バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生

Batman-v-Superman-Dawn-of-Justice
(原題:Batman vs Superman:Dawn of Justice)
2016年/アメリカ
上映時間:151分
監督:ザック・スナイダー
キャスト:ベン・アフレック/ヘンリー・カヴィル/エイミー・アダムス/ジェシー・アイゼンバーグ/ダイアン・レイン/ローレンス・フィッシュバーン/ジェレミー・アイアンズ/ガル・ガドット/ケビン・コスナー/他

-Warning-

 

本日の「観れんのか」は
過去最高の長文となっております。

無駄に気合を入れてしまったので
流し読みを推奨します。

 

 




 

 

DCエクステンディッド・ユニバース作品の第2弾となる本作。

マン・オブ・スティール」の世界観に「バットマン」を組み込んだ作品になっており、それぞれの”正義”と”憎悪”を巡って2大ヒーローが激突。

先駆けて公開された「アベンジャーズ」ことマーベルコミックスのクロスオーバー作品が大ヒットしたため、それに対抗するために製作された感がありますが、原案としてはマーベルよりもDCの方が先に取り組んでいた歴史があります。

 

本作の原案を考え、監督を務めたのは「ウォッチメン」や「300」でお馴染みのザック・スナイダー。

2013年頃から構想は固まっていたものの、過去の明るいスーパーマンでは世界観に会わないと考え「マン・オブ・スティール」としてスーパーマンを作り直すなど、新たに描きなおしたヒーロー達の競演が目を引きます。

 

ちなみに「バットマン」自体も「ダークナイト」シリーズとの関連はほとんど無く、新たに描かれたようなキャラクターなのであしからず。

アメリカでは「バットマン」も「スーパーマン」も国民的に定着しているキャラなため、細かい説明は省略されています。
(孫悟空とかルフィ的な感覚、誰でも何となく知ってる)

なのでDCコミックス関連の予備知識が無いとよく分からず、置いてけぼりをくらうかもしれません。

 

 

 

さっくりあらすじ

クリプトン星人との戦いを制し、地球の危機を救ったスーパーマン。

ゾッド将軍との戦いで市街は壊滅。

大富豪ブルース・ウェインが保有する高層ビルも倒壊し、甚大な被害と共に多数の命が犠牲となった。

ある人々はスーパーマンを「英雄」と認め、ある人々は「地球人に対する脅威」だと言う。

そんな中、レックスコープの若き社長であるレックス・ルーサーも独自に対スーパーマン兵器である放射性物質「クリプトナイト」を入手する。

ブルース・ウェインことバットマンはスーパーマンを「脅威」だと断定し、彼に立ち向かうことを決意、「クリプトナイト」を奪取しようとするのだが、、、

 

 

 

 

スーパーマン
もはや”神”のような存在

 

バットマン
そんな神を相手に戦いを決意する

 

そして始まる泥試合

 

 

 

 

バットマンに魅力無し

スーパーヒーローであるスーパーマン。

クライムファイターであるバットマン。

そんな似て非なる二人が「正義」を賭けて対決する雰囲気だったのですが、実際は予想とは大分異なる展開に目がテン(・Д・)

 

強大な力を有しているとはいえ、完全無欠とまでは言い切れないスーパーマン。

実際にゾッド将軍との戦いでは不可抗力だと思いますが、多くの犠牲者も出してしまいました。

ザック・スナイダー監督だけに、”正義”と”脅威”の間で不安定に揺れ動くスーパーマンの姿が「現実のスーパーヒーローとしての立ち位置」を表現しているのでしょう。

 

「スーパーマンが悪に染まる」というキャッチコピーが大量に出回っていたので、鑑賞前は非常にワクワクしていたものですが、実際は傲慢なだけで「悪」ではないです。

でも裁判所に呼ばれて律儀にやって来るシーンはもう少し見たかったなぁ。

何にも話してないのに爆発で台無しになってしまうのはもったいないというか、スーパーマンなりの信念や理屈を教えて欲しかった。

それでも自分なりの正義を押し通す難しさというか、絶対的な力の使い道に悩む苦悩はよく伝わりました。

 

