(原題:John Wick:Chapter-3 Parabellum)
2019年/アメリカ
上映時間:131分
監督:チャド・スタエルスキ
キャスト:キアヌ・リーヴス/マーク・ダカスコス/エイジア・ケイト・ディロン/アンジェリカ・ヒューストン/サイード・ダグマウィ/ローレンス・フィッシュバーン/他
前作はコチラ。
殺し屋の鉄の掟を破り、賞金首となってしまったジョン・ウィックを描くシリーズ3作目。
世界中の殺し屋に狙われるということでアクションは過去最高のボリュームになった反面、ドラマ性は低下し、より純度の高いアクション映画が完成しました。
構成的にはオーソドックスなアクション映画となり、その代わりとしてキャストは微妙にパワーアップ。
とにかく今回はアクションにフォーカスされた濃い内容となっており、過去作とは違ったベクトルでぶっ飛んでいます。
アクション好きとしては非常に面白い作品となっていますが、まだ続く今後の展開を見れば正直ちょっと満腹感も否めません。
さっくりあらすじ
いかなる殺し屋でも守らなくてはならない”聖域”コンチネンタル・ホテルで殺人を犯したジョン・ウィック。
支配人のウィンストンから1時間の猶予と共に追放処分を告げられ、世界中の殺し屋から狙われることになった。
追手から逃げつつもジョンは隠した誓印を回収し、かつての古巣であるバレエ劇場へと逃げ込み、モロッコ行きの船を手配するのだが、、、
雨の中逃げまどうジョン
街中の殺し屋が彼を狙う
かつての誓印を使い
モロッコ行きの船で逃亡
裏社会の方を司る裁定人が登場
ジョンの逃亡を助けた者に制裁を加える
高純度アクション
ということで、怒りを原動力にジョン・ウィックが標的をぬっ殺しまくる過去作と異なり、ルールに則った上でジョンが標的となる本作。
とにかく皆がジョンを狙い、それを悉く返り討ちにするというシンプル過ぎるプロットにはむしろ好感さえ覚えます。
改めて「世の中にはこんなに殺し屋がいるのかよ」とツッコミたくなるほどに、随時攻撃されるジョンの姿は本当に凄まじく、全編アクションと言っても良いくらい。
代名詞のガンフーは元より、本や投げナイフやベルトを駆使して窮地を凌ぐアクションがとにかく矢継ぎ早であり、目まぐるしい展開は素晴らしいエンターテイメント性を誇っています。
ここまで潔いとね、もうストーリー性がどうのこうの言うのは野暮なものでして、ドラマ性が薄いことには否定的に捉えましたが、それを踏まえても大いに魅力的なことに異論はありません。
観てるこっちが疲れるほどに濃密なアクション性は文句無しで素晴らしいものですし、50代半ばになりながらもここまで体を張ってくれたキアヌ・リーヴスを称賛しないわけにもいかないでしょう。
バカバカしさすら感じる程のアクション構成に対し、とことん真摯に向かい合うキアヌ氏の情熱に賛辞を贈りたいと思います。
繰り返しになりますが、特筆すべきは全編に渡るアクションそのもの。
本で殴り殺したり、投げナイフでダーツの的みたいにしたり。
馬に乗って戦ったり、バイクに乗って戦ったり。
驚異的な防御力を誇る相手の隙間に拳銃乱射したり、高威力のショットガンで吹き飛ばしたり、剣戟アクションまで披露したり。と。
もう凄いの一言ですよ、高級鮨でおまかせにしたら30貫くらい出てきた気分。
ついでに同じ50代のハル・ベリーもかなりアクションに頑張っていましたし、ジョンに引けを取らないキカれたブチギレっぷりも実に素晴らしいもの。
変わらぬ美貌も含め、ハリウッドで俳優をする凄さが改めて良く分かる、実に素晴らしいキャスティングでした。
あと犬が超かわゆす。
余談ですが、個人的にはナイフ使いコンビとして終盤に登場するセセプ・アリフ・ラーマンとヤヤン・ルヒアン(ドッグ先生)が嬉しいサプライズ。
どちらもシラット(インドネシアの伝統武術)の達人として近年アクション業界で活躍しておりますが、分かる人には分かる、粋なキャスティングですよ。
ただし、ガンアクションじゃなくてソードアクションな上にこの2人の相手となると、流石にキアヌの年齢が透けて見えるというか、鈍重さが否めないのが悲しいところですが。
ちなみに序盤の刺客に「トリプル・スレット」のタイガー・チェンも登場しますし、マニアには堪らない憎い演出なんじゃないですかね。
何だったらトニー・ジャーとイコ・ウワイスも出て来ないかなと。
まとめ
とにかく濃い、場合によってはくどい、濃厚をウリにする家系ラーメンの如し。
何だかんだでクセになる、そんな魅力が詰まっています。
冒頭で満腹だと言いましたが、溜まりに溜まった怒りが爆発するであろう次回作もきっと面白いんだろうなぁと、そんな期待をしちゃいますね。
続編が軒並み微妙な仕上がりを迎える昨今で、ちょっと楽しみにできる数少ないキャラクターだと思います。
アクション好きなら文句無しでオススメですし、それ以外の人でもそれなりに楽しめることでしょう。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。