マネーモンスター


(原題:Money Monster)
2016年/アメリカ
上映時間:98分
監督:ジョディ・フォスター
キャスト:ジョージ・クルーニー/ジュリア・ロバーツ/ジャック・オコンネル/ドミニク・ウェスト/カトリーナ・バルフ/他

 




 

資産運用と情報操作をテーマに掲げたサスペンス。

 

国を挙げて「投資しようぜ!」と煽る昨今ですが、投資信託や証券会社のCMを見ても超小さい文字で「※投資は自己責任」と書いてあるだけに、儲かろうが損しようが全てにおいて自分のせいになってしまう投資の世界。

結局はコツコツとバントを続けることが大事なのは十分に理解してはいるものの、ホームランをかっ飛ばす隣人が羨ましく思えてしまうのは筆者だけではないでしょう。

だからこそ投資の世界に足を踏み出し、ある人は大儲けし、またある人は大損し、世界は今日も回っているのですね。

 

そんな金融投資の世界を背景に、リアルタイム・サスペンスに落とし込んだ名女優ジョディ・フォスターの手腕はなかなかのもの。

今後の活躍にも期待できる良作だと思います。

 

 

 

さっくりあらすじ

お勧めの投資銘柄を紹介する人気番組「マネーモンスター」で司会を務めるゲイツの放送中、ディレクターのパティは不審な男がスタジオ内に入り込んでいることに気づく。

男はそのまま番組に乱入し、銃とプラスチック爆弾でゲイツを脅し、番組で取り上げたアイビス社の株のせいで全財産を失ったと主張した。

アイビス社の株の暴落は取引システムのバグが原因だと発表されたものの、バグの原因は説明されておらず、いざ説明を求めてもCEOは行方不明のままだった。

ゲイツは事の真相を確かめるため行動を起こすと同時に、警察による救出作戦が始まるのだが、、、

 

 

 

 

番組の司会を務めるリー・ゲイツ
アドリブ多め

 

プロデューサーのパティ
ゲイツのアドリブにお疲れ気味

 

いつものようなアドリブで喋る中
スタジオ内に暴漢が現れる

 

 

 

 

資本×エンタメ

きちんと観たことはないですが、こういった金融投資を面白おかしく放送する番組は実際にあるようですね。

日本以上に格差の大きい社会であるアメリカでは、それは裏返せば中流家庭が減少しているということでもあり、一攫千金を夢見る一般庶民と投資は距離が近いのだと思います。

 

以前に比べれば日本もハードルが下がったとはいえ、実際に儲けるのは難しい投資の世界。

そんな初心者が観るにはうってつけの番組になりそうな「マネーモンスター」こそが、本作の中心となります。

ただし、こんな番組を参考にしている内は永久に勝てないとは思いますが(笑)

 

 

物語としては、番組を信じて株に手を出した男が、仕返しにやって来る流れ。

いわば”投資の敗者”である暴漢が、逆ギレと暴力で番組に乗り込んだことからスピーディーな展開へと突入します。

 

暴漢の訴えに対し、何とか丸く収めようとする司会。

番組スタッフの安全を優先し、尚且つ迅速な対応で警察を要請するプロデューサー。

生放送中だけに、時間をかけずに制圧したい警察。

そして”バグ”で株式の暴落を片付けようとした巨大企業の真相などなど、緊張感を保ちながらもテンポの良い展開は息もつかせぬドキドキ感があり、思わず見入ってしまう迫力があります。

 

こういった上手な構成に加え、途中で登場する犯人の彼女の説得シーンなど思わず笑ってしまうようなアクセントもあり、総じて面白い映画に仕上がっています。

緊迫感の緩急のつけ方や、ブラックユーモア溢れるコメディ・リリーフなど、才女であるジョディ・フォスター監督にこういった感性があるというのは些か驚きですな。

 

 

ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツという2大名俳優が主演を飾るだけに、全編を通じた安定感も抜群。

軽薄でチャラいゲイツを演じるジョージ・クルーニーは本当にハマり役、このチャラさ加減が本当に絶妙です。

未曽有の危機に対し、時折プライドを覗かせながらも口八丁で助かろうとする必死さ。

いざ視聴者に助けを求めてみれば、誰も見向きもしない冷たい現実に触れる姿。

趣味の悪い番組の司会者として、これ以上無いほどに上手いこと振舞っています。

 

対するジュリア・ロバーツもまた素敵。

ゲイツに振り回されながらも影で番組を支え、緊急時でも的確な指示で冷静を保つスーパープロデューサーですな。

その割にはちゃっかりと条件の良い転職先を確保していたり、強く賢い女性の理想像かもしれません。

危機に陥ったワイドショーを収めるために、紛糾する裏方の姿は妙に感心させられる説得力があります。

 

映画としては非常にストレートで読みやすく、これといった捻りも感じられません。

良くも悪くも投資の世界に詳しい人から見れば、鼻で笑っちゃう程度のものでしょう。

申し訳程度に挟まれる熱い友情と、しんみりさせられる絆も含めて、味わってもらえれば良いかなと。

 

 




 

 

 

まとめ

複雑で、一言では語れない投資の世界をテーマに、小規模ながらも上手くまとまった作品です。

先述したように、ありがちで先の読める展開ではあるものの、構成が上手く飽きることはないでしょう。

マジで観るほどではないけど、適当に観てたら面白かった、そんな印象ですな。

 

投資におけるリスクマネージメントはあくまで自己責任であり、いかなる不運に見舞われようと泣き寝入りするのが現実です。

お金を稼ぐのは難しいことですからね、みんなも投資は気を付けてやろうね。

 

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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