 

それに対してバットマンの魅力がひどい。

会社と社員が犠牲になった恨み+ヒーローとして認められつつあったスーパーマンに対する妬みを源に、よく分からん理屈でスーパーマンをぬっ殺しに行きます。

絶対的な悪や犯罪者を倒すクライムファイターのはずが、見切り発車で暴走がちになる姿が全くしっくりこない。

「1%でも敵になる可能性があれば、それは敵だ!」って、、、自身の正義を信じて疑わないような、こーゆー過激思想な人がトラブルを作るんだよね。

執事のアルフレッドがちゃんとしてれば、ブルース・ウェインもこうはならなかっただろうに、、2人とも大いに魅力に欠けてます。

 

不殺を信念にするはずのバットマンが拳銃やライフルを撃ったり、バットモービルを駆使してオーバーキル的に輸送トレーラーを破壊しようとする姿に正義はありません。

個人的には子供の頃からバットマンのファンだっただけに、この展開はかなり苦痛。

二者択一で「正義」を決めなくてはいけないのであれば、僕は100%スーパーマンを支持します。

そのくらい一方的で無茶苦茶な脚本でした。

 

あと「ダークナイト」シリーズの流れでブルース・ウェインはクリスチャン・ベールに続投してほしかったなぁ。。

ベン・アフレックが駄目なわけではないんだけど、いまいちセレブ感を感じません。

 

ついでにダメ出しですが、夢オチは2回やったらダメ

話が分かりづらくなるし、予告で出てたシーンが夢オチだし、、あれはいかん。

 

 

レックス・ルーサーを演じたジェシー・アイゼンバーグの好演は非常に素晴らしい。

凡人はついていけないようなカリスマというか、危ない臭いを撒き散らすような狂気に溢れています。

 

自分よりも遥かに強いスーパーマンを相手に、知恵と計算だけで手玉に取る姿。

人としてのモラルを捨て、禁断の生物兵器を生み出す狂気。

一連の事件の黒幕としては十分な存在感だったと思います。

グゥの音も出ないほど天才だけど、すごいムカつく。そんな感じ。

 

 

そんなレックスが暗躍し、非常に強引な流れだけれども対峙することになったバットマンとスーパーマン。

圧倒的な力を持つスーパーマンに対し、科学と経験と勇気で立ち向かうバットマンだが、、、

 

 

 

短気すぎるヒーロー

クリプトナイトを入手し、対スーパーマン用の武器を開発し、新しいスーツの準備に筋トレに励むバットマン。

物理的な防御力を上げるためなのか鉄っぽい素材の新スーツですが、これも思いのほかカッコよくない。。(T皿T)

鉄なんて簡単にへし折ったりするスーパーマン相手にこの装備はどうなんだろう?

むしろ直線的に高速で動くスーパーマンに対して、身軽に動き回れる方が有利になる気がしないでもない。

 

ともあれレックス・ルーサーの暗躍もあり、対決することになってしまった二人。

でも戦う理由が説得力に欠け過ぎてて、到底納得できないんですねー。

スーパーマンをぬっ殺すための装備も罠も完備し、殺意に溢れウズウズしているバットマンに対して上から目線で謝罪したつもりのスーパーマン

 

二人とも、短気すぎです。

ちょっと話せば、和解まではいかなくともこのケンカは避けられたでしょう。

現実的な描写を大事に描く作品ゆえに、非現実的に始まるケンカは失笑もの。

 

お互いに訴えることが全く噛み合っていないため、先手必勝的なノリでバットマンが仕掛け、そして始まる泥試合(・Д・)

胸元をチョンっと押してバットマンを吹き飛ばし「本気なら死んでる」と吐き捨てるスーパーマン。

とても和解しに来た態度ではない。

 

グレネードにクリプトナイトの粉末を仕込み、スーパーマンを弱体化させてからの肉弾戦に挑むバットマン。

というより、そんな科学力があるならクリプトナイトの弾丸を作った方が早くないか?

