(原題:Mimic)
1997分/アメリカ
上映時間:106分
監督:ギレルモ・デル・トロ
キャスト:ミラ・ソルヴィノ/ジェレミー・ノーサム/アレクサンダー・グッドウィン/ジャンカルロ・ジャンニーニ/チャールズ・S・ダットン/他
-Warning!-
本日の「観れんのか!!」は不快な映画の紹介となります。
ゴキ〇リが嫌いな方はご遠慮くださいませ。
遺伝子操作をテーマに据えたSFホラー映画。
ドラクエなんかでお馴染みの敵・ミミックという名称ですが、本来は名詞ではなく「擬態」を意味する生物学用語となります。
監督・脚本を務めるはメキシコ出身のギレルモ・デル・トロ、ちなみに彼のハリウッド・デビュー作でもあります。。
その後のキャリアとして、大ヒット吸血鬼映画「ブレイド2」をはじめ、「ヘルボーイ」「パンズ・ラビリンス」「ホビット」シリーズや「パシフィック・リム」を手掛けるなど、何気にヒット作を連発している名監督です。
しかし、画面にこれでもかと映る虫、虫、虫。。
グロテスクなものを割と見やすくデフォルトしてくれるギレルモ監督ですが、本作に限ってはかなり人を選びます。
家にゴキが発生しやすい夏の盛り、恐らく一番恐ろしいホラーになり得るんじゃないかなと思います。
さっくりあらすじ
アメリカ・マンハッタンではゴキブリを感染源とし子供だけに感染する奇病・ストリックラー病により多くの人命が失われ、また危機に瀕していた。
有効な治療法が確立されない中、昆虫学者のスーザンはアメリカ疾病予防管理センターの要請を受け、遺伝子操作によりゴキブリの天敵となり、なおかつ一定期間で死滅する新種の昆虫を創り出す。
「ユダの血統」と名付けられた昆虫は短期間でゴキブリを駆除し、ストリックラー病の猛威は沈静化、その後は創造主のスーザンですら「ユダの血統」の存在を忘れていた。
3年後、ニューヨークの駅近辺でホームレスが次々と行方不明になる。
スーザンの元へと持ち込まれた巨大昆虫のサンプルを調査した結果、死滅したはずの「ユダの血統」が生き延び、繁殖していることが判明するのだが、、、
昆虫学者・スーザン
小さくしとくね(笑)
こんなんザラです
恐ろしい怪物になった「ユダの血統」
ゴキブリ映画ではないんだよ
かの迷作コミック「テラフォーマーズ」のような物語ではありません。
難病の媒介であるゴキブリを殲滅するため、DNA操作により生まれた「集団行動するアリ×擬態するカマキリ」のハイブリッド昆虫を背景にしたモンスター・ホラー映画です。
感覚的には「エイリアン」と「ザ・フライ」を足して2で割った感じか。
つまり良く練られたプロットに不快極まりない映像を乗せた、虫嫌いが心から嫌悪するであろう作品てことですな。
低予算で作られた映画だけあって迫力ある映像やグロな演出は望めませんが、現実に僕らが恐れる「台所に現れる黒いヤツ」と、それに伴う不愉快極まりない虫の数々がもたらす恐怖は推して知るべし。
虫が苦手な人は冒頭5分でギブアップ間違いなし。
観ちゃダメ、絶対。
要は強制進化させたキメラ昆虫が人間に牙を剥いたというお話ですが、当然のように感情を持たず、ただただ食料として人を襲う昆虫の存在はマジで怖いの一言。
原始的な森の中ならまだ分かりますが、大都会の中で昆虫が食べるために人を襲うというのは現実には考えられないでしょう。
しかし、もし現実になったらという想像力を掻き立てる圧迫感、地下で巨大昆虫から逃げ惑う閉塞感や緊張感はなかなかの出来であり、B級映画のカテゴリーでは最高峰の一つと言えるかもしれません。
不快な演出の数々に耐えられるのであれば映画としてのテンポは良いですし、退屈せずにエンディングまで観れることでしょう。
また、この手の映画にしては脚本に整合性があり、破綻している部分が少ないのも特徴的。
モンスター・パニック映画にしては非常に丁寧なつくりであり、そのあたりにもギレルモ監督の手腕とセンスが光ります。
まとめ
実際には昆虫は外骨格(動物と違って骨が表面にある)で体を守っており、大きくなるに比例して体重も重くなってしまうので巨大に進化するのは現実的ではないんだそうな。
というか、大昔には巨大ゴキ〇リとか巨大トンボとかいたことを考えると、種を残すための効率良い進化として小さくなったわけだし、当たり前と言えば当たり前か。
映画としては特別つまらないところは無いけれど、メチャクチャ面白いかと言えば何とも言いづらい。
淡い期待には応えるけれども、どこか物足りなさも残る難しい作品ですな。
やはり虫の連発が一番のインパクトと言えますが、それでもB級ホラーとしては及第点以上の良作だとは思います。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。