Mr.インクレディブル

The+Incredibles+(2004)+1_convert_20160108103446
(原題:The Incredibles)
2004年/アメリカ
上映時間:115分
監督/脚本:ブラッド・バード
キャスト:クレイグ・T・ネルソン/ホリー・ハンター/ジェイソン・リー/サラ・ヴァウエル/スペンサー・フォックス/イーライ・フシール/サミュエル・L・ジャクソン/ブラッド・バード/他

 




 

 

ヒーローの社会的地位と、家族愛を描いた長編アニメーション。

ルーカスフィルムまで買い取り、今や世界一の映画製作会社となったディズニー。

「モンスターズ・インク」や「トイ・ストーリー」など、高いアニメーション技術でヒット作を量産するピクサー。

そんな二大巨頭がタッグを組んだ長編アニメーション作品で、ピクサーが始めて「人間」を描いた作品でもあります。

 

監督を務めたブラッド・バードは、本作でアカデミー長編アニメーション賞を獲得。

アニー賞(アニメ界のアカデミー賞)では全10部門を受賞するなど、化け物ぶりを発揮しました。

ちなみに2007年に公開された「レミーのおいしいレストラン」でもアカデミー賞・グラミー賞・ゴールデングローブ賞を受賞しています。

 

アニメーションのクォリティがとにかく高いですね。

スーパーヒーローが繰り出す派手なアクションと、現実社会で世知辛く生きる苦悩を描いたドラマを、極めて自然に組み合わせてあります。

愛する家族を守るためヒーローだった自分のエゴを押し殺し、なおかつ社会の平和のために奮闘する主人公の姿は、どこかコミカルでありながらも強さと優しさに溢れています。

今時のメンズに足りないものが何かを教えてくれる、素晴らしい映画です。

 

 

 

さっくりあらすじ

かつては社会の平和を守っていたスーパーヒーローたちだったが、とある事故をきっかけに世間の風当たりは強くなり批判に晒されるようになっていく。

政府が行った政策により一切のヒーロー活動は禁じられ、各々は自分の正体を隠しながら社会に紛れて生活をするようになった。

かつて「Mr.インクレディブル」として活躍していたボブも保険会社に勤務し、家族を養うためにイヤミな上司の罵倒に耐えながら窮屈な生活を送っている。

同じく「イラスティ・ガール」として活躍していた妻のヘレンは、一般人の社会生活に順応しボブの支えとなるよう努めていた。

しかしスーパーパワーを受け継いだ娘のヴァイオレットは、自分の能力がコンプレックスになり、引っ込み思案な性格に。

息子のダッシュは自分の能力を抑えなくてはならない生活に鬱憤が溜まり、ヤンチャな性格に。

毎日のように起きる姉弟喧嘩に、ヘレンは手を焼いていた。

そんなある日、ボブは上司の態度に怒りをぶつけてしまい、会社から解雇を言い渡されてしまう。

途方に暮れていると、謎の女性ミラージュから「Mr.インクレディブル」への伝言が届く。

それを聞いたボブは、家族に内緒で再びヒーロー活動を始めるのだが、、、

 

 

 

 

 

元ヒーローのボブさん

 

ボブの仲間、フロゾン
どう見てもアイスマン

 

やっぱり家族が1番です

 

 

 

 

 

現代社会とヒーローたち

あくまでディズニー映画なのでハッピーエンドで終わるのはお約束。

 

しかし子供相手にマシンガンを乱射する大人。

平気で赤ちゃんを人質に取る悪者。

(事故とはいえ)悪者が”やっつけられる”ではなく”死んでしまう”

というディズニーらしからぬ演出が多いのも特徴です。

 

とはいえ残酷な描写は無く、展開の読みやすい予定調和なストーリーではあります。

総じて大人も子供も楽しめる、魅力的な作品に仕上げる手腕は、やはりすごいの一言ですな。

 

 

先述したようにディズニー作品としては珍しく殺伐としたシーンもあるものの、とにかく明るくて楽しい映画です。

アメコミ的なノリで活躍するヒーローたちですが、善意でやったことで訴えられるというアメリカの訴訟社会を皮肉ったような件も個人的に笑えました。

現実にこーゆー話ありそうですもんね(笑)

 

ヒーローを引退した人たちが、平和を守る元気とやる気をもてあます姿。

また、妻や家族のために窮屈な社会でこじんまりと働く姿は、笑いと悲哀を同時に感じます。

おおげさではありますが、窮屈な現代社会を生きるお父さん達にも共感できる部分は多いのではないでしょうか?

あとは起承転結がハッキリ丁寧に作られていて、またプロットの区切りが簡潔で、物語を作る上での見本のような出来栄えです。

ヒーローとしての自分のアイデンティティーや居場所に苦悩し、最後は巨悪をやっつけるという勧善懲悪のストーリーはシンプルで観やすいですね。

 

 

 




 

 

 

まとめ

優しく暖かみを感じるキャラクターデザインや、人物の質感をとことん再現したこだわりはとにかく素晴らしいもの。

そしてそれらがコミカルに動く演出が楽しく、ピクサーの脚本の魅力と映像技術力の高さが見て取れます。

シリアスで重たい社会的なメッセージに、躍動感溢れる面白おかしいキャラクターの数々。

そして表現豊かなアクション性が組み合わさることで完成した、大人も子供も楽しめる良作です。

 

オススメです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

おまけ

作中でインクレディブル一家の戦闘コスチューム製作を引き受けているエドナですが、声優さんはまさかのブラッド・バード監督本人です。

気づかなかったー。

 

 

 



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