(原題:The Predator)
2018年/アメリカ
上映時間:107分
監督:シェーン・ブラック
キャスト:ボイド・ホルブルック/トレヴァンテ・ローズ/ジェイコブ・トレンブレイ/オリヴィア・マン/トーマス・ジェーン/他
強力な戦闘力を誇る宇宙生命体との戦いを描くSF・アクション。
1987年にシュワちゃんから始まったシリーズも4作目となります。
ちなみに監督を務めたシェーン・ブラック氏は1作目に俳優として出演、ちょこちょこと脇役をこなしつつも「アイアンマン3」や「ナイスガイズ」などで監督を務めるマルチなお方です。
最近はエイリアンと戦ったり、人間を攫っては戦ったりと、その度に後付け風な設定が増えている気もするプレデター達。
その度に賛否両論あるとは思いますが、紆余曲折しながらも定期的に新しいコンテンツが作られていることに不動の人気も感じます。
さっくりあらすじ
アメリカ軍の狙撃手・マッケナは麻薬組織の暗殺作戦中に落下する宇宙船を目撃し、墜落現場でプレデターと交戦することになる。
仲間を殺されてしまうが、宇宙船の残骸からガントレットとヘルメットを回収したマッケナは何とか逃げ延び、証拠品として家に郵送した。
政府は極秘にプレデターを回収し、召集された生物学者・ケイシーと共にプレデターの研究を進めようとする。
その頃、マッケナの息子・ローリーは家に届いた荷物を開封し、マスクとガントレットに触ってしまうのだが、、、
宇宙人の存在を知ったマッケナ
”狂人”として拘束される
息子のローリー
届いた荷物を開けてしまい、、
プレデターの強さは健在
しかし、、
ねじれてる
宇宙からやって来た生命体が、その強靭な肉体とハイテクな武器を使い、次々と人間を殺していく驚異。
多少の差はあれ至って単純なプロットであり、シンプルな知恵と肉体と武器のぶつかり合いこそがシリーズの魅力だと思っています。
それに対して本作ではちょいと脚本的に捻りすぎというか、捻りに捻ってねじれちゃった感が残念なところ。
ちょっと見過ごせないレベルのご都合主義と、主要人物にはやたら優しいプレデターさんの性格も相まって「コレじゃない」感が半端じゃないんですよ。
ざっと挙げるだけでも、
姿を消すアイテムを平気で飲み込み、ノーヒントでも使いこなせる主人公。
未知で獰猛な生物だと分かっていながら、簡単な拘束だけで研究しようとする科学者。
ハッキリとした理由も説明されず、するっと見逃されるヒロイン。
研究員を何人も殺されながら、プレデターが人類を守ろうとしていると確信する政府職員。
何故か懐いている宇宙犬。
プレデターと同じ速度で走れるヒロイン。
プレデターそっちのけで殺し合う人間たち。
冗談のようなデザインのアーマーなどなど。
なまじテンポが良いだけに、次から次へと繰り出されるツッコミどころの数々に苦笑いが止まりません。
そもそも人間vsプレデターを描きたいのか、プレデターを巡った人間vs人間を描きたいのか、それともプレデターvsプレデターを描きたいのか。。
ついでに無理やり組み込んだ感の否めないヒロインの立ち位置と、やはり無理に組み込んだ感が全開の親子愛も完全に蛇足です。
映画としての焦点がぼやけまくりで、こっちとしてもどういったスタンスで観れば良いのか、いまいち判断に悩むところ。
SFとしてもスリラーとしてもドラマとしても、そしてコメディとしても、どれを取っても微妙な仕上がりと言わざるを得ませんな。
まぁプレデターという存在自体がひとつのブランドとして成立している節もありますし、ただただ暴れるだけで絵になってしまう彼らの物語に肉付けをするのも難しいのだろうとは思います。
しかし、それを踏まえた上でも、やはり無敵で無慈悲な狩人であって欲しかったなと。
唯一良かったのは主人公と愉快な仲間たち。
イカれた陽気な軍人さんたちの掛け合いは素直に観ていて面白かったし、それでもやる時はやるというプロっぽい描写も好きな雰囲気でした。
ただし、最強の宇宙人を相手にしているう割には、その悲壮感の無さっぷりはネガティブに捉える人の方が多いであろうことは留意しておきますよ。
まとめ
冒頭で述べたようにエイリアンとコラボし、色々な方向へ派生した上で作られた本作ですが、どうにもリアクションに困る仕上がりですな。
とりあえず「映画館で観なくて良かった」と思ってしまうくらい、微妙な結果となってしまいました。
それなりにグロテスクであり、それなりに迫力ある映像でもあり、しかし根本的なエッセンスが足りていないと。
映画を作る上で土台となる脚本・構成をおざなりにした見本みたいな完成度です。
一応は続編も視野には入っているようですが、アメリカ批評サイトではかなりの低評価を受けたようですし、先は見えない状態ですね。
でも、また新作が公開されたらノコノコ観に行くんだろうなぁ。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。