レッド・ドラゴン


(原題:Red Dragon)
2002年/アメリカ
上映時間:124分
監督:ブレット・ラトナー
キャスト:エドワード・ノートン/アンソニー・ホプキンス/レイフ・ファインズ/ハーヴェイ・カルテル/エミリー・ワトソン/フィリップ・シーモア・ホフマン/他

 




 

トマス・ハリスの小説を原作に描かれた名作「羊たちの沈黙」や「ハンニバル」

そのレクター博士系シリーズの3作目となるサスペンスです。

ちなみに映画化は2回目。

ただし羊たちの沈黙の前日譚となっています。

 

時系列的には

「ハンニバル・ライジング」

「レッド・ドラゴン」

「羊たちの沈黙」

「ハンニバル」

となります、ちょっとややこしいよね。

 

大御所アンソニー・ホプキンスに名俳優エドワード・ノートンという組み合わせだけで溜息がもれますよね。

それに加え、数々の映画で幅広い演技を披露しているレイフ・ファインズ(ヴォルデモート)

そして独特の存在感を発揮し、息の長い女優であるエミリー・ワトソンなど。

主要となる人物のキャスティングは素晴らしいの一言です。

 

 

 

さっくりあらすじ

1980年のメリーランド州・ボルチモア。

FBI捜査官のグレアムは、犯罪精神医学の権威であるレクター博士の助言を頼りに連続殺人犯の行方を追っていた。

そこで、ふとしたことをきっかけにレクター博士に疑念を抱き、食事会を終えた後のレクター博士の邸宅を訪れる。

何気なく取った料理本を見て彼こそが犯人であると確信し、何とか博士の逮捕へとこぎ着けるも、グレアム自身も重傷を負ってしまった。

3年が経ち、FBIを辞職しフロリダへと移住したグレアムの元へ、嘗ての上司であるクロフォードが訪れる。

アラバマ州とジョージア州で起こった連続殺人事件の捜査要請を受けたグレアムは、しぶしぶながら期間限定での職場復帰と共に、捜査に参加するのだが、、、

 

 

 

 

会話も弾み、楽しい晩餐会のはずが、、

 

FBI捜査官・グレアム
一連の事件の捜査に当たる

 

何故に犯人は猟奇殺人を繰り返すのか、、

 

 

 

 

 

若き天才vs異常な天才&怪物

アンソニー・ホプキンスが演じるレクター博士があまりにもハマり役だったが故に本作がリメイクされただけあって、「羊たちの沈黙」を観た後での鑑賞ではニヤリとするようなファンサービスが散見しております。

少々毛並みは違うようにも思いますが、このシリーズが好きな人も苦手な人も、いち作品としての完成度は高く、それなりに楽しめるサスペンスになっていると思います。

 

本作を彩る登場人物はどれも個性豊かで印象的です。

連続殺人事件の犯人の背景と、それを追いかけるためにレクター博士の助言を得ようとするグレアムの駆け引きと、物語としてはこの2つが大きな流れとなります。

 

 

異常な知能、異常な精神を兼ね添えるレクター博士と言う強烈すぎるキャラクターだからこそ、咄嗟の閃きとはいえ実際に逮捕にまでこぎつけた若き天才・グレアムの存在もより輝くというもので。

主軸となるこの2人のやり取りはクラリスの時とはまた異なる緊張感があり、純真だったクラリスとは違いグレアムには一抹の老獪さが見えるのもまた魅力的と言えるでしょう。

 

演じるアンソニー・ホプキンスの知的で不気味な雰囲気はもちろん、グレアムを演じるエドワード・ノートンの好演もまた見事なものです。

まるで光と影のような関係性、知恵と老獪さの表裏一体を表しているような2人のやり取りは非常に興味深く、これだけでも一見の価値はあるかなと。

 

 

対して、連続殺人犯を演じるレイフ・ファインズの怪演もまた本当に素晴らしい。

幼い頃の虐待経験により精神を病み、人間から神(悪魔?)のような存在であるドラゴンへの変身願望を胸に秘めながらも、ヴィジュアル的な劣等感により人に見られることを嫌うという実に複雑な人格を持ちます。

 

ついでに言えば、初登場でパンストを被りながらお祖母ちゃんに懺悔しながら筋トレをするという異常っぷりはかなりのインパクトを誇ります。

立場的に犯人でありながらも脇役なので仕方ないところではありますが、できれば彼自身をもう少し掘り下げても良かったような気もしますねぇ。

被害女性の目をくり抜いて性的行為に及ぶようなキ〇ガイですが、そんな彼も盲目の女性と出会うことで人格に変化が現れ始めます。

そこからの異常者と常識人との間での揺れ動く感情は、歪んでいながらも純粋なものとも言えますかね。

 

そして恋されてしまった盲目の女性を演じるエミリー・ワトソンの演技もまた本当に素晴らしいっす。

「目が見えない」ことによる生活感、それでもハンデを背負いながらも気丈に生きる強い女性として、これほどのナチュラルな演技はなかなかお目にかかれません。

 

あと忘れちゃいけないのが故フィリップ・シーモア・ホフマンが演じる新聞記者ね。

絶妙にうざくて不気味で、何を考えているのか分からず信用に値しないクズっぷりを見事に演じております。

やっぱり亡くなるのが早すぎだよなぁ。。

本当に惜しい。

 




 

まとめ

「羊たちの沈黙」に比べるとインパクト・表現・演出・脚本など、あらゆる面で劣るという意見が大多数ですし、実際に筆者もそう思います。

が、シリーズものではなく単体作品として観れば十分に見応えはありますし、非常によく出来た映画だと思います。

あえて言うのであれば公開する順番が逆転していたら、こちらが名作と呼ばれていた可能性すら感じます。

 

単品で観ても面白いですし、シリーズで観たらもっと面白い良作です。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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