
(現代:The Ninth Gate)
2002年/フランス・スペイン・アメリカ
上映時間:133分
監督:ロマン・ポランスキー
キャスト:ジョニー・デップ/フランク・ランジェラ/ウィリー・ホルト/レナ・オリン/エマニュエル・セリエ/バーバラ・ジェフォード/他
ジョニー・デップ主演のオカルト・ミステリー作品、、だと思いますが、アクションあり、ファンタジー要素ありと闇鍋のような映画です。
この手のオカルト系は結構好きなんですが、多分に漏れずどの作品もB級の枠は出ないものですね。
ジョニデ主演、ロマン・ポランスキー監督ということで、やんわり期待してみたものの、やはりその印象は拭えないものでした。
それなりに面白かったんすけどね。
余談ではありますがロマン監督はアメリカ在住時に妊婦だった奥様をカルト教団に殺されてしまった悲しい過去があり、かと思えば13歳の少女に対する強姦罪の容疑で有罪判決を受けるなど、実に波乱万丈なお方。
真偽は不明なので何とも言えませんが、これからも良い映画を作り続けてほしいところですな。
さっくりあらすじ
希少な本やアンティーク本の発掘業を営むディーン・コルソは今日も言葉巧みに希少な本「ドン・キホーテ」4冊を手に入れた。
悪魔学本の収集家ボリス・バルカンに呼ばれたコルソは世界に3冊しか存在しないと言われる悪魔の書「影の王国への九つの扉」について、3冊のうちのどれが本物なのかの調査依頼を受ける。
破格の報酬に飛びついて仕事を受け、バルカンの本を借り各国を巡るコルソだったが、調査開始と共に不可解な事件が起き始め、さらに謎の女性が彼を付きまとい始めるのだが、、、
ディーン・コルソ
狡猾で腕利きな本のブローカー
大富豪の未亡人リアナ・テルファー
エロい、でも怖い
コルソの行く先々に現れる謎の女性
その正体は、、、
見所はジョニデ
サスペンス・ミステリーとしての完成度は及第点かなと。
しかし雰囲気はあるものの「面白いのか?」と問われれば、何とも答えづらい完成度ではあります。
”悪魔学”というオカルト系作品のど真ん中をいく本作ですが、官能的であり猟奇的でもあり、良い味付けはあるような気がするものの微妙な仕上がりという複雑な印象。
ミステリアスな雰囲気と作品の構成が合っていないんでしょうね。
ただでさえ考察が必要な難解な物語な上に意味不明なアクション挟まっちゃうもんだから、結果的にB級作品にカテゴライズされてしまうわけで。
だもんで、結局は大ブレイクを果たす前のジョニデの存在感を堪能するだけになってしまうわけですな。
本作に於いてのジョニデが、これがまぁカッコよくてですね。
極めて頭の切れる本のブローカーとして、実にサマになっております。
スマートな雰囲気を醸し出しつつ、金にがめついという役回りですが、もう何をやらせても絵になるんですな。
最近は主にプライベートでダサダサなおじさんになってしまいましたが、当時のジョニデは間違いなく比類なき魅力を発揮しています。
原作となる小説を読んだ方からすると、やや改変され、尚且つチープな仕上がりになったという意見が多いようです。
まぁ原作のどの部分を削るのかは映画作りの最初の課題だと思いますが、それも含めてポランスキー監督の意図が見え隠れする構成ではあるのかな。
良く言えば”さりげない”とも言えますが、映像表現として理解するにはかなりの集中力が必要とされ、存分に物語を堪能するために親切な仕上がりだとは言い難いところ。
これは仕方ないところですが、物語の軸が悪魔学な故にある程度の宗教学の知識も必要になりますし、単純なエンタメ作品としても敷居が上がってしまうんですね。
あとは白黒ハッキリするような結末ではなく、その点が気に入らない人も少なくないでしょう。
ただ日常に於いての「悪魔」の存在とは我々が感知できるようなものではなく、いつの間にか掌の上で踊らされるような超常の存在だとされています。
扉の先にある”何か”を追い求める欲。
現世での絶対的な価値の指針である”お金”を追い求める欲。
そういった欲望を源に動く人間こそが悪魔に魅入られるということなんでしょう。
逆に言えば、いち作品としては「3冊の本から成る悪魔の世界への扉」的な物語を期待すると肩透かしを食らいますので、そこだけは注意しときましょう。
まとめ
オカルト好きはもちろんのこと、ジョニデのファンは観ても損の無い映画です。
辻褄が合わない部分や、単純に意味不明なところもあります。
それもオカルト系作品の魅力だとも言えますし、あーだこーだと考察を重ねるのも醍醐味だと思います。
ただ、受け付けない人にはマジで意味不明でしょうし、決して面白い作品だとも言えない部分もございますので、多分な期待はしない方が良いでしょう。
でも個人的には好きなんですけどね。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。