ウォームボディーズ

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(原題:Warm Bodies)
2013年/アメリカ
上映時間:97分
監督/脚本:ジョナサン・レヴィン
キャスト:ニコラス・ホルト/テリーサ・バーマー/ロブ・コードリー/デイブ・フランコ/アナリー・ティプトン/ジョン・マルコヴィッチ

 




 

 

前作「50/50」にて、独特の存在感を示したジョナサン・レヴィン監督の作品です。

それぞれの世界の内情や苦悩を描き、深刻な世界観の中に落ちているちょっとした笑いを描く。

加えて、のっぴきならない深い悲しみのメリハリを全面に押し出す作品が特徴的で、人生における苦難をテーマに生きる力の大事さを伝えてくれます。

個人的に今、かなり注目の監督さんです。

 

何らかの事情でゾンビだらけになってしまった世界で、ゾンビの青年と生身の女の子が織り成すラブコメディ。

超斬新。

何百本も映画を観てれば、内容が違えど既視感があるものがほとんどです。

先の読めない未知の作品に出会うことはなかなか無いものですが、だからこそ新しいものに出会える感動もより大きくなるんですね。

 

シェイクスピアを土台にゾンビを組み合わせるという斜め上の発想で、全体的にシュールな笑いが続きます。

その中で人間サイドではなくゾンビサイドに焦点を当て、ゾンビ社会やコミュニティにフォーカスする作品は相当に珍しいと思います。

その上ゾンビが恋しちゃうもんだから、そりゃ話の行方なんて読めるわけがありません(笑)

 

どういった過程を進んで、どう完結するのか?

本気で構えて観るようなシリアスさは皆無ですが、最後まで目が離せないドキドキハラハラな展開は観客を引き込む強い魅力に溢れています。

 

 

 

さっくりあらすじ

とある青年ゾンビは”R”という頭文字を除いて自分の名前も思い出せず、目的も無く毎日空港の中を歩き回っている。

仲間を連れて人間を食べに行ったある日、襲った人間の集団にいた少女ジュリーに一目ぼれしてしまう。

何を思ったかジュリーを空港に連れて(さらって?)帰ってしまう”R”,他のゾンビに食べられないようジュリーを守り、心を通わせようと努力し始める。

当初は怯えていたジュリーもそんな”R”の優しさに心を通わせていくのだが、、、

 

 

 

 

何をするわけでもなく、徘徊する”R”

 

warm_bodies_convert_20151212095400そんなゾンビが恋に落ちた瞬間

 

やがて人と心を通わせ始め、、

 

 

 

 

ホラーではない

まず、怖くないです

ゾンビ映画が苦手だからと敬遠してる人は確実に損します、絶対。

グロテスクな描写もゼロではないにしろ、普通に観てたらスルーできる程度の表現だと思います。

そもそもスプラッターな映像をウリにしている映画ではないので、全く以て心配いらないっす。

 

逆に、本格派なゾンビ映画を期待してる人にはオススメしないです。

血と内臓と死体でまみれなきゃゾンビ映画じゃねぇ!というジャンクなテイストが好きな方には、かなり物足りない内容だと思います。

ただ繰り返しになりますが、そーゆー映画じゃないんです。

 

「ロミオとジュリエット」をオマージュしたようなカットに、ゾンビを混ぜるというユニークで新しい、正統なラブコメなんです。

言うなれば、人の(ゾンビの)気持ちは、偏見を乗り越えるというメッセージ性まで備えた秀作だとも言えます。

 

 

そんな恋するゾンビを演じる、ニコラス・ホルトの魅力が光ります。

ジャックと天空の巨人」の時は全くノーマークでしたが、かなりの長身&イケメンで普通に男前です。

ゾンビでも良い!って気持ちも分からなくもないですな。

不思議なもので、なで肩&猫背でトボトボ歩くゾンビの”R”を観てると、だんだん可愛く見えてきますよ。

 

本作ではゾンビがヒトの脳みそを食べることで、被害者の生前の記憶を垣間見るという特性があります

それが歩き回ってるだけで何の娯楽も無いゾンビの唯一の楽しみである、という描写に儚さを感じますね。

ゾンビも大変なんだなぁ、と。

 

 

“R”は居を構える飛行機の機内でよくレコードを聴いています。

眠ることのないゾンビたち、せっかくだからファーストクラスに行けばいいのに何故かエコノミーの席でレコードを聴く”R”

その呆ける姿は「つまらない」というよりは「何をすべきか分からない」という感じ。

 

これは時として、僕らが感じる感情と非常に近いと思います。

まさかゾンビと同じこと考えるとは思いませんでしたが、だからこそ親近感が沸いて可愛く見えてくるのかもしれません。

 

 

また、本作ではゾンビたちにも天敵がいます。

“ガイコツ”と呼ばれるゾンビのなれの果ては、ゾンビたちよりも凶暴で人間サイドはもちろん、ゾンビサイドから見ても脅威となる存在です。

そういった流れで”ガイコツ”に怯え、傍から見ると理解の及ばない苦悩や虚無感を抱えながら生きる?ゾンビたちの社会は僕らの世界と大して差はありません。

 




 

 

まとめ

ゾンビほどではないにしろ、イキイキと毎日を過ごせていない人なんか世の中にたくさんいると思います。

個人的には偏見を持たずに、愛情があれば世界は救われるなんてキレイごとはあまり好みません。

が、たまにはそんな気持ちを持ってみても良いと思わせてくれるような魅力があります。

 

ラブコメ好きは観て損は無いですね。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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