 

 

そして廃墟ビルを縦に横に、穴を開けまくって暴れる二人。

2発目のクリプトナイト粉末で再び弱体化させ、鋼鉄のブーツを履いてるのにトイレの水槽タンクの蓋で殴りつけるバットマン。

 

グロッキーになったスーパーマンをワイヤーで振り回し、トドメにクリプトナイトの槍を持つが、そこでやっとお互い話をする。

マーサ(スーパーマンの母の名前)が死ぬ!」と訴えるスーパーマン。

「何故マーサ(バットマンの母の名前)のことを!?」と驚くバットマン。

、、、なんだかねぇ。

 

 

結局スーパーマンの彼女ロイスが事情を説明してケンカは終わるわけですが、この間約20分。

作品としてのメインディッシュではありません。

 

 

 

第3の敵、そして、、、

無事に和解し、マーサを助けに行くバットマン。

凶悪な傭兵集団に単身乗り込み、バタバタと殴り倒して行くんだけどやっぱりこーゆー姿がカッコいい。

ここに来てやっと本来のバットマンが味わえます。

 

そしてスーパーマンはレックスをやっつけに行くも、彼が生み出した人間とクリプトン星人のハイブリッド、”ドゥームズデイ”が復活、そして異常に強い。

人類に被害が及ばないよう大気圏へと場所を移すも、アメリカ軍が打ち上げた核ミサイルのせいでスーパーマンは失神&ドゥームズデイはパワーアップして帰還、、おい。

 

ひと仕事終えたバットマンがドゥームズデイと対峙するも相手にならず、もう駄目だと思ったところに前半からチョロチョロしてたワンダーウーマンが参戦!しかも強い!!

途中まで気づかなかったけど、演じるガル・ガドットは「ワイルドスピード」シリーズのジゼル役の方でした。

コスプレ全開でシュールな笑いがありますが、相変わらず美人でございます。

 

 

で、全編を通して最もつまらなかったシーン。

終盤、スーパーマンにとって脅威となるクリプトナイトの槍を水中に沈めるロイス。

ドゥームズデイが暴れまわり、槍が必要かもと考え取りに戻るロイス。

激しい戦闘の余波で水中に閉じ込められ、溺れるロイス

それに気づいたスーパーマンに助けてもらい、槍のせいでヘロヘロになっているスーパーマンに何故かキスをするロイス、、!?

 

いや、このおばさん何してんの

超がつく非常事態なはずなのに、あまりの空気の読めなさにイラっとしてしまいました。

そして自身にも有毒なクリプトナイトの槍を手に、ドゥームズデイに突進するスーパーマンだが、、、

 

 




 

 

まとめ

散々悪く書いといてなんですが、決してつまらない作品ではないと思います。

むしろ面白かったようにも感じております。。

2時間半の大作ですが実際に観てみて、体感的には全く長くは感じません。

迫力ある戦いや、そこに至るまでの描写は良く練られており、間延びすることもなくサクサク進みます。

 

が、それを遥かに上回るツッコミ所が目につくので難しいところですね。

今後の関連作品に向けての伏線が多く、単体の作品としては詰め込みすぎでガチャガチャしてるのも大きなマイナスです。

マーベルのクロスオーバー作品が比較的よくできているだけに、余計にアラが目立つのかもしれません。

 

なのでDCコミックに精通しているか、アベンジャーズ系は幼稚でつまらないという人には楽しめる作品でしょう。

言い方を変えれば玄人向けのエンターテイメントとも言えます。

映像の迫力は一級品だし、各キャラの個性も立っているので個人的には及第点な出来かなと。

 

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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