンからすれば、いまいち。
シリーズを観てきた人からすれば、そこそこ。
あんまり知らない人からすれば、面白い。
そんなところでしょうか、個人的には結構面白かったです。
今後の展開も期待し、やや甘めな採点ではありますが、観て損は無いでしょう。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。