キック・アス


(原題:Kick-Ass)
2010年/アメリカ/イギリス
上映時間:117分
監督:マシュー・ヴォーン
キャスト:アーロン・ジョンソン/クロエ・グレース・モレッツ/クリストファー・ミンツ=プラッセ/ニコラス・ケイジ/マーク・ストロング/他

 




 

「世界で最も美しい顔」の上位ランカーであり「最も影響力のあるティーン25人」にも選ばれているクロエ・モレッツ主演のヒーロー系アクション・ドラマ。

ややコメディ風。

 

変態漫画家アラン・ムーア(ウォッチメン)に影響を受けたというコミック作家マーク・ミラーの同名コミックが原作で、監督は「キングスマン」のマシュー・ヴォーンが務めています。

つまりエログロな問題作と言うことですな。

 

ヴォーン監督が得意とする下品で過激な表現はスポンサーにダメ出しを喰らい、撮影費用は彼自身が捻出したと言われています。

つまりは自主映画のカテゴリになるわけですな。

アクションなのかコメディなのか、はたまたヒューマンドラマなのかの分類が非常に難しく、米批評家の間でも可もなく不可もなく、といった評価ばかり。

とても名作とは言えない作品ではありますが、クロエ・モレッツの潜在的な魅力が爆発していることもあり、非常に記憶に残る映画だと言えるでしょう。

 

 

 

さっくりあらすじ

スーパーヒーローに憧れる、冴えない高校生のデイヴは自らがヒーローになることを決意し、ネットで購入したコスチュームに身を包み「キック・アス」としての活動を始める。

しかし平凡な高校生である彼にスーパーパワーは無く、車上荒らしのチンピラに腹部を刺され、さらに車にはねられ全身を手術することになった。

正体を悟られまいと救急車の中でコスチュームを隠し、裸になったことで「デイヴはゲイ」との噂が流れるが、それがきっかけとなり同級生のケイティと友達になる。

全身を金属で補強され、末端神経マヒで痛みにも鈍くなったデイヴは懲りずにヒーロー活動を継続。

ある日の夜に襲われていた男性を守った姿がYouTubeにアップされ、「キックアス」は一躍時の人となったのだが、、、

 

 

 

 

 

キック・アス
2本の棒で戦うヒーローのような何か

 

ヒット・ガール
父から殺しの英才教育を受けた少女
あらゆる武器を使いこなす

 

レッド・ミスト
とある目的でキック・アスに接近する
続編では才能が開花(迷走)する

 

 

 

 

名作ではないけど”超傑作”

「ヒーロー」というある種の夢物語を現実的に描き、そこに”暴力”というシロップをぶち込んだ傑作です。

脚本・表現力・演出方法と、どれを取っても文句無し。

色々とひねられたアイデアに魅力的な登場人物たち、もう本当に最高です。

 

 

特筆すべきはやはりクロエたんであり、余計な説明はいりません。

ただひたすら萌えます。

 

随一の魅力的なキャラクターであるヒット・ガールですが、実のところは悲しい少女そのものであり、クロエたんの可愛さで霞んでしまっていますが、根深い闇を抱えた被害者でもあります。

優しいけど狂ってるパパの愛情に包まれて育ち、友達一人作れずに育ち、人殺しの英才教育を受けて育った彼女は正に無邪気な殺人マシーンであり、どう見ても虐待です。

この一見良さげな話っぽいけれども、実は酷いお話という構図はヴォーン監督のセンスが光りますね。

 

 

筆者は1ミリもロリコンの気持ちは理解できませんが、クロエたんは本当に可愛い。

幼い子供ながらに感情表現が上手く、どう見てもNGワードを連発しながら敵を切り刻む姿は物議を醸しだす最大の問題点ですが、それと同時にヒット・ガールの魅力の源でもあります。

ジャッキー・チェンのスタントチームでトレーニングをしたそうですが、実際の映像の9割は彼女自身のスタントであり、その努力の姿勢も素敵ですな。

 

さらに、キック・アスことデイヴを演じたアーロン・ジョンソン、レッド・ミストを演じたクリストファー・ミンツも好印象。

そろって冴えないオタクが似合っており、きっかけがあれば親友にだってなれたであろう二人が、とある理由で光と闇に分かれてしまうのが切ないところ。

 

本作ではキック・アスもレッド・ミストも、それぞれが階段を上る過程のお話であり、さらに言えばヒット・ガールが”ヒーロー”以外の自分に気づく話でもあります。

続編ではさらにそれが顕著になり「ヒーロー」も「ヴィラン」も、”絶対的な孤独”と”イカれている”という要素が不可欠だということを暗に語っている気がします。

 

このあたりはアラン・ムーアにも共通する感性であり、”超人”の尺度は凡人には分からないものだとも言えるでしょう。

うーん、深いです。

 




 

まとめ

とにかくクロエ・モレッツの魅力が光る作品ではありますが、それはあくまでスパイスの一種であり、映画としても非常に面白い作品なのは間違いないでしょう。

しかし強めな下ネタ&ゴア表現は万人受けするものではないでしょうし、若干ではありますが人を選ぶ作品かなとも思います。

 

一回目は純粋にクロエたんの魅力を噛みしめ、二回目は「何故に人はヒーローにならないのか」を味わってみる。

個人的には二度の鑑賞をお勧めします。

 

オススメです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。


 

 

 



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