
(原題:The Scorch Trials)
2015年/アメリカ
上映時間:129分
監督:ウェス・ボール
キャスト:ディラン・オブライエン/カヤ・スコデラーリオ/トーマス・ブローディ・サングスター/キー・ホン・リー/デクスター・ダーデン/ジェイコブ・ロフランド/他
巨大迷路が舞台なのに迷わないという、斬新過ぎる演出で魅せた「メイズ・ランナー」の続編。
ノリと勢いとイケメンだけで突っ走った感のある作品ですが、全3部作の2作目ということで、前作で撒いた伏線がどう回収されていくのかを期待していると、斜め上の展開が待ち構えています。
良いか悪いかは別にして、このぶっ飛びっぷりは嫌いじゃないですが、ここまで飛躍してしまうと3作目のハードルも上がるというもので「あぁ、やっちゃったね、、」というのが正直な感想。
必要以上に”謎”をまき散らすのは、ミステリーじゃなくて「手抜き」になりかねないですからね。
新鋭ウェス・ボール監督ですが、その辺のバランス感覚が少々怪しくなってきましたよ。
さっくりあらすじ
苦難を乗り越え、ついに巨大迷路を脱出したトーマス達だったが、謎の組織・WCKDが管理する別の施設に保護されることになる。
施設の責任者を名乗るジャンソン曰く、外の世界では地上は太陽に焼かれ、謎の伝染病”フレア”が蔓延していると言う。
ジャンソンはトーマスに「WCKD時代の記憶はあるか?」「どちらの側にいるのか?」を訪ねるもトーマスの記憶はハッキリとせず、曖昧にしか答えが出せないでいる。
トーマス達がいた迷路はAエリアと呼ばれ、迷路を踏破した者だけが施設へと集められ、さらに別の場所に移動することになっている。
一週間前から保護されていた少年・エリスはトーマスを誘い、通気口を移動して謎の実験室へと侵入する。
そこで彼らが目にしたものは得体の知れない生物の標本や、チューブに繋がれ体液を抜かれた若者たちの姿だった、、、
今度は施設から脱出することに
広大な砂漠を移動するトーマスたち
外には”フレア”の感染者が、、
全く意味が分からんぞ!!
謎の組織が作った迷路を抜けだした。
↓
謎の組織に捕まる。
↓
謎の施設から逃げ出したらゾンビたちに襲われる。
、、、誰か解説してください。
まぁ、、分からなければ原作を読めってことなのかな?
おじさんは本当に意味不明でしたよ。
何よりも、クローズド・サークル・ミステリーからゾンビ映画へのシフトにはとにかく度肝を抜かれましたね。
とりあえずはゾンビの原因になるフレア・ウィルスの免疫を持つであろう非感染者の若者を集め、その体液からワクチンを作ろうとしてるんだろうという大筋は理解できます。
でも迷宮を作る意味も分からなければ、迷宮をうろついてたクモ型マシーンの存在意義も分からず、、解決すべき伏線は投げっぱなしで次に突入しているのはどう見ても不親切。
というか手抜き感ハンパねぇ。
映画としての完成度が洗練されておらず、思いついたままに繋げたような印象です。
仲間たちも印象に残るのは主役・トーマスと、準主役・ミンホ、あとヒロインのテレサくらいで「あとはその他です」と言わんばかりの不遇な扱い、普通に観てたら名前すら覚えられません。
行く当てもなく砂漠を歩く危険な状況の中で、記憶を取り戻した風なテレサの行動も全くもって意味不明だし。
やたらキレてばかりで何の説明も説得もせず、取り返しのつかない状況に落とし込むテレサちゃん、マジでビッチっぷりが際立ってます。
そういった彼女の変化の演出も無く、機嫌悪いなぁーとか思ってたらシャレにならん裏切りをするということで、もう頭の中は???のオンパレード。
謎の組織「WCKD」もなんとも胡散臭く、大組織のわりには幼稚さが色濃く、子供すら説得できず武器に頼る大人たちもどうかと思います。
むしろこの程度の子供たちを論破できずによく組織が成り立ってるな、と。
かといって自身の感性を信じて逃げ回るトーマス御一行も何だか場当たり的な行動しかできず、平たく言えば頭が悪そうなんですよね。
勧善懲悪で割り切れないモラルのあり方を描きたい狙いはよく分かりますが、全く練れていないところが悲しいですな。
まとめ
「つまらないのか?」と言われれば「そうでもない」とは思っています。
単に前作と比べ明らかなパワーダウン&路線変更が露骨すぎてついていけないだけなので、決して駄作なわけではありません。
ただ到底回収できそうにない伏線の数々、もはやミステリーですらなくなった作風を覆すほどに3作目に期待できるかと言えば、それも無理な話でしょう。
せっかくのイケメン若手俳優たちがもったいない気もしますが、一応は続編に期待してあげたいところですね。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。