
(原題:The Girl with the Dragon Tattoo)
2011年/アメリカ
上映時間:158分
監督:デヴィッド・フィンチャー
キャスト:ダニエル・クレイグ/ルーニー・マーラ/クリストファー・プラマー/ステラン・ステルスガルド/スティーヴン・バーコフ/他
スティーグ・ラーソン著の推理小説を映画化したスウェーデン映画「ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女」をハリウッド・リメイクしたサスペンス。
監督は「セブン」や「ファイト・クラブ」や「ゴーンガール」など、鬱要素を扱わせたら超一流なデヴィッド・フィンチャーが務めます。
ちなみにフィンチャーが製作総指揮を務め、「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスが監督を務めた続編「蜘蛛の巣を払う女」が1月11日より公開されております。
個人的にはミカエル・ニクヴィスト&ノオミ・ラパスを上回るコンビは無いと思っていたので、ダニエル・クレイグ&ルーニー・マーラのコンビには懐疑的でした。
それと同時に、1億ドル以上の興行成績を叩き出したヒット作をハリウッドがどうアレンジするのか、という点も気にはなっていましたが。
非常に難解で登場人物が多い特徴の原作ですが、貪欲にリメイクを繰り返すハリウッド風な味付けはどう作用するのかに注目です。
さっくりあらすじ
雑誌記者・ミカエルは大物実業家・ヴェンネルストレムの不正を暴く記事を掲載するも、名誉棄損で訴えられた裁判で敗訴し、財産の殆どを失ってしまった。
そんな失意のミカエルに、スウェーデン有数の財閥・ヴァンゲルグループのヘンリックから依頼が舞い込んでくる。
40年前に失踪した孫娘・ハリエットが誰かに殺害されたものだと信じて疑わないヘンリックは、優秀な調査員でもあるミカエルに事件の真相を探るように依頼する。
報酬として金銭と共にヴェンネルストレムの弱点を提供すると約束し、ミカエルはハリエットの残した手帳を手掛かりに調査を始めるのだが、、、
雑誌記者・ミカエル
40年前の事件の調査を始める
天才ハッカー・リスベット
成り行きでミカエルを手伝うことに
40年前に失踪した少女・ハリエット
2人は彼女の行方を捜す
割とそのまんま
良く言えばオリジナルを踏襲しているともとれますし、悪く言えば何の捻りも感じられないようにも思います。
かなり丁寧に原作をなぞった演出自体は否定しませんが、オリジナルの公開が2009年に対して本作が2011年。
ここまで差異の感じられない映画にするのであればリメイクする必要があったのか?と、そこに最大の疑問を感じます。
強いて言えばオープニングの映像が非常にスタイリッシュで印象的だと思いますが、かかった予算の差を考えれば些細なものでしょう。
総じて同じような内容の展開であり、本当に主要人物2人に多少の差があるくらいでどうにも、、ね。
絶対的に言えるのはオリジナルの方が絶対に面白いよ、ということくらいでしょうか。
物語としては進退行き詰った雑誌記者が、富豪の依頼を受けて40年前の事件の調査をするというもの。
その流れで凄腕のハッカーと協力することになり、恋愛模様を描きながら事件の黒幕に迫ると言ったところでしょうか。
もう大体同じなんでね、あまり書くこともないんですけどね。
そんな二番煎じな主人公・ミカエルを演じるダニエル・クレイグはそれなりの好演。
ジェームズ・ボンドの影がチラつく感が拭えませんが、役作りに合わせて減量でもしたのかほっそりとした印象です。
ただ悪い意味でカッコ良すぎるというか、垢抜け過ぎているのが役柄と合っておらず、浮いています。
そしてもう1人の主人公・リスベットを演じるルーニー・マーラも全く同じ。
勢いあるヌード&ベッドシーンをこなした気合は買いますが、やはりダニエル・クレイグ同様に洗練され過ぎて違和感が拭えません。
どれだけパンクなファッションや髪型に寄せようが、綺麗過ぎる顔が悪目立ちしちゃうんですよね。
どちらも与えられた役をキッチリこなしていることに間違いないですし、体当たりな演技力も全く問題ありません。
つまりは彼らを選んだ製作陣の方に問題があるわけで、スタイリッシュになり過ぎて原作の持つ醜悪な人間性がボヤケてしまっているわけで。
結果として俳優ばかりが目立つことにより、原作が持つ物語の魅力が活きていないという残念な仕上がりに。
誰が見ても「リスベットがすごい」という感想に行きつくのは、そういうことだと思います。
登場人物が多くて分かりづらいとか、説明不足で分かりづらいとか、その辺りはオリジナルも一緒なんでご愛敬。
単純にリスベットのツンデレっぷりに萌えるか、何度も繰り返し観て理解するか、どちらかでも十分に楽しめると思いますよ。
まとめ
やはりオリジナルの方が面白いと思いますし、できればそっちを観た方が有益じゃないかと思います。
コレはコレで出来は悪くないですし、それなりに良く出来ているとは思いますが、比べて観れば筆者の主張が理解できる人もきっと少なくないでしょう(汗)
まぁ映画なんて結局は好みの問題なんでね、断定はできませんが。
そもそもの作品は「犬神家の一族」的な物語に、現代的な解決ツールを組み合わせたような傑作のひとつです。
猟奇的でミステリアスな雰囲気は158分の長丁場も気にならない魅力がありますが、女性的に不快なシーンも数多くありますのでご注意を。
しつこいけど、オリジナル観た方が良いよ。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。