(原題:We’re the Millers)
2013年/アメリカ
上映時間:109分
監督:ローソン・マーシャル・サーバー
キャスト:ジェイソン・サダイキス/ジェニファー・アニストン/エマ・ロバーツ/ウィル・ポールター/ニック・オファーマン/キャスリン・ハーン/他
いい歳こいて「Gジェネ」にハマり、深夜までゲームにふけりながら映画をチラ見するのが至福の時です。
「モンスター上司」で共演したジェイソン・サダイキスと、ジェニファー・アニストンを軸に置いたくっだらないコメディであり、映画としてのノリも近いので「モンスター上司」が好きな人はきっと気に入ることでしょう。
仲の悪いチグハグな4人組が珍道中を経て絆を深めていくようなお話ですが、そこには笑いあり、微かに涙あり、物語としての完成度がなかなかに高いと思います。
監督は「ドッジボール」でお馴染みののローソン・マーシャル・サーバー氏、下らない作品を作らせたら一流です(褒め言葉)
下品な下ネタがチラホラ出てくるので、それさえ見過ごせれば結構面白い作品だと思います。
さっくりあらすじ
マリファナの売人として生計を立てているデヴィッドは童貞少年・ケニーの正義感に巻き込まれ、ホームレスの少女・ケイシーを助けようとしたせいで不良たちに襲われてしまう。
マリファナの在庫と売上金を奪われたデヴィッドは、元締めのブラッドから逃げ回るもののすぐに捕まり、メキシコから少量の麻薬を運ぶ仕事を引き受けさせられることになる。
自分だけで国境を越えることは難しいと判断したデヴィッドはケニーとケイシーに加え、同じアパートに住んでいるストリッパーのローズを誘い、家族を装ってキャンピングカーでメキシコに入国することを考える。
こうして報酬が出るということで嫌々ながら参加した一行は、麻薬を運ぶためにメキシコを目指すのだが、、、
麻薬を運ぶために結成された”偽”家族
旅の途中で出会う陽気な家族
明るい家庭にもそれなりの悩みがある
はい、今回も見事な脱ぎっぷりです
完成された登場人物
主人公デヴィッドを演じるジェイソン・サダイキスをはじめ、劇中に登場する登場人物はどれも個性的で、ジワジワと魅力的に感じます。
ケチな売人であるデヴィッドは相応に自分の器の大きさを自覚し、自ら商売を広げたりヤバい仕事には手を出さない小さな男です。
どちらかと言えば自分本位であり損得で物事を考える小さい男ですが、それ故に人間臭くどこか憎めない面白い男です。
そんなデヴィッドの”妻”を演じるローズもまた魅力的であり、ストリッパーの仕事に甘んじていながらも優しく、賢く、常識人。
皆のことを真っ先に心配する姿は”母親”そのものであり、演じるジェニファー・アニストンの妖艶な魅力も相まって素晴らしい女性として描かれています。
そして長女のケイシーはホームレスで少し捻くれた少女ではあるものの根は素直で優しく、何だかんだでこの家族を気に入っているフシさえ感じます。
年齢的にも素直になりきれない多感な少女を演じたエマ・ロバーツの演技力は素晴らしく、どこか儚さと危うさを感じさせるティーンエイジャーとして印象的です。
末っ子のケニー(童貞)はネグレクト状態で可哀想な男の子。
何ともアホな子で、思いやりや純粋さを持ち合わせているものの、どこかズレている不思議な子です。
演じたウィル・ポールターはどっかで見た顔だとか思ってたら「メイズ・ランナー」にいたジャイアン的な子でしたね。
本作でのギャップは凄まじく、これだけ演技の幅の広さを持っているのであれば将来が非常に楽しみな若手俳優ですな。
作品としては呑気で面白いパートと、ハラハラドキドキなパートのバランスやメリハリが素晴らしく、話のテンポの良さもあり最初から最後まで楽しく観れる映画だと思います。
あくまでコメディなのでシリアスで重たい雰囲気になることは無いですが、それを差し引いても緊張感で張り詰めるシーンは多く、笑う展開や集中する展開の温度差の作り方は秀逸です。
頼れる者がいない寂しい4人が絆を育み、歪ながらも”家族”を形成していくところも普通に感動しますし、コメディ部分を抜きにしても、ドラマとしても悪くないと思います。
途中で旅を共にするドン一家の話も良いアクセントではありましたが、中年夫婦の夜の悩みだけはやけに生々しく、個人的には顔が引きつるシーンでした。
まとめ
面白い脚本に下らないユーモア、グッとくるドラマ性に上手くまとまった結末と、特にスキの無い作品です。
全体的にゆるめではありますがとにかく下ネタが満載であり、そこさえクリアできれば内容の濃い、素敵な映画だと言えます。
これは観ても損は無いかな。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。