猿の惑星:創世記


(原題:Rise of the Planet of the Apes)
2011年/アメリカ
上映時間:106分
監督:ルパート・ワイアット
キャスト:ジェームズ・フランコ/アンディ・サーキス/フリーダ・ピントー/ジョン・リスゴー/ブライアン・コックス/他

 




 

1968年に公開されたSFの名作「猿の惑星」のリブート作品として、新たにシリーズ化された1作目。

新たに書き下ろされたオリジナルのストーリーとなっております。

 

昔ね、小学生の頃に近所の大型図書館でビデオが観れたんですよ。

2~3人が入れる狭いブースにモニターとデッキが設置してあってね、野球くらいしか娯楽の無かった少年時代の贅沢な遊びだったと記憶しております。

でも図書館なんて(今は知らんけど)基本的に大人しかいなくてね、子供だけで行くには少し敷居が高かったような思い出があります。

で、図書館で観た記憶のある「猿の惑星」ですが、当然ネタバレはしっかり覚えてるんですが、途中のディテールがサッパリと抜け落ちてまして。

あれから25年くらいでしょうか、超がつくほどに久しぶりに触れた「猿の惑星」なのであります。

 

 

 

 

さっくりあらすじ

製薬会社に勤める研究員のウィルはウィルスを利用した抗アルツハイマー薬”ALZ112”を開発し、実験的に投与したチンパンジー”ブライトアイズ”の知性が著しく上昇するという結果を得た。

更なる臨床試験の許可を得ようとプレゼンするも、子供を身籠もっていたブライトアイズは突如として凶暴化し、役員の前で射殺されてしまった。

研究が凍結されてしまったウィルはブライトアイズの子供を引き取ることになったが、ブライトアイズの遺伝子を継ぐ子猿”シーザー”もまた成長するにつれ高い知能を示すようになる。

しかし5年が経過したある日、隣人とトラブルを起こしたウィルの父を助けるため、シーザーは隣人に怪我をさせてしまうのだが、、、

 

 

 

 

ALZ112を開発するウィル
彼の判断がとんでもない事態を引き起こす

 

高い知能を持つシーザー
とある決断を下す

 

実際の撮影風景
演じたアンディ・サーキスが凄い

 

 

 

 

誰が悪いのか

色々と複雑な要素が絡む作品ではありますが、まずはCGIを駆使した極めて素晴らしい映像と、実際に猿のシーザーを演じたアンディ・サーキスの努力に感服ですね。

もう本当にチンパンジーそのものであり、動物的な動きはもちろんのこと、徐々に賢くなる過程や感情を覚えていく表情などの機微は凄いの一言。

人間にとって脅威となり得る野性的な怖さと、猿なりに思う喜怒哀楽の表現が相まって不思議で複雑な感情を覚えますね。

シーザーの知能が上がりに上がって、満を持して「No!!」と叫ぶ姿は普通にビックリ仰天しましたよ。

 

が、脚本的な内容としては微妙に納得いかず。

最終的には知性を持った猿が自由と権利を求めて住処を探し、それを防ごうとする人間との戦いに収束するものの、その過程に問題がありすぎますね。

猿園(隔離施設)が醜悪な環境で飼育員が意地悪で、虐げられてきた者の怒りに置き換えていますけど、そもそも悪いのはウィル本人なのは間違いないでしょう。

 

猿たちが牙を剥く人間=悪みたいな構図になってますけど、悪いのはウィルですよ、あとは製薬会社の社長くらいか。

父親の病気を治すために未承認の薬を勝手に投与したり、明らかに高い知性を持つチンパンジー相手に相応しい躾をしなかったり。

そもそも実験対象のチンパンジーが妊娠してることすら分からんようなマヌケですしね、どう見ても彼1人が悪い。

 

ついでに首輪をつけてペット扱いしてるわりには「父親だ」と言い放ったり、どうにも倫理観が欠如しているヤバい人にしか見えないんですよね。

あれこれと対策を打ち出したけど実らず、人と猿が袂を分かつことに嘆くのならまだ分かりますが、絶対に責任を感じていないであろう善人ヅラがどうも納得できません。

 

 

とはいえ、人並みの知性を持つ存在との共存は難しいという作品の軸は良く伝わってきますし、人間のエゴを描いた作品としてはそれなりの完成度。

新入りのシーザーが知恵とカリスマ性を発揮し仲間をまとめていく流れも興味深く、面白いものです。

最終的に(推定)数百匹を率いて街を蹂躙する姿はまさに革命家そのものであり、英雄と評しても良いくらい。

 

あとは余談ですが、ウィルのお隣さんが不憫で不憫で。

自宅にチンパンジーが入って来るわ、追い払おうとしたら逆ギレされるわ、車壊されるわ、顔に血を吐かれるわ。

挙句の果てに致死率の高いウィルスを移されるわで本当に可哀そう、ちょっと観ててつらかったっす。

 

 




 

 

まとめ

ストーリー性に説得力が無く、人の傲慢さやエゴを深く掘り下げようとしたドラマ性とのバランスがおかしい感は否めませんが、それでも普通に面白かったっす。

あまりにも簡単に、あっさりとパンデミックが起きるのもどうかと思いますが、実際にウィルスが蔓延している社会を鑑みればこんなもんかもしれませんね。

たまたま見たタイミングと、コロナウィルスがあまりにもタイムリーだったもんで色々と響きました。

 

とりあえず映画としては及第点、多少の不満はあれど今後のシリーズにも期待が持てる十分な出来だと言って良いでしょう。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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