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移動都市/モータル・エンジン


(原題:Mortal Engines)
2018年/ニュージーランド・アメリカ
上映時間:128分
監督:クリスチャン・リヴァース
キャスト:ヘラ・ヒルマー/ロバート・シーハン/ヒューゴ・ウィーヴィング/ジヘ/ローナン・ラフテリー/他

 



 

荒廃した大地で生き残る人々と、母の復讐に燃える少女を描くSFアクション・アドベンチャー。

ポスト・アポカリプスな背景にスチームパンクな味付けをした「ハウルの動く城」で大体合ってます。

 

脚本を務めたのは「ロード・オブ・ザ・リング」や「キングコング」を手掛けたピーター・ジャクソン。

日本で有名な俳優が少なく(というかヒューゴ・ウィーヴィングくらいか)作品の規模に対してのCMが少なかったように思います。

結果として日本ではあまり盛り上がらなかったような気がしますが、映像的にも演出的にも、そこそこに面白かったですよ。

 

 

 

さっくりあらすじ

わずか60分で多くの人類が死んだ「60分戦争」から数百年、わずかに生き残った人類は移動型の都市を建設し、他の都市を”捕食”することで生き永らえていた。

顔に傷跡が残る少女・へスターの都市はヴァレンタイン率いる大都市・ロンドンに捕食され、奴隷のような扱いをされることになる。

ロンドン内部でヴァレンタインを見つけたへスターは彼を殺そうとナイフを突き刺すが、ロンドンの歴史家見習いのトムにより阻止されてしまった。

逃げようとしたヘスターは廃棄用の穴へと落ちてしまい、ヴァレンタインがヘスターの母を殺したと告げられたトムもまた、ヴァレンタインにより穴へと落とされてしまう。

地上へと落ちた2人は当てもなく彷徨い始めるのだが、、、

 

 

 

 

移動都市の映像は秀逸

 

復讐を狙う少女・ヘスター

 

世界の支配を狙う野心家・ヴァレンタイン

 

 

 

 

 

思ってたんと違う
でも面白い、、かな?

イギリスの作家フィリップ・リーヴ著「移動都市」が原作だそうで、映画は4部作の1巻に当たるそうな。

それ故に物語の深いところを掘り下げることができず、長編映画シリーズにありがちな浅めの完成度は仕方ないところなのでしょう。

そのため所々での説明不足が尾を引き、唐突な展開が少々引っ掛かります、

 

しかしそれを補って余りある壮大なストーリーには十分引き付ける魅力がありますし、映像的にも面白い仕掛けが満載です。

スチームパンクな世界観は常に魅力的でワクワクするものですが、大都市にタイヤをつけて文字通り「走らせる」のはさすがに珍しいのではないでしょうか。

一軒家やビルなどではなく、そのまんま大都市が動くわけですからね、その規模の大きさに初見では圧倒されることでしょう。

 

 

物語としては、生物のように都市が都市を捕食する世界で、とある理由から復讐を誓う少女を描くもの。

大まかにはアメリカと中国による60分戦争(原子力戦争)により大多数の人類は死滅し、生き残った人々が駆る移動型都市での争いが背景となります。

これがまさに弱肉強食、大きく強い都市は圧倒的な質量を武器に捕食に走り、小さくか弱い都市は小回り自在に逃げ回ると。

海洋生物の序列のような世界観ですな。

 

それに対し、静止都市と呼ばれ地に足をつけて生活する人々も少なからずいて、反移動都市同盟として対抗しているという図がシリーズのキモになるのでしょう。

加えて「復活者」というロマン溢れる存在も素敵で、どうにも厨二病をくすぐる設定が満載です。

物語の構成としては全く必要ない存在ではありますが、その戦闘力や、復活者が背負う悲哀などには魅力が溢れています。

 

それだけに作中での扱いは微妙なところでもあり、せっかくの光るキャラクター性が活かせきれていないところが悔やまれますな。

またスチームパンクな世界とはいえ、色々とツッコミどころは多い本作ですが、例に漏れずその世界観を受け入れることが大事です。

こう注意書きしたくなるほどに、ツッコミどころの嵐なのであしからず。



 

 

まとめ

結果として、シャレにならんほどの赤字を叩き出した作品ではありますが、一概に退屈な映画だとは思いません。

そもそも興行成績は公開するタイミングやマーケティングに左右されるものですしね、食わず嫌いするには勿体ない作品かなと。

とはいえ、オススメできるほど面白いのかと言われると、これもキッパリ「そうでもない」と言えてしまうのが悲しいところ。

魅力的な物語の背景に、息を飲むほどに美しい世界観、魅力降れるスチームパンクな雰囲気は素晴らしいものですが、やはり映画としては所々に不満が残ります。

色々と面白いところもあるんですけどね、何か印象が薄いんですよね。

 

微妙な判定となってしまいましたが、観て損はないでしょう。

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。


 

Tsume:
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