(原題:The Secret Life of Walter Mitty)
2013年/アメリカ
上映時間:115分
監督:ベン・スティラー
キャスト:ベン・スティラー/クリスティン・ウィグ/ショーン・ペン/アダム・スコット/シャーリー・マクレーン/キャスリン・ハーン/パットン・オズワルト/他
To see the World(世界を見ること)
things dengerous to come to(危険なものを見ること)
to see behind the walls(壁の向こう側を見ること)
to draw closer(近くに引き寄せること)
to find each other(互いを知ること)
and to feel(そして感じること)
That is the purpose of life(それが人生の目的だ)
劇中に出てくるアメリカのフォト雑誌「Life」のスローガンです、名言ですな。
監督/主演をベン・スティラーが務め、彼が最も得意とするコメディドラマにファンタジー的な要素を組み合わせた珍しい映画です。
空想癖があり、地味で平凡な人生を送る男の物語で、ある種の自己啓発と言いますか、空想に安息を求める男が諸事情によりガチな冒険に出かけるというもの。
同じ毎日を送り、社会人ともなると映画のような出来事など現実にはほとんど存在しないわけですが「同じ=退屈=冴えない人生」と連想してしまう人にはぜひとも観てほしい映画ですね。
”本当の自分探し”と言うと何とも胡散臭いフレーズの代表格ですが、地味でもコツコツと、平凡でもコツコツと、退屈でもコツコツと。
何気なく過ごしている毎日に、どれほどの価値があるのかを気づかせてくれる作品だと思います。
さっくりあらすじ
ニューヨークの伝統ある雑誌「LIFE」の写真管理業務に就くウォルターは空想癖があり、空想の世界に入ると周りの声も届かず、周りからは奇異な目で見られていた。
時代の波に飲まれ経営難に陥った「LIFE」誌は社長を交代、新たにやって来たボスは雑誌のオンライン化を宣言し「LIFE」の休刊を決定すると共に、大規模なリストラを敢行し始める。
休刊が決まった「LIFE」の最終号の表紙を飾るのは大物フォトグラファーであるショーンの写真に決定しており、ショーン本人の希望でネガの25番目の写真を使うように指示が出ていた。
勤続16年、ウォルターの堅実な仕事を高く評価していたショーンはネガと共に「LIFE」のスローガンが刻印された財布をプレゼントとして送っていた。
しかしフィルムを確認すると25番の写真が見当たらない。
ネガのことを聞こうにも、世界中を移動しながら撮影をするショーンは所在が分からず、捕まらない。
意を決し、思いを寄せていた同僚・シェリルにショーンの現在位置を相談し、25番前後の写真をヒントに彼がグリーンランドにいるであろうと推測する。
そしてウォルターは空想の殻を破り、生まれて初めての旅として、グリーンランドに向かうのだが、、、
空想癖のあるウォルター
変人扱いされている
写真家・ショーンを捕まえるために
グリーンランドへ
やっと見つけたショーンが語る言葉とは、、
”冒険”の意味
”旅”と”自分探し”を混同する人がよくいますが、薄っぺらい旅をしてる奴に限って浅い人生観を振りかざしたりするもんですよね。
社会のネジとなって働くのと、「自由」という合言葉を胸に気ままに生きるのと、どれほどの差があるのでしょうか?
筆者も空想というか、かなり重度の妄想癖がありますし、日々過ごしている日常に飽きが無いのか?と言われると「マジ毎日すげぇ楽しいっす!」と言い切れるほど充実した日々は送ってないと断言できます。
趣味も無いし、、引きこもりだし、、、友達も2人くらいしかいないし、、、(´;ω;`)
サービス業を営んでおりますが、それはもうあらゆる職に就いているお客様のお話を聞かせてもらうことができます。
自分の知らない世界や業界の話は興味深いもので、生来怠け者な筆者の仕事が続いているのはこのおかげと言っても過言ではありません。
つまり人との触れ合いや、未知のものを知ることこそが僕の「冒険」になっているのかもしれません。
何も旅に出なくても、同じような毎日でも、気持ちひとつ、意識ひとつ変わればいいんです。
ルーティーンな毎日から一歩出れば立派な冒険じゃないでしょうか?
話が逸れましたが、大都市ニューヨークでネジとなり働くウォルターが、広大な大地が広がるグリーンランドへ向かうわけですが。
とにかく広い、自然が多い、殺風景と非日常の塊のような場所です。
この景色は本当に美しく、縮こまっていたウォルターが等身大に戻り、あちこち駆け回る姿は解放感に溢れていて、観ている僕らまで元気が出てくるような錯覚を起こします。
そんな都会と田舎の対比を始め、意識的に演出される”対照”を感じ取れるかどうかで本作の価値は大きく変わることでしょう。
最終的にネガは見つかり、最終号の発売と共に雑誌としての「LIFE」の歴史は終わりますが、表紙を飾るのは写真家・ショーンが信頼を寄せていたウォルターの写真。
実際にはウォルターはモロにリストラされているし、シェリルといい感じになったとはいえ明るい未来ではありません。
でも自身の枠から外に出て、いくらか成長した彼の顔は何とも清々しく、非常に良いエンディングだったと思います。
地味でも平凡でも、弱々しくとも人生は輝いてるもんです。
自分の輝きが見えなくても、真面目にコツコツやってると誰かは気づいてくれるもんですよね。
まとめ
ベン・スティラー作品にしてはお笑い要素は少なめで、かなり本格的なヒューマンドラマと言えます。
コミカルな部分に目が行きがちですが、本っ当に演技が素晴らしい俳優さんですね。
彼の出演作は大体観ているはずなのに、ベン・スティラーではなく映画の登場人物に見えてくる不思議。
当たり前に聞こえるかもしれませんが、これなかなかできないことなんですよ、実際。
あと写真家ショーンを演じるショーン・ペンが渋すぎてもう、、、マジカッコいい。
「些細なことでも冒険だ!」とか言っておいてなんですが、世界を股にかけるフォトグラファーってやっぱり憧れますよね。
面白いかどうかは正直何とも言えませんが、非常に素敵な映画です。
日々の生活に退屈を覚えたら、観てみるのもいいでしょう。
オススメです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。