AKIRA


1982年~1990年
作者:大友克洋
週刊ヤングマガジン(講談社)
全6巻
劇場アニメ版
1988年/日本
上映時間:124分
監督/脚本:大友克洋
キャスト:岩田光央/佐々木望/小山茉美/玄田哲章/石田太郎/鈴木瑞穂/他

 




 

 

その独自の手法で漫画界に大きな影響を与えた巨匠・大友克洋の代表作であり、世界に誇る「ジャパンアニメーション」のパイオニア的な作品でもあります。

初めて手にしたのはいつ頃だったか、、、連載終了時ですら7歳頃なので、実際に読み始めたのは中学生以降だと記憶していますが、歳の離れた兄の影響か、やたらでっかい単行本が家にあったのを思い出します。

バリバリのドラゴンボール・幽遊白書世代としてはこの独自の絵柄は個人的には人生レベルで衝撃的で、空想的な世界観にも関わらず、ビシビシ伝わる現実的なインパクトは本当に強烈なものでした。

そして大友克洋が自ら監督を務め、アニメ映画化した本作。

もはや名前も忘れましたが、バイト先近くにあったTSUTAYAではないレンタルビデオ屋で借りて(VHSね)更なる衝撃を受けたのも懐かしい思い出ですな。

さっくりあらすじ

1988年、東京は莫大なエネルギーにより崩壊し、それをきっかけに第三次世界大戦が勃発。

31年後の2019年、かつての東京湾内に建築された人工都市・ネオ東京の旧市街地にある酒場・春木屋は暴走族の溜まり場になっていた。

職業訓練性ながらも暴走行為を繰り返す金田をはじめ、仲間の鉄雄や山形らは今日もハイウェイをバイクで飛ばすが、突如として現れた子供の姿に驚き事故を起こしてしまう。

反政府ゲリラにより、軍が抱える超能力研究機関から連れ去られた白髪の少年・タカシと事故により重傷を負った鉄雄は、半ば強引に軍の研究機関内の病院に入院措置を取られる。

そして事故をきっかけに鉄雄には超能力の覚醒が確認され、退院後の鉄雄は凶暴な性格へと変貌を遂げていたのだが、、、

 

 

 

主人公・金田正太郎
自称・健康優良不良少年

もう一人の主人公・島鉄雄
金田に対し劣等感を抱えていた

テールランプの表現とか
マジですごい

 

 

 

最高峰のアニメ

日本アニメ史上で最高傑作の一つに挙げたいと思います。

1988年に製作されただけあって現在のアニメのようなCGはありませんが、総セル画15万枚とも言われる緻密で繊細なアニメーションは神レベルの職人技であり、これだけでも一見の価値があるでしょう。

 

異常に滑らかに動く登場人物たちをはじめ、テールランプの残像が移るシーン、爆発や建築物破壊のシーン、機械と人間が融合したような不気味な動きなどなど、どれを取っても極めて素晴らしいアニメーションなんです。

更にアフレコ(アニメに合わせてセリフを入れる)ではなくプレスコ(セリフに合わせてアニメを作る)を採用しているため、どの登場人物のセリフも実に自然であり、作品に対する熱意を感じます。

ただ原作漫画は全7巻なのに対し、アニメは実質3巻分くらいの内容に独自の結末を描いて終わります。

必然的に端折る部分が大きくなるのですが(ミヤコとかね)、さすがにコレは仕方ないところか。

 

物語としては、荒廃した近未来都市を背景に超能力やそれに振り回される人間模様がメインとなります。

あらゆる建築物が乱立し、またそれぞれが荒廃したような埃っぽい世界はかなり独特なものであり、瓦礫とゴミが散乱する街並みに満ちた閉塞感。

また自然が無く人工物が溢れ、酒やドラッグや暴力がはびこる風景にはどう見ても明るい未来は感じ取れない切なさがあります。

そんなゴミ溜めのような街並みが更に破壊されていくわけですが、最終的には人間の強さを感じさせるような脚本がミソであり、破壊と創造は表裏一体なものであると暗に言っているようにも感じますね。

 

そして物語の主軸となる主人公・金田ともう一人の主人公・鉄雄の関係。

元々は孤児だった二人、ひ弱で泣き虫だった鉄雄に対し、腕っぷしが強くリーダーシップを発揮する金田は青年に成長しても関係性が変わることはありません。

何とか自分の力を認めさせようとする鉄雄。

それを知ってか知らずか、相変わらず鉄雄を”守る対象”だとの認識を崩さない金田。

鉄雄が超能力に目覚め、力関係に変化が訪れると二人の関係もより複雑なものになっていくわけです。

 

結果的に人が死ぬ事態になっているので洒落では済まないのですが、この時の鉄雄と金田の関係は正に兄弟喧嘩そのもの。

互いに「ぶっ飛ばすけど殺したりはしない」と心のどこかで思っている節があり、気に入らないから対象を殺すような浅はかさは微塵もかんじられません。

この感覚、人ならではの複雑な感情を描き切ったのは本当にすごいことだと思います。

 

ついでに原作漫画を休載して製作された経緯があり、原作をそのままなぞるのではなく、大筋はそのままにアニメ作品として描きなおし、異なるエンディングに終結したところにも好感が持てます。

好き嫌いの差はあるでしょうが、個人的にはどちらの作品も甲乙捨てがたいところ。

でも6:4くらいで漫画原作に分があるかな。




 

 

まとめ

緻密で膨大な情報量を2時間に収めただけあって、多少の違和感は否めませんが、独立した単体の作品として見れば素晴らしい出来だと思います。

漫画は漫画らしく、アニメはアニメならではの表現があり、優劣の差ではないんですね。

”超常的な力”に匹敵する人間の可能性を描き、人間の心に眠る感情を描き、SFエンターテイメントとして確立させる。

この複雑な構成を作品として完成させるあたり、やはり大友克洋の才覚、センスの高さが存分に伺えますね。

 

ただ若干のグロ系な描写もあり、ただでさえ難解なストーリー性があるので人は選ぶと思います。

それを踏まえた上でも試してほしい作品ではありますが。

 

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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