(原題:GODZILLA)
2014年/アメリカ
上映時間:123分
監督:ギャレス・エドワーズ
キャスト:アーロン・テイラー=ジョンソン/渡辺謙/ブライアン・クランストン/エリザベス・オルセン/カーソン・ボルド/サリー・ホーキンス/ジュリエット・ビノシュ/デヴィッド・ストラザーン/他
ちなみに「ゴジラvsスペースゴジラ」が一番好きです。
でも観たの20年以上前だから、今観たらつまらんかもなぁ。。
1998年、ローランド・エメリッヒ監督がやらかしてから早16年、まずはもう一度作ろうと思った勇気と心意気が称賛に値します。
本作のゴジラはまさに「怪獣」。
でかい恐竜ではなく、まぎれもなく怪獣です。
ハリウッドならではのフレーバーを感じつつも、どこか懐かしさを感じさせるような造型、たたずまい、そしてやっと出てきた破壊光線。
ゴジラがメタボになったとの声も多いようですが、個人的には全然気にならず、驚異的な”天災”であるゴジラがどことなく可愛く見えるモデリングは非常に素晴らしかったように感じました。
ともあれ、製作者のゴジラに対する”リスペクト”と”愛”を感じられる作風は褒めてしかるべきものでしょう。
さっくりあらすじ
第二次大戦後、アメリカでは秘密裏に「モナーク計画」なるものが進められていた。
1999年、フィリピンの炭鉱内で巨大生物の卵が2つ発見され、片方には孵化した跡があった。
同年、日本の原子力発電所で地震によるメルトダウンが発生、ジョーとサンドラのブロディ夫妻が巻き込まれ、サンドラは命を落としてしまう。
2014年、ジョーの息子フォードは海軍爆弾処理班に勤務、妻エルと5歳の息子サムに囲まれ生活していた。
原発事故の調査をしていたジョーが逮捕されたことを知り、急遽日本へ向かうフォード。
かつての発電所跡地にて、二人は謎の巨大生物「ムートー」の姿を目にするのだが、、、
ムートー
放射線を”喰らう”太古の生物
ゴジラ、発音は「ガッジーラ」
ポッチャリでかわゆす
今回は熱線も吐くよ!
現実的であり、宗教的であり
太古の眠りから覚め、「原子力」という人間の英知であり「罪」を喰らい繁殖しようとするムートー。
人類の存在など意に介せず、ただムートーを狩るために移動するゴジラ。
歩くだけで天災クラスの災害をもたらす2種の巨大生物は、人類から見て”脅威”を通り越して”自然の摂理”とも言えそうです。
近づくこともままならない超常的な存在は、ただ存在するだけで人類を滅ぼす圧倒的な力を持ちます。
つまり生態系の頂点が入れ替わると仮定した場合、人類とはかくも無力な生物なのかなと思い知らされます。
明確な人類の敵として描かれるムートーはさながら”悪魔”として。
人類なんぞ気にする素振りも無く、ムートーを追うゴジラは”神”として。
人知を超えた存在は神話の世界のようで、神々しさすら感じるほどです。
兵士であるフォードの視点を中心に物語は進みますが、あくまで人間目線なだけで、人類の脅威を倒す術を持たず、人間はただ逃げ回るのみ。
人類に突きつけられた困難を解決できるわけでもなく、災害から逃げ惑う人類の姿はまるで世界の終焉のよう。
信仰心が薄れている現在という科学の時代に、為す術を持たない人間がゴジラ(神)に頼ろうとする姿は何とも皮肉なお話かと思います。
そんなゴジラとムートーの闘いは迫力満点。
無機質な虫のような、何とも説明しづらいムートーの造型もなかなか良かったかなと思います。
”お約束”とも言える熱線も完備し、ゴジラの背ビレが光る瞬間は思わず歓喜の笑みがこぼれてしまうほど。
できれば次回作はメカゴジラが見たいところですが、難しい要求ですかね。。
まとめ
「シン・ゴジラ」を控えて言うのもなんですが、非常に完成度が高いなと感じました。
当然オリジナルゴジラを愛する方々の批判が上がるのも理解できますが、1954年公開の「ゴジラ」を観た人はどれだけいるでしょうか?
シリーズが続き、娯楽映画となっていたゴジラに今さら反核を求めるのは正しいのでしょうか?
思い出補正というか、回顧主義な考え方も分からんでもないです。
ですが、これほどの完成度を誇り、新しさの中に懐かしさを感じる演出を超える映画が、今の日本映画界で可能でしょうか?
本作の内容に満足する反面、一抹の寂しさを感じたのも事実です。
怪獣映画という枠を超え、「ゴジラ」から「GODZILLA」へと変貌を遂げた本作。
続編はすでに決定しており、2019年頃公開予定のようです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。