(原題:Marley&Me)
2008年/アメリカ
上映時間:118分
監督:デヴィッド・フランケル
キャスト:オーウェン・ウィルソン/ジェニファー・アニストン/エリック・デイン/アラン・アーキン/キャスリーン・ターナー/ヘイリー・ハドソン/ヘイリー・ベネット/他
コメディ・アクション・ドラマと枠を超え、幅広い演技力を持ち味とするオーウェン・ウィルソン。
悲喜こもごもな高い表現力を誇るジェニファー・アニストン。
そして可愛らしいラブラドール・レトリバーが織り成すハートフルなコメディ・ドラマです。
ワンちゃんが出てくるだけで大抵は感動する映画になり、ハードルも下がるってもんですが、それを踏まえた上でも予想以上に面白かったっす。
どちらかといえばワンちゃんは脇役で、恋人から夫婦になり、家族になる人間の模様が色濃く演出されている印象。
ぼんやりながらも夫婦間の格差、出産に伴う女性の仕事の難しさ、旦那の抱える夢と現実のギャップなどがテーマとして描かれます。
社会生活を送っていれば誰でも抱えそうな些末な問題を絡め、見応えのあるドラマに仕上がっているのが特徴です。
さっくりあらすじ
自分にはもったいないと思えるほどの女性・ジェニーと結婚したライターのジョン。
夫婦として、子供を持つまでの予行練習として犬を飼うことを進められ、ラブラドール・レトリバーを飼うことになる。
マーリーと名づけた子犬はすくすく成長し、ヤンチャな振る舞いは日々パワーアップしていく。
そして遂にジェニーが妊娠、生まれてくる子供を待つ2人と1匹なのだが、、、
バーゲンで安かったから選ばれたマーリー
すくすくとヤンチャな犬に育ちます
そしてかけがえのない家族に
わんこ中心の社会ドラマ
原作はオーウェン・ウィルソン演じるジョン・グローガン本人によるエッセイだそうで、多少の脚色はあれど一応は実話がベースになっているようです。
子供を持つ心の準備ができていない夫が、予行練習と称して犬を飼うところから物語は始まりますが、終始ヤンチャなわんこが暴れまくり、トラブルの原因を量産していきます。
その一連のわんこ話、コミカルに描かれる二人と一匹の生活は微笑ましく笑えます。
犬を飼ったことのある人は共感できる部分も多いでしょう。
しかし犬を軸にストーリーは進んでいくのですが、あくまで中心は夫婦のお話。
さらに夫婦として、男性も女性もそれぞれ夫、妻の視点で観ることをオススメします。
そもそも犬を飼うことの大変さに始まりますが。
女性視点では子育てに奮闘している妻・ジェニーが仕事を断念してしまうこと、気が利くようで利いてない旦那に対する不満。
ついでにあやしたベビーをバカ犬が起こしてしまうイライラ感。
妊婦さんや、子育て中の方々はかなり頷けるのではないでしょうか。
逆に男性視点では妻よりも格下のライターとして奮闘するも、本来やりたかった仕事とは離れてしまう葛藤。
自分の夢を押し殺し、妻や子供のために献身的であろうとする夫・ジョンの姿、一方でプレイボーイで自分の夢を追いかけ、成功していく親友の姿が描かれます。
総じて「わんこの苦労話&感動物語」を前面に押し出しているわけではなく、わんこの存在を背景に、年月と共に変わっていく家族の価値観や在り方を描いた物語と言えるでしょう。
まとめ
犬の寿命はだいたい人間の5~6分の1といったところでしょうか。
その短い時間をエンジョイするために、元気いっぱいに暴れまわる気持ちも分からんでもないです。
ドッグトレーナーにも見放されたので躾らしい躾は受けていないマーリーですが、成犬になる頃にはけっこう主人の言うことを聞くようになっています。
自然と生まれる人間と犬の信頼関係は、本当に美しいものです。
言葉が通じなくとも気持ちが通じるのは、本当に素晴らしいものです。
それを象徴するような、妻ジェニーが流産し、ひどく落ち込んで家に帰るシーンは必見。
暴れてたと思いきや、すぐに異変を察知して「大丈夫?」と言わんばかりにジェニーに寄り添うマーリーの姿。
筆者も昔デブの柴犬を飼ってましたけど、犬ってけっこう空気読めるんですよね。
実際ほんの一瞬しか映らないシーンですが、個人的に一番ジーンときたシーンです。
誰が観ても感動し、何か得るものがある良作だと思います。
特に、愛する妻と子供がいる男性にオススメしたいです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。